恋愛サティスファクション

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ハローGW4

次にお風呂を使うからと言われたから、それなりに急いでシャワーを借りて。
入れ違いに玲司君も朝シャワー。

「覗いてイイぞ」
「覗きませんっ」

玲司君が用意してくれたのは、ポケットいっぱいのカーゴパンツに長袖Tシャツ。

「佐倉は何着ても似合うな」

リビングでドライヤーを借りていたところに、玲司君がタオル1枚で出てくる。
手早く浴びた僕よりもずっと早いけど、ちゃんと洗った？
それと服を着ようよ。
まあ、タオルを腰に巻いてあるだけマシかな。

2人で髪を乾かしたあとは。
タオル姿の玲司君の汗がひいて服を着られるようになるのを待つ。

「これも玲司君の会社の服？」

貸してもらった服はしっかりとした縫製の、そのまま山登りにも行けそうなアウトドアウェア。
着るときにちらりとタグを見たけど、DFとは違うブランドタグだった。

「ああ。オレの担当とは違う部署のだけどな」
「いろんなブランドがあるんだっけ？」

いろんな種類の洋服をたくさん送ってもらったので調べたら。
玲司君が勤めている(株)グラスリーフは子供服から大人のフォーマルまで幅広く手掛けている会社だった。
グラスリーフの名前は知らなくても、それぞれのブランドの名前は知ってる。そんな会社。
僕がお気に入りのにんじんリュックを販売していたピーチメルバ・ドリーマーも(株)グラスリーフの中のブランドのひとつ。
今度、ピーチメルバ・ドリーマーのフィッティングモデルもやらせてもらえることになってて、今から楽しみだったりする。

「昔はちっちゃい地方メーカーだったのが、バブルの煽りで倒産しかけたところを買収されて、今みたいな業界大手にランクアップってとこだな。いくつかのブランドは吸収合併されてんだっけ。オレ詳しくないけど。佐倉が好きなPMDピーチメルバ・ドリーマーもオーナーの鶴の一声で他所から買ってきたブランドだし。だからか売上弱いくせに優遇されててムカツク」
「ロリータは大衆受けしないからね。PMDは可愛い分プライスも高めだし。若い子にはちょっと買いにくいラインかも。でも、こだわってる感が良いんだよ。やっぱり安いのだとレースとかもお値段相応で着てて盛り上がらないんだよね」
「たしかに安易な値下げはブランドイメージも下げる。だからって、売り上げ維持するためにRoiを使うなっての。毎シーズン雑誌の企画だ、アンバサダーだって召喚しやがって。客さばくコッチの身になってみろってんだ」

玲司君が両手を振り上げて「うぜー」って叫んだ。
この件でそうとうストレスが溜まってるみたい。
考えたらデザイナーとモデルの兼業ってすごく大変なんじゃ。
一緒にご飯食べる以外に僕に出来ることあるかな。肩もみする？

でも、この間のRoi君のSHOP店員さんは売り上げアップのための企画だったのか。
知りたくなかった新事実。
そこは黙っておこうよ。
僕はRoi君のファンとして聞きたくなかった。

玲司君の友達としては……。
仕事の頑張ってることを知れて、嬉しい気持ちもあるんだけど。
ファンの心は複雑なんだ！