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不動ベイシン
魔女の呼び出し4
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「それがいいね。痩せたいなら食べなければいい。玲司も無節操に食べるのは駄目だよ」
鈴村さんはそもそも夜中に食べようと考えることがおかしいと言う。
お母様の美容意識の高さがヤバい。
ごめん。玲司君まで巻き込んじゃって。
「はぁ? なんでオレまで?」
食べることが大好きな玲司君が自分は関係ないと抗議している。
痩せたいヤツだけ勝手にダイエットしていろというのは正論だ。
押し付けは良くない。
「秋にスチールモデルの仕事を入れていると伝えたはずだよ。今から体を作っておきなさい」
スチール? 広告写真とかのことだよね?
Roi君のモデルのお仕事が決まってるの?
それは大変だ。暴飲暴食は今すぐやめないと。
「そもそも秋にココから出られるかも分かんねえのに。意識高くなんてやってられっか。ずっと引きこもりで飯食うぐらいしか楽しみねぇんだよ」
引きこもり慣れしてる僕はぜんぜん平気だったけど、玲司君は辛かったんだね。
ごめんね。気付けなくて。
食べることしか楽しみがない生活は僕も分かる。
圭介さんに“オペレーションらびっと”の進行を早めてもらうよ。
玲司君がストレス溜まるのも良くないし、Roi君のお仕事も邪魔したくない。
なる早で終わらせるね。
「お楽しみなら、そこにいるうさぎを抱けば良いじゃないか。運動にもなってちょうど良い。痩せるよ」
いきなり何を言い出すんだ。
暇ならSEXしたら良いって言われてるよね?
セクハラオヤジでもそうそう言わない。
でも鈴村さんは普通じゃないから仕方がない。
「てめぇ、最低だな」
僕は呆れちゃったけど。玲司君がすごく怒ってる。
人の怒りは熱になって伝わるんだ。
隣に座ってるから肌で分かる。
鈴村さんが目の前にいたら殴りかかっていたレベルに本気で腹を立てている。
僕達の関係を馬鹿にされたから。
監視カメラを見つけた日から僕達はSEXをしていない。
全てのことが落ち着くまで僕はそういうことをしたくない。
そう思う僕の気持ちをくんで、玲司君は我慢してくれている。
今までは息をするように誘ってきていたのに。
抱きしめたり、キスをしたりするときも。
触れるだけの優しいもの。
無理矢理しないで僕の気持ちが落ち着くのを待っているんだ。
それをこんな人前でダイエットにSEXしろなんて冗談を言われて。
玲司君のプライドが傷付いた。
でもね、こんなもの怒る方が無駄だよ。
『僕達は今そういう関係じゃないよね。大丈夫。分かってくれる人はいるよ。鈴村さんがバッドコミュニケーションしか取れない大人だって、この場にいる人達は知っているし。だから戯言だと無視したら良い』
失礼な人にいちいち怒っていたら疲れちゃうよ。
ほら。落ち着いて。
『玲司君が僕を大切にしてくれてるって、屋敷にいるみんなは分かってるよ。もちろん僕も。いつもありがとう。僕の気持ちを守ってくれて』
もう怒らないで。僕のヒーロー。
ヴィランは無視でいいんだよ。
僕になだめられたからとすぐに気持ちが切り替わるわけじゃない。
玲司君は不愉快だとドスドス足を鳴らしながらキッチンに行ってしまった。
冷蔵庫にコーラが冷やしてあるから。
それを飲んで心落ち着かせて。
さあ、残された僕達は本題に入ろう。
『僕は体型チェックのために呼ばれたわけではないですよね? ご用事はなんですか?』
魔女主催のセクハラ会議はさっさと終わらせよう。
僕はカメラに向かってにっこりと微笑んだ。
『僕を呼ぶと決めたのは誰です?』
張り付けになる覚悟はとうに出来ている。
さあ、怒るならさっさと終わらせて。
もう何も怖くない。
魔女見習いとして最上級のスマイルで受け止めよう。
「君に圭君を説得してほしくてね」
松川さんが僕を呼んだ理由を教えてくれたけど、圭介さんを説得?
僕が叱られるんじゃなくて?
「ここ数日、仕事のペースが落ちていて。体調が悪いのかと聞いたら、君の手伝いを優先していると答えるんだ。吉野も倒れて、そちらが大変なのは分かっているつもりだが。それならば、屋敷におく人数を増やすなどして対応したいんだよ。圭君には圭君にしか出来ないことがあるんだ。食事の支度よりも大事な仕事だよ」
夕方、キッチンに来て僕の手伝いをしていたせいで仕事が滞ってるの?
それは良くない。
でも屋敷に新しく人を入れるのはちょっと避けたいな。
“オペレーションらびっと”は誰にも秘密の極秘任務だから。
「唯の食べる食事より大事なものなんてない」
圭介さんがはっきりと言い切った。
おー。さすが古参のストーカー。
なによりも僕を優先するとは。
揺るがない愛が重たいなー。
『朝ご飯を用意してくれるだけで十分ですよ』
「本当なら3食全部作りたい」
僕だって圭介さんが作ってくれたご飯を食べたいよ。
でも、それはデブのもと。
美味しいから食べ過ぎちゃう。
今ぐらいのペースでいい。
『僕も圭介さんの作るご飯が食べたいけど、太っちゃうから駄目です』
「もちろんカロリーは計算する。ダイエットトレーニングプランも作成する。俺がマンツーマンで指導する」
とても健康的に痩せられそうなプライベートトレーナーだ。
今すぐにお願いしたい。
「そんなこと始めたら余計に仕事が滞るじゃないか」
圭介さんが僕のダイエットメニューを提案してくれるのを聞いていたら、松川さんに止められる。
そういえば、圭介さんが僕を優先しないで仕事するように言い聞かせるのが僕の役割なんだっけ?
でも、それって本当に僕の仕事?
魔女見習いとしてやるべき?
鈴村さんはそもそも夜中に食べようと考えることがおかしいと言う。
お母様の美容意識の高さがヤバい。
ごめん。玲司君まで巻き込んじゃって。
「はぁ? なんでオレまで?」
食べることが大好きな玲司君が自分は関係ないと抗議している。
痩せたいヤツだけ勝手にダイエットしていろというのは正論だ。
押し付けは良くない。
「秋にスチールモデルの仕事を入れていると伝えたはずだよ。今から体を作っておきなさい」
スチール? 広告写真とかのことだよね?
Roi君のモデルのお仕事が決まってるの?
それは大変だ。暴飲暴食は今すぐやめないと。
「そもそも秋にココから出られるかも分かんねえのに。意識高くなんてやってられっか。ずっと引きこもりで飯食うぐらいしか楽しみねぇんだよ」
引きこもり慣れしてる僕はぜんぜん平気だったけど、玲司君は辛かったんだね。
ごめんね。気付けなくて。
食べることしか楽しみがない生活は僕も分かる。
圭介さんに“オペレーションらびっと”の進行を早めてもらうよ。
玲司君がストレス溜まるのも良くないし、Roi君のお仕事も邪魔したくない。
なる早で終わらせるね。
「お楽しみなら、そこにいるうさぎを抱けば良いじゃないか。運動にもなってちょうど良い。痩せるよ」
いきなり何を言い出すんだ。
暇ならSEXしたら良いって言われてるよね?
セクハラオヤジでもそうそう言わない。
でも鈴村さんは普通じゃないから仕方がない。
「てめぇ、最低だな」
僕は呆れちゃったけど。玲司君がすごく怒ってる。
人の怒りは熱になって伝わるんだ。
隣に座ってるから肌で分かる。
鈴村さんが目の前にいたら殴りかかっていたレベルに本気で腹を立てている。
僕達の関係を馬鹿にされたから。
監視カメラを見つけた日から僕達はSEXをしていない。
全てのことが落ち着くまで僕はそういうことをしたくない。
そう思う僕の気持ちをくんで、玲司君は我慢してくれている。
今までは息をするように誘ってきていたのに。
抱きしめたり、キスをしたりするときも。
触れるだけの優しいもの。
無理矢理しないで僕の気持ちが落ち着くのを待っているんだ。
それをこんな人前でダイエットにSEXしろなんて冗談を言われて。
玲司君のプライドが傷付いた。
でもね、こんなもの怒る方が無駄だよ。
『僕達は今そういう関係じゃないよね。大丈夫。分かってくれる人はいるよ。鈴村さんがバッドコミュニケーションしか取れない大人だって、この場にいる人達は知っているし。だから戯言だと無視したら良い』
失礼な人にいちいち怒っていたら疲れちゃうよ。
ほら。落ち着いて。
『玲司君が僕を大切にしてくれてるって、屋敷にいるみんなは分かってるよ。もちろん僕も。いつもありがとう。僕の気持ちを守ってくれて』
もう怒らないで。僕のヒーロー。
ヴィランは無視でいいんだよ。
僕になだめられたからとすぐに気持ちが切り替わるわけじゃない。
玲司君は不愉快だとドスドス足を鳴らしながらキッチンに行ってしまった。
冷蔵庫にコーラが冷やしてあるから。
それを飲んで心落ち着かせて。
さあ、残された僕達は本題に入ろう。
『僕は体型チェックのために呼ばれたわけではないですよね? ご用事はなんですか?』
魔女主催のセクハラ会議はさっさと終わらせよう。
僕はカメラに向かってにっこりと微笑んだ。
『僕を呼ぶと決めたのは誰です?』
張り付けになる覚悟はとうに出来ている。
さあ、怒るならさっさと終わらせて。
もう何も怖くない。
魔女見習いとして最上級のスマイルで受け止めよう。
「君に圭君を説得してほしくてね」
松川さんが僕を呼んだ理由を教えてくれたけど、圭介さんを説得?
僕が叱られるんじゃなくて?
「ここ数日、仕事のペースが落ちていて。体調が悪いのかと聞いたら、君の手伝いを優先していると答えるんだ。吉野も倒れて、そちらが大変なのは分かっているつもりだが。それならば、屋敷におく人数を増やすなどして対応したいんだよ。圭君には圭君にしか出来ないことがあるんだ。食事の支度よりも大事な仕事だよ」
夕方、キッチンに来て僕の手伝いをしていたせいで仕事が滞ってるの?
それは良くない。
でも屋敷に新しく人を入れるのはちょっと避けたいな。
“オペレーションらびっと”は誰にも秘密の極秘任務だから。
「唯の食べる食事より大事なものなんてない」
圭介さんがはっきりと言い切った。
おー。さすが古参のストーカー。
なによりも僕を優先するとは。
揺るがない愛が重たいなー。
『朝ご飯を用意してくれるだけで十分ですよ』
「本当なら3食全部作りたい」
僕だって圭介さんが作ってくれたご飯を食べたいよ。
でも、それはデブのもと。
美味しいから食べ過ぎちゃう。
今ぐらいのペースでいい。
『僕も圭介さんの作るご飯が食べたいけど、太っちゃうから駄目です』
「もちろんカロリーは計算する。ダイエットトレーニングプランも作成する。俺がマンツーマンで指導する」
とても健康的に痩せられそうなプライベートトレーナーだ。
今すぐにお願いしたい。
「そんなこと始めたら余計に仕事が滞るじゃないか」
圭介さんが僕のダイエットメニューを提案してくれるのを聞いていたら、松川さんに止められる。
そういえば、圭介さんが僕を優先しないで仕事するように言い聞かせるのが僕の役割なんだっけ?
でも、それって本当に僕の仕事?
魔女見習いとしてやるべき?
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