恋愛サティスファクション

くらげ

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初陣アプレンティス

おしつけノーサンキュー1

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夜、寝る支度を済ませて部屋に戻る。
布団しかなかった殺風景な客間はたった数日で驚くほど居心地が良くなった。

僕が求めた机や箪笥、戸棚は染井さんが屋敷の余っているものを貸してくれた。
部屋に運ぶのは玲司君も手伝ってくれた。
玲司君と染井さんは僕がリラックスして過ごせる部屋を作ろうと、真剣に家具の配置を話し合っていた。
僕が心穏やかに過ごせるのは親切なふたりのおかげ。

飴色の家具は見た目も美しく、手にも馴染む。
窓際に置かれた机の上には木彫りの小鳥も飾ってみた。
デフォルメされてほぼまん丸の鳥はお義父さんの美術品コレクションから拝借したもの。
真冬の雀のようなビジュアルと手のひらに乗せた時のしっくりくる感じが可愛くて一目惚れしちゃったんだ。
机に向かうと、つい頭を撫でてしまう。

今日は吉野さんに料理を作る手伝いをさせてもらえた。
キッチンにはたくさんのルールがある。
それは寿司職人の吉野さんが美味しいご飯を安全に作るために決めたもの。
僕は吉野さんの作るご飯が大好きだ。
だから教わった道具の扱い方、調理の手順、ちょっとした気配りとコツをノートにまとめておこう。

眠たくなるまでの少しの時間。
今日教わったことをノートに忘れないうちに書いていく。
白い塀の中の生活は少し不自由。
それでも息苦しくならないように、みんながお互いを思いやっている。
僕もみんなの役に立てるようになりたい。

そう願ってペンを走らせていたら来客がやってきた。

「佐倉さんまだ起きてますか?」

お客さんは二上さんだ。
こんな夜遅くになんの用?

「起きてます。どうしました?」

襖を開けると、そこには大きな段ボールを抱えた二上さんが立っていた。

「遅くなってしまいましたが、今日の荷物です」
「いつもありがとうございます。今度からは急ぎの荷物とかもないし次の日の朝とかでも良いですよ?」

朝の検温の時とか。
ついでに持ってきてもらえたら、それで大丈夫。

今日は僕、何も頼んでない。
欲しかったものは昨日までに全て届いている。
コスメも洋服も希望以上にたくさん。
これ以上はもらいすぎになっちゃうよ。

「安全確認のためにパッケージは開けさせてもらいましたが、見ただけなんで」

そう言って、二上さんは持っていた段ボールを僕の足元に置いて足早に行ってしまった。

屋敷に届いた荷物は危険物がないかチェックをしている。
それは僕あての物も同じ。
女の子になるためのアイテムも恥ずかしいけど全て詳らかにされた。
下着をすみずみまで見られるのは恥ずかしい。
だけどLittle WOMANの悪意がどこに潜んでいるか分からないから仕方がない。

今日の荷物もそういう女装関連のアイテムなのかな?
二上さんはわざわざ見ただけだと強調していたし。
疑問に思いながら段ボールを開いてみる。

「誕生日のプレゼント?」

綺麗な包装紙に包まれたプレゼントの数々。
色とりどりの箱の中から、ピンク色の包み紙に包まれた1つを手にとってみる。

長さ30センチ程、掴みやすい太さで細長い箱は思ったより軽い。
振ってみても音はしない。

おそらく中身を確認するために一度剥がしたあと、丁寧に包み直したであろうラッピングを破く。
ピンクの包装紙の中身もピンクの箱。

“ガンガン突いて アンアン鳴いて”

パッケージに書かれた文字の意味が理解できなくて固まる。
用途の分からない贈り物の裏面をつい読み込んでしまった。

“イキグルイ キュンキュンMax”
“刺激的な絶頂 最奥を突き上げる”

過激な商品キャッチコピー。
刺激的な商品説明文。
これはいかがわしい目的で使われる上級者向けのオモチャだ。

好奇心に負けて中身を出してしまった。
こういう物が世の中にあることは知っていても、実際には使ったことはない。

電池式?持ち手のフタを開けたら単3電池が2個必要らしい。
電池なら昼間に染井さんがくれたのがある。
エアコンのリモコンの電池の予備だってくれたんだ。

電池をはめて、スイッチオン。
ゆっくり動き出すと思ったら、初動からフルスロットルで跳ねた。
まるで鮎の掴み取りみたいに手の中で暴れるショッキングピンクのシリコン棒の動きにびっくりして落としちゃった。
畳の上でびったんばったん跳ねるソレを慌てて拾ってスイッチを切る。

なにこれ。激しすぎ。
絶対、人体に良くないやつだ。
危ないから電池を抜く。
間違っても二度と動かすことはないだろう。

「こわかったー」

今のモーター音、誰にも聞かれてないよな。
激しい動きで煩かった。
もし、廊下を誰かが通っていたら……。

違うんです!
誤解です!
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