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不動ベイシン
オペレーションらびっと2
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『いま電話中』
圭介さんのメッセージに、ペンダントの前でOKサインを作ることで答えた。
静かに入ったらいいんだね。
電話の邪魔をしないように、チャイムは鳴らさずにそっと中に入る。
リビングに圭介さんはいない。2階で仕事中かな?
吉野さんから預かったおかず入りのタッパーを冷蔵庫にしまって。
食べ終わって洗ってあるタッパーを回収する。
ついでに流しに置いたままのコップを洗っていたら圭介さんが降りてきた。
「おはよう。唯。洗い物までありがとう」
『待ってた間、暇だったんで。圭介さん、おはようございます。朝からお仕事お疲れ様です』
濡れた手を拭いて、手話で話すのを圭介さんが手で制した。
「今は電話とか繋がってないから、普通に話して大丈夫だよー」
本当かな? 本当みたい。
「今日はどんな予定ですか? 僕に出来ることは何でも言ってください」
成瀬さんみたいに有能な秘書ではないけど、インターン生に任せる雑務くらいならこなせるよ。
「今日は昼過ぎに衣笠さんとビデオ通話を予定してるよー。手話通訳アプリのデモプレイしようと思ってる。詳しい時間は衣笠さんに合わせるけど2時過ぎくらいかな」
「衣笠大臣、忙しいのに僕の相手をしていて大丈夫なのかな」
リモートでできるなら壁やんに頼んでみる?
退職手続きとかあるから名古屋の屋敷には来られないけど。
お願いしたら手話の通訳アプリのテストプレイに付き合ってくれるよ。
「衣笠さんには唯のスラングだらけな手話を覚えてほしいからね」
「あぁ。僕の手話って省略してる形も多いから。いつか、お会いするかもしれないし、覚えてもらえると助かりますね」
今後、魔女見習いとして外の人ともコミュニケーションが円滑に取れるように。
僕の手話をリアルタイム通訳してくれるアプリを圭介さんが開発してくれてるんだ。
今ってLittle WOMAN対応で忙しいんじゃないのって思うけど。
圭介さんにとって、僕に関わることは息抜きになるから忙しい時ほど時間を作ってやりたいらしい。
余暇はパフォーマンスを維持するために大事。
そんなわけで作ってくれた通訳アプリの実験に立ち会ってくれるのが、同じくとっても忙しいはずの衣笠大臣。
こっちも鈴村さんのファンとして、娘の僕と話すのは外せない予定になるんだって。
ふたりともリフレッシュの方法がちょっとオタクっぽい。
まあ、衣笠大臣とは仲良くなっておいた方が良さそうだし。
鈴村さんだけじゃなくて、僕のことも推してもらおう。
仲良くなれるようにがんばるぞ。
圭介さんは僕に予定を伝えると、また2階の仕事部屋に戻っていった。
午前に急ぎの予定がないなら、僕はMOZUちゃん関係のメールを確認しておこう。
リビングのテーブルに置きっぱなしの僕用のノートパソコンを開く。
お義父さんから借りてるパソコンは離れに置かせてもらって、こういう空き時間に使ってる。
もしも急いで対応する必要があることが起きたら、僕じゃなくて圭介さんに連絡来るから問題ない。
届いたメールを読んでみても、MOZUちゃんに対して僕が今すぐにやれそうなことはないな。
警察の対応待ちって感じ。
離れの掃除も圭介さんが自分でしてるから僕がする必要はない。
やることなくなっちゃった。
「圭介さん、コーヒーを淹れたら飲みますか?」
『ほしい』
お茶汲みぐらいしか思いつかない自分が悲しい。
だけど圭介さんのやっていることは、横から見ても意味が分かんないんだもん。
手伝いますって言うのも憚られる。
2階の仕事部屋にコーヒーを届けに行くと、今日も誰かとリモート会議中。
カメラに映らないように気をつけて、コーヒーの入ったマグカップをデスクの端に置く。
圭介さんが片手で僕にしゃがむように言うので、そっと膝にもたれるように足元に座った。
圭介さんの手のひらが僕の頭を撫でる。
これはコーヒーをありがとうのサイン。
そのあとに僕の耳たぶをつまむのは、ストレスを感じてるのかな?
どうしたの? 今日も意地悪な人がいるの?
耳をつまむ手を優しく握り返した。
圭介さんのメッセージに、ペンダントの前でOKサインを作ることで答えた。
静かに入ったらいいんだね。
電話の邪魔をしないように、チャイムは鳴らさずにそっと中に入る。
リビングに圭介さんはいない。2階で仕事中かな?
吉野さんから預かったおかず入りのタッパーを冷蔵庫にしまって。
食べ終わって洗ってあるタッパーを回収する。
ついでに流しに置いたままのコップを洗っていたら圭介さんが降りてきた。
「おはよう。唯。洗い物までありがとう」
『待ってた間、暇だったんで。圭介さん、おはようございます。朝からお仕事お疲れ様です』
濡れた手を拭いて、手話で話すのを圭介さんが手で制した。
「今は電話とか繋がってないから、普通に話して大丈夫だよー」
本当かな? 本当みたい。
「今日はどんな予定ですか? 僕に出来ることは何でも言ってください」
成瀬さんみたいに有能な秘書ではないけど、インターン生に任せる雑務くらいならこなせるよ。
「今日は昼過ぎに衣笠さんとビデオ通話を予定してるよー。手話通訳アプリのデモプレイしようと思ってる。詳しい時間は衣笠さんに合わせるけど2時過ぎくらいかな」
「衣笠大臣、忙しいのに僕の相手をしていて大丈夫なのかな」
リモートでできるなら壁やんに頼んでみる?
退職手続きとかあるから名古屋の屋敷には来られないけど。
お願いしたら手話の通訳アプリのテストプレイに付き合ってくれるよ。
「衣笠さんには唯のスラングだらけな手話を覚えてほしいからね」
「あぁ。僕の手話って省略してる形も多いから。いつか、お会いするかもしれないし、覚えてもらえると助かりますね」
今後、魔女見習いとして外の人ともコミュニケーションが円滑に取れるように。
僕の手話をリアルタイム通訳してくれるアプリを圭介さんが開発してくれてるんだ。
今ってLittle WOMAN対応で忙しいんじゃないのって思うけど。
圭介さんにとって、僕に関わることは息抜きになるから忙しい時ほど時間を作ってやりたいらしい。
余暇はパフォーマンスを維持するために大事。
そんなわけで作ってくれた通訳アプリの実験に立ち会ってくれるのが、同じくとっても忙しいはずの衣笠大臣。
こっちも鈴村さんのファンとして、娘の僕と話すのは外せない予定になるんだって。
ふたりともリフレッシュの方法がちょっとオタクっぽい。
まあ、衣笠大臣とは仲良くなっておいた方が良さそうだし。
鈴村さんだけじゃなくて、僕のことも推してもらおう。
仲良くなれるようにがんばるぞ。
圭介さんは僕に予定を伝えると、また2階の仕事部屋に戻っていった。
午前に急ぎの予定がないなら、僕はMOZUちゃん関係のメールを確認しておこう。
リビングのテーブルに置きっぱなしの僕用のノートパソコンを開く。
お義父さんから借りてるパソコンは離れに置かせてもらって、こういう空き時間に使ってる。
もしも急いで対応する必要があることが起きたら、僕じゃなくて圭介さんに連絡来るから問題ない。
届いたメールを読んでみても、MOZUちゃんに対して僕が今すぐにやれそうなことはないな。
警察の対応待ちって感じ。
離れの掃除も圭介さんが自分でしてるから僕がする必要はない。
やることなくなっちゃった。
「圭介さん、コーヒーを淹れたら飲みますか?」
『ほしい』
お茶汲みぐらいしか思いつかない自分が悲しい。
だけど圭介さんのやっていることは、横から見ても意味が分かんないんだもん。
手伝いますって言うのも憚られる。
2階の仕事部屋にコーヒーを届けに行くと、今日も誰かとリモート会議中。
カメラに映らないように気をつけて、コーヒーの入ったマグカップをデスクの端に置く。
圭介さんが片手で僕にしゃがむように言うので、そっと膝にもたれるように足元に座った。
圭介さんの手のひらが僕の頭を撫でる。
これはコーヒーをありがとうのサイン。
そのあとに僕の耳たぶをつまむのは、ストレスを感じてるのかな?
どうしたの? 今日も意地悪な人がいるの?
耳をつまむ手を優しく握り返した。
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