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くらげ

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初陣アプレンティス

そうかんレジュメ3

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「そうやって稼いだ金は親父に預けて適当に使ってもらったよ。俺が持ってても使わないし、経済回す方が良いから」

資産の使い方には興味がないと言う圭介さん。
そして貯めるよりも経済の活性化に役立てたい。
その“適当”はちょうどよい具合にって意味の方だ。

「圭の稼ぎは儂から樹にも渡しておるよ。組の者を食わせるのに使わせてもらっとる」

お義父さんはその使い道の一部を教えてくれた。
前に花見会で樹さんが言っていた、稼ぎの良い弟という呼び方。
たしかに稼いでる。とっても非合法なやり方で。

この他にもお義父さんに渡しているなら福祉関係の人達にも使われてるのかな?
でも福祉にはたくさんの補助金があるって言ってたし、わざわざ違法に稼いだお金は必要ない?

「あとは大学でやっているような研究への支援。他にも一次産業の買い支え。最近は管理されとらん山林や離島を買って人の手を入れる活動にも金を使っとる。放置した里山は危険だからな」

お義父さんがいくつものお金の使い道を教えてくれる。
その人手は自然派新興宗教を使って集めたりもしているらしい。
太陽光パネル以外にも繋がりのある宗教団体があるのか。

文化的な方面でも才能を感じた若手アーティストの作品を買って応援していると言う。
先程まで食堂に飾っていた静物画はそういう経緯で手に入れたものらしい。
パトロンってやつだ。

大学の研究はすぐに収益化は出来なくても将来に役立つことを調べているわけで。
実験室に対して国から支援金が出てるって聞いたことある。
その申請書作りが大変だと同じサークルの物理学を専攻している子が話してくれたんだ。
僕は彼の愚痴を聞くことしか出来なかったけど。
彼が調べているナノテクノロジーの実験の話は聞いていて楽しかった。

一次産業にも補助金はあるはず。
でもお金を配るだけでは良くないことも僕は知ってる。
補助金で焼け太りして働く意欲を失う人を見た。
だから買い支え。作ったものに対して支払うんだ。

だけどそれってお義父さんがやること?
正しいことをしているようだけど原資は圭介さんが犯罪行為で稼いだお金。
わざわざお義父さん達が後ろめたいことしなくても。
政府が集めた税金を適切に割り振って使えば良い話だ。

圭介さんもお義父さんの使い道を知っていて、さらにお金が必要だって稼ごうとしてない?
そんなの個人のやるべきことじゃない。

「それらは本来、政府や自治体が行うべき支援ですよね?」
「儂個人だから出来ることも多いんだよ。あくまでも田中保のお眼鏡にかなった事業を応援してるだけだ」

しがらみのない個人だから出来ること。
手段を選ばず集められるお金とその使い道。
お義父さんはまるで政治家のように、それでいてあくまでも個人として政策に縛られない支援活動を続けている。

「親父のお陰で俺が許されてるところもあるよー。もう田中保の金配りを止められないんだ。それで保たれてる平穏があるから」

簡単には止められないくらい、いろんなところに入り込んでるお義父さんの支援。

「食えなくなったヤクザはヤクザをやめる。そしたら地下に潜って犯罪行為をするだろうね。いまさら真っ当には生きられないから。それだと治安が悪化するから管理できるところにいて欲しい」

元ヤクザが管理されない犯罪集団になられるのも困る。
それならば暴対法の範囲に収まっていてほしいと願うのか?

「他にも金配り爺さんとしてのバラマキも止まったら困る業界は多数に及ぶよ。買い支えられて何とか耐えてるところはいくつもあるからね」

不景気が続くことで衰退する業界もある。
技術の継承がされないで消えるのは惜しいけど、食べていけない仕事を続けることも難しい。
そういった文化を下支えしているのだろうか。

農業も土地があったって人手がなければ作物は育たない。
どれだけ機械化で負担を軽くしても無人化は出来ない。
遠い未来には完全工業化された野菜生産工場が出来るのかもしれないけど。

近い将来を守るためにお義父さんは買い支えという名のバラマキを行っている。
そう考えると、その元手を市場から集めてくるのもアリなのか。
圭介さんとお義父さん達がしていることの規模が大き過ぎて僕一人じゃ判断できないよ。
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