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恋愛サティスファクション
召しませゴクドー7
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「圭さんが乗った車は高速で軽い渋滞にはまっちゃったみたいです。着くのが少し遅くなりそうですね」
圭介さんと連絡とってくれたのかな。
成瀬さんが圭介さんの現在位置を教えてくれる。
そうだ。僕、圭介さんに伝えたいことがあるんだった。
スマホはそこの和装バッグに入れといたはず。
スマホを出そうとしたら成瀬さんが先に自分のスマホを取り出した。
「圭さんにメッセージですか? 俺がムービー録って送ります」
本当に? ありがとうございます。
録る前に手鏡で化粧が崩れてないかチェック。
前髪に花びらついてた。それは取って。
うん。あとは大丈夫。
それでは、成瀬さんお願いします。
「それじゃ録りますよー。3、2、1。キュー」
まるで映画の撮影のように始まった。
成瀬さんはノリが良いな。
『圭介さん、お仕事お疲れさまです。見て見て。楓さんが振り袖を着せてくれました。どうかな? 似合ってる?』
ここで、くるりと一回転。
お着物モデルさんのポーズでキメっ。
成瀬さんも分かってるから、ちゃんと僕の全身が写るように下がってくれる。
そして、もう一度バストアップの位置まで戻ってからメッセージの続き。
『玲司君と鈴村さんが桜と一緒にたくさん写真も撮ってくれました。あとでそれも見て欲しいです。ちょっと恥ずかしいけど』
それと、これは絶対に伝えなきゃいけないこと。
勇気を出して。
『あとね、僕、圭介さんに話したいことがあって。えーと。話すことっていうのは……。会ってからにします。うん。ごめんなさい。ちょっとまだ言えない』
勇気、足りなかった。
『だから安全運転で来てください。途中の山道、夜だと危なそうだったし。圭介さんが来るまで僕は待ってるから。圭介さん大好きです。唯より』
はい。これでおしまいです。
「はいOKでーす。これをこのまま圭さんに送っちゃいますね」
お願いします。
「今の意味が分かったかい?」
「最後にラブアンドピースしたことしか分からねえ」
「せめて何をいってるか分かるようにはなっておきたまえ。何かと不便だろう」
「顔見りゃ何言いたいのか分かるんだから平気だろ。それよりオレも佐倉のムービー欲しい。俺にもラブピしろよ」
玲司君、焼き餅?
可愛いな。
ライオンみたいな見た目なのに、にゃんこみたいなとこあるよね。
『大好き』と『お疲れさま』と『お仕事頑張って』を玲司君のスマホで録って。そしたら玲司君は満足してくれた。
他にも幾つか変わったポーズを頼まれたけど、なんだかいかがわしい目的に使われそうだったので、それはお断りしておく。
隙あらばエロに持っていこうとするのやめようよ。
僕達があれこれとメッセージ動画を録っている間に鈴村さんがお花見用の席を手配してくれた。
適当にブルーシートを敷いて、いなり寿司とかを食べるんだと思ってたけど。
そこはヤクザさんもいる花見会。
適当な公園のお花見とは違う。
野点みたいに赤い布を敷いた台が用意されてた。
このセッティング、結構大変だったんじゃないかな。
その赤い台は山桜の木々の間にいくつも点在していて。
僕はその中の一つに案内された。
圭介さんが来たとしても5人なのに。
もっとたくさんの人が一緒でも大丈夫なくらいに広い台。
落ち着かないから借りた紫の座布団は端っこの方で使わせてもらおう。
「緋毛氈の上に座ると本物の人形のようだな」
「サクラさん、お雛様みたいですね」
それだと僕の隣に座る玲司君はお内裏様?
うん。似合いそう。
時代劇みたいな着物に冠を頭に乗せて笏を持つのも似合うけど。
現代風に紋付き袴姿も見てみたい。
「楓さんのところで玲司も着替えをさせれば良かったか」
鈴村さんも同じ事を考えてたみたい。
「それじゃ、サクラさんと玲司さんの結納御披露目みたいじゃないですか。圭さんがキレますよ」
「その程度で切れるようなら、彼らの関係は早々に破綻するだろう。ああ。惜しい。今から圭君に着替えをさせるか」
圭介さんの着物! 見たい!
「ほらサクラも圭君の着物姿を見たいだろう? 先程のように動画で頼んでごらん。君からのお願いならばきっと叶うだろう」
鈴村さんの甘い誘惑。
だけど、それはちょっと我が儘が過ぎるというか。
早く会いたいから寄り道はして欲しくない。
でも圭介さんの着物姿は見たい。
絶対に格好良いもん。
夜桜の下に着物の圭介さん。今しか見られない最高のシチュエーションじゃん。
早く会いたい気持ちと、圭介さんの着物姿を見たい気持ちが僕の中でせめぎあう。
「よし。その動画に解説を付けて圭君に送るのだ」
「了解です」
鈴村さんが成瀬さんに何やら指示を出した。動画?
「圭が着物着たとこを見たいけど、早く会いたいから寄り道してほしくないけど、やっぱり着物着たとこを見たい。って悩んでる佐倉を録ってたんだよ。そんな佐倉を圭に送ったら……。圭はどうすんだろうな」
圭介さんなら、ほとんどタイムロスをしないで着物を着てきてくれそう。
想像できちゃうのが逆にやだ。
でも、見たいって気持ちをなしには出来ないから。
そのへんの難しい判断は圭介さんに丸投げしちゃえ。
圭介さんと連絡とってくれたのかな。
成瀬さんが圭介さんの現在位置を教えてくれる。
そうだ。僕、圭介さんに伝えたいことがあるんだった。
スマホはそこの和装バッグに入れといたはず。
スマホを出そうとしたら成瀬さんが先に自分のスマホを取り出した。
「圭さんにメッセージですか? 俺がムービー録って送ります」
本当に? ありがとうございます。
録る前に手鏡で化粧が崩れてないかチェック。
前髪に花びらついてた。それは取って。
うん。あとは大丈夫。
それでは、成瀬さんお願いします。
「それじゃ録りますよー。3、2、1。キュー」
まるで映画の撮影のように始まった。
成瀬さんはノリが良いな。
『圭介さん、お仕事お疲れさまです。見て見て。楓さんが振り袖を着せてくれました。どうかな? 似合ってる?』
ここで、くるりと一回転。
お着物モデルさんのポーズでキメっ。
成瀬さんも分かってるから、ちゃんと僕の全身が写るように下がってくれる。
そして、もう一度バストアップの位置まで戻ってからメッセージの続き。
『玲司君と鈴村さんが桜と一緒にたくさん写真も撮ってくれました。あとでそれも見て欲しいです。ちょっと恥ずかしいけど』
それと、これは絶対に伝えなきゃいけないこと。
勇気を出して。
『あとね、僕、圭介さんに話したいことがあって。えーと。話すことっていうのは……。会ってからにします。うん。ごめんなさい。ちょっとまだ言えない』
勇気、足りなかった。
『だから安全運転で来てください。途中の山道、夜だと危なそうだったし。圭介さんが来るまで僕は待ってるから。圭介さん大好きです。唯より』
はい。これでおしまいです。
「はいOKでーす。これをこのまま圭さんに送っちゃいますね」
お願いします。
「今の意味が分かったかい?」
「最後にラブアンドピースしたことしか分からねえ」
「せめて何をいってるか分かるようにはなっておきたまえ。何かと不便だろう」
「顔見りゃ何言いたいのか分かるんだから平気だろ。それよりオレも佐倉のムービー欲しい。俺にもラブピしろよ」
玲司君、焼き餅?
可愛いな。
ライオンみたいな見た目なのに、にゃんこみたいなとこあるよね。
『大好き』と『お疲れさま』と『お仕事頑張って』を玲司君のスマホで録って。そしたら玲司君は満足してくれた。
他にも幾つか変わったポーズを頼まれたけど、なんだかいかがわしい目的に使われそうだったので、それはお断りしておく。
隙あらばエロに持っていこうとするのやめようよ。
僕達があれこれとメッセージ動画を録っている間に鈴村さんがお花見用の席を手配してくれた。
適当にブルーシートを敷いて、いなり寿司とかを食べるんだと思ってたけど。
そこはヤクザさんもいる花見会。
適当な公園のお花見とは違う。
野点みたいに赤い布を敷いた台が用意されてた。
このセッティング、結構大変だったんじゃないかな。
その赤い台は山桜の木々の間にいくつも点在していて。
僕はその中の一つに案内された。
圭介さんが来たとしても5人なのに。
もっとたくさんの人が一緒でも大丈夫なくらいに広い台。
落ち着かないから借りた紫の座布団は端っこの方で使わせてもらおう。
「緋毛氈の上に座ると本物の人形のようだな」
「サクラさん、お雛様みたいですね」
それだと僕の隣に座る玲司君はお内裏様?
うん。似合いそう。
時代劇みたいな着物に冠を頭に乗せて笏を持つのも似合うけど。
現代風に紋付き袴姿も見てみたい。
「楓さんのところで玲司も着替えをさせれば良かったか」
鈴村さんも同じ事を考えてたみたい。
「それじゃ、サクラさんと玲司さんの結納御披露目みたいじゃないですか。圭さんがキレますよ」
「その程度で切れるようなら、彼らの関係は早々に破綻するだろう。ああ。惜しい。今から圭君に着替えをさせるか」
圭介さんの着物! 見たい!
「ほらサクラも圭君の着物姿を見たいだろう? 先程のように動画で頼んでごらん。君からのお願いならばきっと叶うだろう」
鈴村さんの甘い誘惑。
だけど、それはちょっと我が儘が過ぎるというか。
早く会いたいから寄り道はして欲しくない。
でも圭介さんの着物姿は見たい。
絶対に格好良いもん。
夜桜の下に着物の圭介さん。今しか見られない最高のシチュエーションじゃん。
早く会いたい気持ちと、圭介さんの着物姿を見たい気持ちが僕の中でせめぎあう。
「よし。その動画に解説を付けて圭君に送るのだ」
「了解です」
鈴村さんが成瀬さんに何やら指示を出した。動画?
「圭が着物着たとこを見たいけど、早く会いたいから寄り道してほしくないけど、やっぱり着物着たとこを見たい。って悩んでる佐倉を録ってたんだよ。そんな佐倉を圭に送ったら……。圭はどうすんだろうな」
圭介さんなら、ほとんどタイムロスをしないで着物を着てきてくれそう。
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