恋愛サティスファクション

くらげ

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不動ベイシン

パーティーがはじまるよ5

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「俺またなにかしちゃった? 唯が嫌なら着替えるけど」

皇子様の圭介さんがしょんぼりと聞いてきた。

『だめ。すっごくカッコいいからそのままでいて!』

圭介さんのゴシックスタイルは初めて見るからドギマギしちゃっただけ。
嫌じゃないんだ。

「オレは? Roiのほうが良かったか?」
『玲司君もすごくカッコいいから着替えちゃ嫌』

ふたりとも、そんな意地悪を言わないで。

『心臓が止まりそうなくらいにカッコよかっただけだから』
「唯の心臓が止まるのは駄目だ。着替えてくる」
『やだー。圭介さんの皇子様はすっごく可愛くてカッコイイからそのままでいてください』
「でも、唯の心臓大丈夫?」

圭介さんは本当に純粋に僕の心臓を心配して。
僕の左胸にそっと触れた。
その慈愛に満ちた仕草にときめいて、落ち着いていた僕の心臓がフルスロットルで鳴り響く。

「すごく早いけど?」

それは圭介さんが触れているから。

「天然物は怖ぇなあ。てめぇは一旦離れろ」

玲司君が圭介さんをベリッと引き離して、ポイッと投げた。
雑に放り出されたのに、圭介さんはくるりと身体を回転させてきれいな受け身を取った。
柔道とか合気道やってる?
まるでニンジャだ。

「佐倉大丈夫か?」
『だいじょうぶじゃないー』

僕の優しいヒーローが今日は特別な装いなんだもん。
オーソドックスな白いシルクのタキシード。
本物の王子様が現れちゃった。
いつもはワイルドに跳ねさせている長めの襟足の髪を丁寧になでつけて。
ちょっとリーゼントっぽい雰囲気が真面目になりすぎない。
玲司君のいたずらっ気な魅力を引き出している。

「悪いな。カワイイお姫様には王子様が必要なんだろ? 本気出してきた」
『だしちゃだめー』

僕を萌え殺す気!?

「オレ達じゃなくて鈴村に言えよ。オレと圭が着てるヤツ、鈴村が作ったんだから」

そのタキシードも鈴村さんの自家製!?
式場でレンタルしたやつじゃなくて!?

「きちんとフルオーダーだぜ。そもそも、オレは吊るしのスーツ着れないし」

そういえば玲司君は規格外だからね。

「まあオレのは無難なデザインだから最後テキトーに作っただけじゃね」
『すっごくカッコいいし、玲司君に似合ってるし。全然適当じゃないよ』

シンプルなデザインだからこそ。
玲司君の野性的な魅力を引き出せるように丁寧に仕立てられてる。

「いや、テキトーだ。ボタン付いてない状態で渡されたからな。裏地もしつけで止めただけでまつられてないとこあったし」
『そのタキシードの仕上げをしていたから、玲司君は朝いなかったの?』
「そーだぜ。ひでぇだろ? 寝てたら、これやっとけって半端な仕立てのタキシード置いていきやがった。自分は圭の分がまだ残っているからって」

そんなギリギリの制作時間で作ってくれたんだ。
その結果の皇子様と王子様。
このダブルプリンスも鈴村さんからのお誕生日プレゼント。
ありがとうございます!!!

『玲司君が朝から頑張っていたところも見たかったな』
「染井が撮ってたぞ。今日はいろんなとこにカメラがあったな。ホームビデオを撮るって鈴村が息巻いてたから」
『あとで見せてもらいます』

作業中の玲司君は真剣な顔をしていてカッコいいから。
頼んだらダビングももらえるかな。
家宝に欲しい。

「玲司ばっかり褒めるのずるいー。俺も見てよ。唯の白いドレスに合わせて、黒のゴシックだよ」
『圭介さんもすっごくカッコいいです。それでいて、少年のような無邪気さもあって素敵です』
「唯も妖精みたいに可愛いよー」

お互いにカッコいいカワイイと褒め合う。
話をしてるうちに王子様達にも慣れてきた。
この後はパーティーだよね。
僕もたくさん写真を撮りたい。

もう僕達を脅かす人達はいないから。
みんなで楽しい時間を過ごそう。

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