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不動ベイシン
ひるどきオーディエンス6
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「いくつか質問いいですか?」
乾議員が何か書いた紙を持ってる。
メモを片手にインタビューをするのはまるで記者のよう。
聞きたいことはどんな質問なのかな?
「青木弁護士の彼女さんは噂によるとすごく美人だそうですが本当ですか?」
そこで僕についての質問ってどうなの?
もともとは芸能ニュース系youtuberだったからゴシップネタが好き?
「君は私の話を聞いていたか? 恋人にも危害を加えると脅されているのだよ。そんな危険な状況で見た目に関する質問など答えられるわけがなかろう」
衣笠大臣がたしなめるように話す。
「いやー、でも、青木弁護士の彼女さんは美人だっていうのと、ちょっと見た目が残念っていう噂もあって。せめて衣笠大臣の個人的な感想でもいいから、個人を特定できない程度に教えてもらえたらと思ったんですよ」
なんとか僕のビジュアルに関する答えを引き出そうと乾議員も必死だ。
ちなみに、人の見た目を貶める発言は名誉毀損で訴えられる危険があるからしないほうがいいよ。
圭介さんは僕を悪く言う人がいると訴訟の優先度を上げる癖があるから気をつけてね。
「君は良く弁が立つな。あくまでも私個人の感想ですが。話していると表情がクルクルと変わって、人懐っこい様子で、いつもニコニコと可愛らしい方ですよ」
その答えで僕を特定はできないけど。
いい感じに褒めてくれてありがとうございます。
「青木君もプライベートでは親しみやすい性格の子で、そういう意味でも、お似合いなふたりです」
僕達がお似合いだなんて。嬉しいです。
照れちゃうねって圭介さんとふたりで見つめ合っていたら。
乾議員の部屋のドアがドンドンと叩かれた。
「警察です。今すぐにドアを開けてください」
なんで警察が?
配信を見ていた3万人のうちの誰かが通報したの?
「迎えに来たのは僕ですね。さっき、自分で通報したんです。国家公務員法違反者がいると。ちょっと行ってきます」
有守さんが立ち上がるのを乾議員が慌てて座らせる。
「いつの間に通報なんて。電話とかしてなかったでしょ?」
「衣笠大臣が青木さんの無事を教えてくれた時。僕も頑張ろうって思えて。ネットから通報しました」
有守さんは意外と勢いで行動するタイプの人なのかも。
さっきまで泣いていた人とは思えない、キリッと引き締まった表情の有守さん。
乾議員が配信の前に作ったというドアの前のバリケードを崩していく。
もう止めることは出来ないと、乾議員とその秘書さんは見守るだけ。
その背中に衣笠大臣が声をかけた。
「待ちなさい。有守君。最後に1つだけ。絶対に死ぬんじゃない。君の死を青木君は望んでいない。青木君に対して悪いと思っているのなら、どんなに辛くとも生きて、真実を公にすること。それを約束してくれ」
「はい。僕は死にません。見聞きしたことの全てを警察に話してきます。そして、僕の罪を償ってきます」
大丈夫かな。
Little WOMANは常識とか通じないよ。
法律だって無視する。
警視庁の中にも仲間がいて、有守さんは拷問されたりしない?
脅してメンタルをずたずたにしてきそう。
「そうだ。僕からも最後に。この写真を見てください。LIVEの前に有識者会議の音声データをDVD-Rに焼いて、この写真の住所に速達で送りました。見えますか? テレビ局、新聞社、週刊誌の編集部もあります」
カメラに向けて自分のXperiaを差し出す。
有守さんが指先でスワイプして何枚も写真を映していく。
本当にこれだけの数のデータを配ったの?
毎朝新聞社や今朝のホンネにも送ってる。
「これらの報道機関が、支援が必要な女性への支援に関する法律の有識者会議についての報道内容をこれまで通りに伝えるのか。変化があるのか。伝えなくなるのか。皆さんの目で確かめてください。私はこれから出頭するので代わりにお願いします」
この人、泣きじゃくってたわりに。意外と強かだ。
自分だけがとかげの尻尾切りをされないように。
上司もメディアも、政権すらも道連れにするつもりで告発してる。
そんなに心配しなくても大丈夫かも。
有守さんも頑張って。僕達も頑張る。
こうして告発LIVE配信が終わった。
嵐のような有守さんが警察に連れて行かれるのに乾議員も付き添うことにしたから。
さて、これから僕達はどうする?
どうやら圭介さんは知らないうちに、国民的な有名人になってるみたいだけど。
そのことについて調べる?
圭介さんは僕とふたりで決めるのではなく、伊都さんにも意見を聞くことにした。
第三者の視点は大切です。
「俺このあとどうしたらいい?」
「俺に聞くなよ。やりたいことしてろよ」
好き勝手に過ごしているんだから、今さら人に聞くなと言われてしまった。
「分かった。そろそろ夕飯の時間だから飯作ってくる」
うん。そうだよね。
圭介さんは好きにしていいよって言ったら、ずっと僕の身の回りの世話をし続ける。
これで良いのかなって少し不安に感じたから。
僕から衣笠大臣にメールを送っておくよ。
もしもやるべきことがあるなら教えてほしい。
とくにないなら、これまでと同じように白い塀の内側で元気に生きていく。
それと、入院するほどの怪我についても。
お見舞いの言葉をおくろう。
早く元気になってくださいね。
乾議員が何か書いた紙を持ってる。
メモを片手にインタビューをするのはまるで記者のよう。
聞きたいことはどんな質問なのかな?
「青木弁護士の彼女さんは噂によるとすごく美人だそうですが本当ですか?」
そこで僕についての質問ってどうなの?
もともとは芸能ニュース系youtuberだったからゴシップネタが好き?
「君は私の話を聞いていたか? 恋人にも危害を加えると脅されているのだよ。そんな危険な状況で見た目に関する質問など答えられるわけがなかろう」
衣笠大臣がたしなめるように話す。
「いやー、でも、青木弁護士の彼女さんは美人だっていうのと、ちょっと見た目が残念っていう噂もあって。せめて衣笠大臣の個人的な感想でもいいから、個人を特定できない程度に教えてもらえたらと思ったんですよ」
なんとか僕のビジュアルに関する答えを引き出そうと乾議員も必死だ。
ちなみに、人の見た目を貶める発言は名誉毀損で訴えられる危険があるからしないほうがいいよ。
圭介さんは僕を悪く言う人がいると訴訟の優先度を上げる癖があるから気をつけてね。
「君は良く弁が立つな。あくまでも私個人の感想ですが。話していると表情がクルクルと変わって、人懐っこい様子で、いつもニコニコと可愛らしい方ですよ」
その答えで僕を特定はできないけど。
いい感じに褒めてくれてありがとうございます。
「青木君もプライベートでは親しみやすい性格の子で、そういう意味でも、お似合いなふたりです」
僕達がお似合いだなんて。嬉しいです。
照れちゃうねって圭介さんとふたりで見つめ合っていたら。
乾議員の部屋のドアがドンドンと叩かれた。
「警察です。今すぐにドアを開けてください」
なんで警察が?
配信を見ていた3万人のうちの誰かが通報したの?
「迎えに来たのは僕ですね。さっき、自分で通報したんです。国家公務員法違反者がいると。ちょっと行ってきます」
有守さんが立ち上がるのを乾議員が慌てて座らせる。
「いつの間に通報なんて。電話とかしてなかったでしょ?」
「衣笠大臣が青木さんの無事を教えてくれた時。僕も頑張ろうって思えて。ネットから通報しました」
有守さんは意外と勢いで行動するタイプの人なのかも。
さっきまで泣いていた人とは思えない、キリッと引き締まった表情の有守さん。
乾議員が配信の前に作ったというドアの前のバリケードを崩していく。
もう止めることは出来ないと、乾議員とその秘書さんは見守るだけ。
その背中に衣笠大臣が声をかけた。
「待ちなさい。有守君。最後に1つだけ。絶対に死ぬんじゃない。君の死を青木君は望んでいない。青木君に対して悪いと思っているのなら、どんなに辛くとも生きて、真実を公にすること。それを約束してくれ」
「はい。僕は死にません。見聞きしたことの全てを警察に話してきます。そして、僕の罪を償ってきます」
大丈夫かな。
Little WOMANは常識とか通じないよ。
法律だって無視する。
警視庁の中にも仲間がいて、有守さんは拷問されたりしない?
脅してメンタルをずたずたにしてきそう。
「そうだ。僕からも最後に。この写真を見てください。LIVEの前に有識者会議の音声データをDVD-Rに焼いて、この写真の住所に速達で送りました。見えますか? テレビ局、新聞社、週刊誌の編集部もあります」
カメラに向けて自分のXperiaを差し出す。
有守さんが指先でスワイプして何枚も写真を映していく。
本当にこれだけの数のデータを配ったの?
毎朝新聞社や今朝のホンネにも送ってる。
「これらの報道機関が、支援が必要な女性への支援に関する法律の有識者会議についての報道内容をこれまで通りに伝えるのか。変化があるのか。伝えなくなるのか。皆さんの目で確かめてください。私はこれから出頭するので代わりにお願いします」
この人、泣きじゃくってたわりに。意外と強かだ。
自分だけがとかげの尻尾切りをされないように。
上司もメディアも、政権すらも道連れにするつもりで告発してる。
そんなに心配しなくても大丈夫かも。
有守さんも頑張って。僕達も頑張る。
こうして告発LIVE配信が終わった。
嵐のような有守さんが警察に連れて行かれるのに乾議員も付き添うことにしたから。
さて、これから僕達はどうする?
どうやら圭介さんは知らないうちに、国民的な有名人になってるみたいだけど。
そのことについて調べる?
圭介さんは僕とふたりで決めるのではなく、伊都さんにも意見を聞くことにした。
第三者の視点は大切です。
「俺このあとどうしたらいい?」
「俺に聞くなよ。やりたいことしてろよ」
好き勝手に過ごしているんだから、今さら人に聞くなと言われてしまった。
「分かった。そろそろ夕飯の時間だから飯作ってくる」
うん。そうだよね。
圭介さんは好きにしていいよって言ったら、ずっと僕の身の回りの世話をし続ける。
これで良いのかなって少し不安に感じたから。
僕から衣笠大臣にメールを送っておくよ。
もしもやるべきことがあるなら教えてほしい。
とくにないなら、これまでと同じように白い塀の内側で元気に生きていく。
それと、入院するほどの怪我についても。
お見舞いの言葉をおくろう。
早く元気になってくださいね。
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