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不動ベイシン
オペレーションらびっと3
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パソコンのスピーカーから聞こえてくるのは圭介さんへのクレーム。
どうやら新聞記事を鵜呑みにした福祉団体の皆さんが圭介さんに説明を求めているみたい。
ズーム会議には50人以上の参加者がいて、圭介さんはひとりで批判の矛先を向けられている。
『大丈夫? 僕がそばにいるから』
応援するしかできなくてごめんね。
『ありがとう。このさっきから煩い人、Little WOMANから金貰って騒いでるんだ。聞くのが仕事だと分かっててもウンザリしてきた』
『そうなの? じゃあ保護した女の子達に売春させてるのは圭介さんじゃなくてLittle WOMANなのも知ってる人?』
分かっててこんなに責め立てたら酷い。
『それは知らない。俺の信用を落として、支援が必要な女性への支援に関する法律に関われないようにする指示出されただけの末端スタッフだよ』
見た感じはそこそこ立場のあるベテランの風格なのに、手駒のひとつみたいな扱いなのか。
『さすがにウリやサプリのことは上位のメンバーしか知らないよ。だから自分達の仲間に金流すために法律が必要なんだ』
『法律ひとつでそんなに稼げるんですか?』
圭介さんを潰すために必死過ぎて。
支援のための法律がそこまでのシノギになるの?
『女性を助けるっていう名目で、相談員を雇いシェルター借りる。各種研修で講師料。アウトリーチの人件費。安定した収入源になるんだ』
『法案を自分達の優位に運用できれば固定収入になるから圭介さんへの攻撃も過激になってるんですね』
私利私欲で人を攻撃するなんて許せない。
『それもあるけど、俺はそもそも法律を廃案にするために活動してるから。だって、金儲けのためだけに立法した法律なんて無駄だろう? ほんの少しの人数だとしても女を助けるつもりだったら、俺もやらないよりマシかなって思ってたけど。助ける気がないんだ』
言い訳程度でも人助けをするなら圭介さんは見逃した。
自分達にもそういう部分はあるから。
けれどもLittle WOMANはそれすらしない。
『あいつらは支援を求める人達を支援ビジネスの為に永遠に困難を抱えて生きろと言わんばかりの内容にしようとしてて。本来なら支援の必要のない人まで弱者として囲い込もうとしてる。海外からも被支援者を集めてくるつもりだ。日本に来たい人は多いからね。そうして稼いだ金を自分達と仲のいい海外の団体にも流す算段してるし。日本社会にとって害悪でしかない』
外国にまで話が広がっていく。
ヤクザのシノギの奪い合いって言ってたけど、小さなシマの争いじゃなくてグローバルな戦いだ。
僕が知らないところで圭介さんは戦っていたんだ。
これからは僕も共に戦うよ。
もう一人になんて絶対にしない。
自分の言い分を好き勝手に言ったおばさんは、圭介さんに質問の回答を求めた。
今のクレーム。どこに質問があったんだろう?
僕には圭介さんをとにかく悪く言いたいってことしかわからなかった。
「そこまで言うなら、やっていない証明の方法を教えてください。私は皆さんが保護した女性に売春を強要したことなどありません。そもそも、支援が必要な女性への支援に関する法律の会議に出席しているのも、私は弁護士として法律の運用についての意見を求められて参加しているに過ぎません」
お義父さんの代役と聞いていたけど。
立場としては、慈善活動家ではなく法律家としての参加だったのか。
むしろ、そういう直接的でない役割でしか会議には出席できなかった?
ここで裁判官にスカウトされるぐらいに優秀な司法修習の成績がいきてくる。
「私は現場で実際に被支援者と関わることはないんです。だからこれまでも現場で実際に支援にあたっている皆さんから意見を聞かせていただいてきたじゃないですか」
このズーム会議の参加者の人達は、圭介さんの福祉アドバイザーだったんだ。
だからこそ、支援が必要な女性への支援に関する法律についての一連の報道に怒ってる。
「それだって議事録に何も残っていないじゃないの。私があなたに伝えた地方都市の現状は一切記録されていないわ」
怒りに任せた声があがる。
それについても圭介さんは落ち着いて答えた。
「議事録については私も問い合わせをしています。なぜ私の発言が残らないのか。提起した起案すら記録されないことは以前にも皆さんにも相談してます」
何度も伝えてるんだから、そろそろ理解してよ。
おかしいのは圭介さんじゃなくて、厚労省の管理する議事録だと気付いてよ。
「もし仮に報道されたように私が会議の進行を妨害したとしたら、なぜその記録すら残っていないのか。本当に私が妨害者であるなら、議事録に残し、有識者から外せば良いでしょう? それをされていない現状をまずは知ってください」
そうだよ。圭介さんはちゃんと会議で発言してるし、資料も提出してるんだ。
議事録に残してもらえないせいで、こんなふうに疑われて。
信じるつもりのない人達が納得する証明なんて誰にも出来ないよ。
何度説明しても堂々巡りじゃないか。
どうやら新聞記事を鵜呑みにした福祉団体の皆さんが圭介さんに説明を求めているみたい。
ズーム会議には50人以上の参加者がいて、圭介さんはひとりで批判の矛先を向けられている。
『大丈夫? 僕がそばにいるから』
応援するしかできなくてごめんね。
『ありがとう。このさっきから煩い人、Little WOMANから金貰って騒いでるんだ。聞くのが仕事だと分かっててもウンザリしてきた』
『そうなの? じゃあ保護した女の子達に売春させてるのは圭介さんじゃなくてLittle WOMANなのも知ってる人?』
分かっててこんなに責め立てたら酷い。
『それは知らない。俺の信用を落として、支援が必要な女性への支援に関する法律に関われないようにする指示出されただけの末端スタッフだよ』
見た感じはそこそこ立場のあるベテランの風格なのに、手駒のひとつみたいな扱いなのか。
『さすがにウリやサプリのことは上位のメンバーしか知らないよ。だから自分達の仲間に金流すために法律が必要なんだ』
『法律ひとつでそんなに稼げるんですか?』
圭介さんを潰すために必死過ぎて。
支援のための法律がそこまでのシノギになるの?
『女性を助けるっていう名目で、相談員を雇いシェルター借りる。各種研修で講師料。アウトリーチの人件費。安定した収入源になるんだ』
『法案を自分達の優位に運用できれば固定収入になるから圭介さんへの攻撃も過激になってるんですね』
私利私欲で人を攻撃するなんて許せない。
『それもあるけど、俺はそもそも法律を廃案にするために活動してるから。だって、金儲けのためだけに立法した法律なんて無駄だろう? ほんの少しの人数だとしても女を助けるつもりだったら、俺もやらないよりマシかなって思ってたけど。助ける気がないんだ』
言い訳程度でも人助けをするなら圭介さんは見逃した。
自分達にもそういう部分はあるから。
けれどもLittle WOMANはそれすらしない。
『あいつらは支援を求める人達を支援ビジネスの為に永遠に困難を抱えて生きろと言わんばかりの内容にしようとしてて。本来なら支援の必要のない人まで弱者として囲い込もうとしてる。海外からも被支援者を集めてくるつもりだ。日本に来たい人は多いからね。そうして稼いだ金を自分達と仲のいい海外の団体にも流す算段してるし。日本社会にとって害悪でしかない』
外国にまで話が広がっていく。
ヤクザのシノギの奪い合いって言ってたけど、小さなシマの争いじゃなくてグローバルな戦いだ。
僕が知らないところで圭介さんは戦っていたんだ。
これからは僕も共に戦うよ。
もう一人になんて絶対にしない。
自分の言い分を好き勝手に言ったおばさんは、圭介さんに質問の回答を求めた。
今のクレーム。どこに質問があったんだろう?
僕には圭介さんをとにかく悪く言いたいってことしかわからなかった。
「そこまで言うなら、やっていない証明の方法を教えてください。私は皆さんが保護した女性に売春を強要したことなどありません。そもそも、支援が必要な女性への支援に関する法律の会議に出席しているのも、私は弁護士として法律の運用についての意見を求められて参加しているに過ぎません」
お義父さんの代役と聞いていたけど。
立場としては、慈善活動家ではなく法律家としての参加だったのか。
むしろ、そういう直接的でない役割でしか会議には出席できなかった?
ここで裁判官にスカウトされるぐらいに優秀な司法修習の成績がいきてくる。
「私は現場で実際に被支援者と関わることはないんです。だからこれまでも現場で実際に支援にあたっている皆さんから意見を聞かせていただいてきたじゃないですか」
このズーム会議の参加者の人達は、圭介さんの福祉アドバイザーだったんだ。
だからこそ、支援が必要な女性への支援に関する法律についての一連の報道に怒ってる。
「それだって議事録に何も残っていないじゃないの。私があなたに伝えた地方都市の現状は一切記録されていないわ」
怒りに任せた声があがる。
それについても圭介さんは落ち着いて答えた。
「議事録については私も問い合わせをしています。なぜ私の発言が残らないのか。提起した起案すら記録されないことは以前にも皆さんにも相談してます」
何度も伝えてるんだから、そろそろ理解してよ。
おかしいのは圭介さんじゃなくて、厚労省の管理する議事録だと気付いてよ。
「もし仮に報道されたように私が会議の進行を妨害したとしたら、なぜその記録すら残っていないのか。本当に私が妨害者であるなら、議事録に残し、有識者から外せば良いでしょう? それをされていない現状をまずは知ってください」
そうだよ。圭介さんはちゃんと会議で発言してるし、資料も提出してるんだ。
議事録に残してもらえないせいで、こんなふうに疑われて。
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何度説明しても堂々巡りじゃないか。
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