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可視化ライブラリ
ウサギは檻に入れられて4
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シャワーを浴びて、化粧水や美容クリームでもちもち美肌を整えたら。
ヘアオイルをなじませた髪を乾かす。
しっかりと乾いたのを確認してドライヤーのスイッチを切ったとき。
着信音が聞こえた気がした。
「玲司君かな?」
どうせすぐに脱がされちゃうだろうから、ボクサーパンツに身丈が長めのTシャツ姿でスマホを探す。
あれ? 僕のiPhoneはどこに置いたっけ?
バスルームには持ってきてないけどリビングにもない。
着替えを取りに行ったクローゼットかと思ったけどここにもない。
服の隙間に置いて分からなくなっちゃったのかな?
吊るしてあるシャツの下も覗き込んでみてもスマホはない。
「iPhoneが迷子」
もう1回リビングも見て、ついでに水を飲みたいからキッチンに寄ろう。
こういうとき広い家ってのも考えものだな。
圭介さんや玲司君がいれば電話かけてもらってすぐに見つけられるのに。
「ひとりじゃiPhoneひとつ見つけられないとか」
駄目人間度のカンスト決定だな。
自嘲ぎみな乾いた笑いはそのまま小さな溜め息に。
そこにもう一度iPhoneの軽快な電子音。
音はフィットネスルームから。
そっか。玲司君からの電話を受けて、そのまま置いてきちゃったのか。
開けっ放しにしてた扉から聞こえる音を頼りにiPhoneを探せば。
ストレッチをするのに使ったヨガマットの上にiPhoneはあった。
マットに膝をついて、四つ這いの姿勢でiPhoneを手に取る。
「もしもし?」
「何度もごめんねー」
電話、圭介さんからだったんだ。
何度も電話をかけてくれてたって大事な用事だよね。
「僕こそ、シャワー浴びててコールに気付けなくてごめんなさい」
「んー? シャワーしてたの?」
「はい。さっきまで軽く身体動かしてて」
「エッチなの?」
最近、圭介さんもセクハラ発言が増えてきてる。
絶対、玲司君の悪影響だ。
「違いますよ。普通のやつですって。圭介さんが選んでくれたランニングマシンが使いやすいから、つい走っちゃうんです」
「あぁ。あれね。マシンに詳しい奴に相談して決めて良かったー。やっぱりさ、外出れないと辛いでしょ? 少しでも唯の負担減らしたくて」
「負担だなんて……。圭介さんは僕の安全を思ってくれてるの分かってますから」
「唯はもっと我が儘言っても良いんだよー。こんな生活息がつまるーって」
「そうですね。それなら就活の手伝いをしてください。圭介さんと玲司君が働いてるのに僕だけニートとか嫌なんで」
「何か在宅で出来るの探しとくー」
「お願いします」
圭介さんは僕の仕事口を探してくれると言う。
こんなあっさり簡単に働くことを認めてもらえるとは。
もっと早くに仕事の相談をしておけば良かった。
変に気を使って我慢する必要なかった。
「そこは外に出て働きたいとか言うとこじゃないの?」
圭介さんが探るように聞いてくる。
僕が引きこもりなのは安全のためなんでしょ?
襲われて怪我するのは嫌だし、在宅ワークで構わないよ。
「別に働けるなら家の中で平気ですよ。外に出られるなら接客とかは好きですけど。僕、あんまり出歩かない方が良いんですよね? それなら家の中でやれる仕事を斡旋してもらえると嬉しいです。僕は簡単なデータ管理とかも出来るんで」
近頃はリモートワークの種類も増えてきた。
仕事の内容は問わないよ。贅沢は言わない。
ヘアオイルをなじませた髪を乾かす。
しっかりと乾いたのを確認してドライヤーのスイッチを切ったとき。
着信音が聞こえた気がした。
「玲司君かな?」
どうせすぐに脱がされちゃうだろうから、ボクサーパンツに身丈が長めのTシャツ姿でスマホを探す。
あれ? 僕のiPhoneはどこに置いたっけ?
バスルームには持ってきてないけどリビングにもない。
着替えを取りに行ったクローゼットかと思ったけどここにもない。
服の隙間に置いて分からなくなっちゃったのかな?
吊るしてあるシャツの下も覗き込んでみてもスマホはない。
「iPhoneが迷子」
もう1回リビングも見て、ついでに水を飲みたいからキッチンに寄ろう。
こういうとき広い家ってのも考えものだな。
圭介さんや玲司君がいれば電話かけてもらってすぐに見つけられるのに。
「ひとりじゃiPhoneひとつ見つけられないとか」
駄目人間度のカンスト決定だな。
自嘲ぎみな乾いた笑いはそのまま小さな溜め息に。
そこにもう一度iPhoneの軽快な電子音。
音はフィットネスルームから。
そっか。玲司君からの電話を受けて、そのまま置いてきちゃったのか。
開けっ放しにしてた扉から聞こえる音を頼りにiPhoneを探せば。
ストレッチをするのに使ったヨガマットの上にiPhoneはあった。
マットに膝をついて、四つ這いの姿勢でiPhoneを手に取る。
「もしもし?」
「何度もごめんねー」
電話、圭介さんからだったんだ。
何度も電話をかけてくれてたって大事な用事だよね。
「僕こそ、シャワー浴びててコールに気付けなくてごめんなさい」
「んー? シャワーしてたの?」
「はい。さっきまで軽く身体動かしてて」
「エッチなの?」
最近、圭介さんもセクハラ発言が増えてきてる。
絶対、玲司君の悪影響だ。
「違いますよ。普通のやつですって。圭介さんが選んでくれたランニングマシンが使いやすいから、つい走っちゃうんです」
「あぁ。あれね。マシンに詳しい奴に相談して決めて良かったー。やっぱりさ、外出れないと辛いでしょ? 少しでも唯の負担減らしたくて」
「負担だなんて……。圭介さんは僕の安全を思ってくれてるの分かってますから」
「唯はもっと我が儘言っても良いんだよー。こんな生活息がつまるーって」
「そうですね。それなら就活の手伝いをしてください。圭介さんと玲司君が働いてるのに僕だけニートとか嫌なんで」
「何か在宅で出来るの探しとくー」
「お願いします」
圭介さんは僕の仕事口を探してくれると言う。
こんなあっさり簡単に働くことを認めてもらえるとは。
もっと早くに仕事の相談をしておけば良かった。
変に気を使って我慢する必要なかった。
「そこは外に出て働きたいとか言うとこじゃないの?」
圭介さんが探るように聞いてくる。
僕が引きこもりなのは安全のためなんでしょ?
襲われて怪我するのは嫌だし、在宅ワークで構わないよ。
「別に働けるなら家の中で平気ですよ。外に出られるなら接客とかは好きですけど。僕、あんまり出歩かない方が良いんですよね? それなら家の中でやれる仕事を斡旋してもらえると嬉しいです。僕は簡単なデータ管理とかも出来るんで」
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