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初陣アプレンティス
こうとうレポート5
しおりを挟む「唯の趣味の映画鑑賞。あれは映画を楽しんでいるんじゃなくて、俳優を見るのを楽しんでいたよね。唯が映画を見る時のセレクトが前から疑問だった。話題の映画だから見るわけでも、監督にこだわるわけでもない。ジャンルもバラバラ。数をたくさん見るわけでもないのに、気にいると同じ映画を何度も見てる」
やめて。そのプロファイリングは駄目だ。
人前で性癖がばれる瞬間を突き付けられるのはキツい。
「その疑問も唯が映画を楽しむというより俳優鑑賞のために見てるって思ったら納得できた。長年の疑問が晴れた瞬間だったね」
たしかに僕はポスターやCMで好みの俳優さんが出ている映画を選んでいたけど。
スクリーンならどれだけイケメンを見ても変じゃないから、一度ハマるとどんなにつまらない内容でも複数回見に行ったりもしたけど。
そんなことで分かるものなのか?
ハイスペックストーカーなら分かるのか?
「未経験なのにいきなり野球部に入部したのも、好きな奴がいたからだろうって思った。けど誰かまでは分からなくて。唯は隠すのが上手だから困った。鶴見有希翔、中原亮、住吉拓磨。この辺が怪しいとは思ったんだよ。高校からは平間健太郎との距離の近さも気になった。半分正解だったね」
ちょっと待って。僕の片思いの相手を推測するまでは良いけど、なんで答え合わせが済んでるの!?
平間君や鶴見先輩のことを圭介さんに話したことないのに。
まさか。
「壁やんとの会話も聞いてたんですか?」
お風呂にカメラを仕込むぐらいだ。
リビングに盗聴器ぐらい平気で用意する。
そして。黙るな。それが答えじゃん。
「聞かれてたなんて最悪だ」
壁やんだから話したんだ。
圭介さんに聞かれてるって分かってたら話さなかった。
「素敵な思い出を聞けて嬉しかったよ。平間健太郎が悪い奴じゃないのは俺も調べて知ってる」
人の失恋話を素敵な思い出って言うなよ。
好きだって気持ちを隠して一緒にいるのは苦しかった。
誰にも相談できなくて、何度も一人で泣いていた。
今では平間君を友達として好きだと言えるくらいになれたけど。
そんなふうに笑えるものじゃない。
「平間君に変なことしちゃ駄目ですよ」
彼は関係ないんだ。僕が勝手に片思いしてただけ。
社会人野球で頑張ってて活躍次第ではプロにいけるかもしれない選手だ。
圭介さんの嫉妬でおかしなことになっちゃいけない。
「平間健太郎には何もしてないよ。でも唯が応援してるならプロ野球選手にしてあげることは出来るよ?」
なんてことを言い出すんだ。
「無理にプロ入りさせないでください。実力でプロになれなかったらそれまでなんです」
コネで入団しても苦しむのは平間君だ。
圭介さんには平間君には何もするなと念押ししておく。
僕が何かしなくても平間君は大丈夫。
むしろ圭介さんが変に絡む方が危険。
何もしないことが彼のためになる。
「もし平間君にちょっかいかけたら圭介さんと絶交するから」
これは冗談なんかじゃない。本気だぞ。
圭介さんは本当に分かってくれたのか疑問だけど、平間君に対して何もしないと約束してくれた。
「だいたい今は圭介さんについての話し合い中です。平間君のことは関係ない」
話が本筋からズレてる。元に戻そう。
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