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初陣アプレンティス
かいぎストラテジー7
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「司法に訴えるだけが罰じゃないよ」
怒りで声を荒げた僕の頭を圭介さんが優しく撫でる。
その手のぬくもりで毛羽立った僕の心のトゲが溶けていく。
この場で怒っても意味がない。
深く深呼吸をして、荒れる気持ちを落ち着ける。
僕のイライラが収まったところで圭介さんが話を続ける。
「彼らは一種の宗教としてサプリを愛用してる。そのサプリの原料が覚醒剤で汚染していたと知ったら、どう思うかな?」
Little WOMANは覚醒剤を使って女の子達を管理していた。
依存させて判断力を鈍らせて自分達の都合が良い存在にした。
非人道的な売春と胎児工場として。
言葉にするのもおぞましい。人の所業とは思えない。
非科学的なサプリを愛用しているセレブ達は、その信じていたサプリの生産過程が暴かれた時。
どのような行動をするのか。
「安心安全の日本製だと信じて高額でも買っていたんだ。精神的ショックで一気に老け込む人もいるかもね」
どこまでも自分本意な。
そもそも手に入れちゃいけない、作ることを考えることすら許されないサプリだ。
「あと、アメリカとかのキリスト教文化圏だと、そもそも中絶が禁忌だよね。母親の腹の中から無理矢理奪い取った胎児を私的に利用していたことが、噂レベルでもバレたら困る客も多いんじゃないかな。これはもう俺達とは違う価値観での嫌悪だよ。神の教えに背く悪魔の所業だ」
キリスト教とか関係なく悪魔以外の何者でもないです。
仏教でもイスラム教でもヒンドゥー教でも駄目。
「そういう裏取りのされた噂を流すことは僕達にも出来ますか?」
「どこまで顧客リストを晒すのか悩むとこだけど、それなりの信憑性のある都市伝説ぐらいにはなれる」
そういう手段もあるのなら。
少し卑怯な気もするけど、正攻法で戦えない相手には仕方がない。
「そういうことだからLittle WOMANの売春と覚醒剤所持だけでも暴けたら大きな意味はあるよ」
裏社会の罪は裏社会で裁いてもらうのか。
もやもやするけど、それしか僕達にできることはない。
「サプリの売人は客に詰められるから、それが罰になるんじゃない? もちろん生産工場もね。これまで威を借りていた虎に噛み付かれるのはどんな気持ちになるかな?」
楽しそうにしてる圭介さんが怖い。
噛み付く虎は王族をはじめとした上流階級の人達だ。
ぜんぜん楽しい話じゃないよ。怖い話だよ。
その後も僕達は話し合いを続けた。
圭介さんは僕に嘘がつけるかと聞いてくる。
「Little WOMANを潰すのに唯の嘘が必要だよ。嘘は嫌いなんでしょ? 騙せる?」
「嘘をつかれるのは嫌いだし、嘘をつくのも下手だけど。僕、野球部でポジションはキャッチャーだったんですよ。見せ球使った駆け引きもするし。嘘がつけないわけじゃないです」
そこまで潔癖ではないよ。
偽証罪に問われるような大きな嘘は無理でも。
誰だってつくような小さな嘘は僕も言う。
時に人は嘘を付くことで円滑な人間関係を築くのだから。
「それに圭介さんだって僕の嘘にずっと騙されてたんでしょ? 僕がヘテロだって偽っていたのも嘘ですよ?」
「そうだった。俺は唯に騙された」
「簡単でシンプルな嘘を突き通すことなら出来ます」
「唯の演技力も計画に組み込んで作戦を立てよう」
はい。任せてください。
僕、鈴村さんも騙しきってみせるよ。
怒りで声を荒げた僕の頭を圭介さんが優しく撫でる。
その手のぬくもりで毛羽立った僕の心のトゲが溶けていく。
この場で怒っても意味がない。
深く深呼吸をして、荒れる気持ちを落ち着ける。
僕のイライラが収まったところで圭介さんが話を続ける。
「彼らは一種の宗教としてサプリを愛用してる。そのサプリの原料が覚醒剤で汚染していたと知ったら、どう思うかな?」
Little WOMANは覚醒剤を使って女の子達を管理していた。
依存させて判断力を鈍らせて自分達の都合が良い存在にした。
非人道的な売春と胎児工場として。
言葉にするのもおぞましい。人の所業とは思えない。
非科学的なサプリを愛用しているセレブ達は、その信じていたサプリの生産過程が暴かれた時。
どのような行動をするのか。
「安心安全の日本製だと信じて高額でも買っていたんだ。精神的ショックで一気に老け込む人もいるかもね」
どこまでも自分本意な。
そもそも手に入れちゃいけない、作ることを考えることすら許されないサプリだ。
「あと、アメリカとかのキリスト教文化圏だと、そもそも中絶が禁忌だよね。母親の腹の中から無理矢理奪い取った胎児を私的に利用していたことが、噂レベルでもバレたら困る客も多いんじゃないかな。これはもう俺達とは違う価値観での嫌悪だよ。神の教えに背く悪魔の所業だ」
キリスト教とか関係なく悪魔以外の何者でもないです。
仏教でもイスラム教でもヒンドゥー教でも駄目。
「そういう裏取りのされた噂を流すことは僕達にも出来ますか?」
「どこまで顧客リストを晒すのか悩むとこだけど、それなりの信憑性のある都市伝説ぐらいにはなれる」
そういう手段もあるのなら。
少し卑怯な気もするけど、正攻法で戦えない相手には仕方がない。
「そういうことだからLittle WOMANの売春と覚醒剤所持だけでも暴けたら大きな意味はあるよ」
裏社会の罪は裏社会で裁いてもらうのか。
もやもやするけど、それしか僕達にできることはない。
「サプリの売人は客に詰められるから、それが罰になるんじゃない? もちろん生産工場もね。これまで威を借りていた虎に噛み付かれるのはどんな気持ちになるかな?」
楽しそうにしてる圭介さんが怖い。
噛み付く虎は王族をはじめとした上流階級の人達だ。
ぜんぜん楽しい話じゃないよ。怖い話だよ。
その後も僕達は話し合いを続けた。
圭介さんは僕に嘘がつけるかと聞いてくる。
「Little WOMANを潰すのに唯の嘘が必要だよ。嘘は嫌いなんでしょ? 騙せる?」
「嘘をつかれるのは嫌いだし、嘘をつくのも下手だけど。僕、野球部でポジションはキャッチャーだったんですよ。見せ球使った駆け引きもするし。嘘がつけないわけじゃないです」
そこまで潔癖ではないよ。
偽証罪に問われるような大きな嘘は無理でも。
誰だってつくような小さな嘘は僕も言う。
時に人は嘘を付くことで円滑な人間関係を築くのだから。
「それに圭介さんだって僕の嘘にずっと騙されてたんでしょ? 僕がヘテロだって偽っていたのも嘘ですよ?」
「そうだった。俺は唯に騙された」
「簡単でシンプルな嘘を突き通すことなら出来ます」
「唯の演技力も計画に組み込んで作戦を立てよう」
はい。任せてください。
僕、鈴村さんも騙しきってみせるよ。
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