恋愛サティスファクション

くらげ

文字の大きさ
上 下
285 / 469
初陣アプレンティス

ふれんどハイシン2

しおりを挟む
なんで頑なに配信を続けるの?
MOZUちゃんはまだ子供だよ。
ひとりで抱え込まなくて大人を頼ってもいいんだ。

「お金を稼がなきゃいけないからだよ。子供産むのにも育てるのにもお金は必要だから」
『赤ちゃんを産むなら配信するより病院に行かなきゃ』
「最初にも言ったけど持ってたものを何もかも財布すらLittle WOMENに取られてて。その中に保険証も入れてたから私病院には行けないんだ」

保険証がないから病院に行けないの?
じゃあ、その事が何とかなったら病院にも言ってくれる?

「Twitterのリプ欄に産婦人科医を名乗る人がいます。信用できる内容なので。ちょっとRTして拾ってください」

Twitterをチェックしていた二上さんが有用なリプを見つけてくれた。
ありがとうございます。
このハリネズミがアイコンのお医者さんだね。

『MOZUちゃん読んで。ハリネズミを飼ってる産婦人科医さんが今すぐに病院に行くことが大事だよって教えてくれてるから。下にも続いてる内容がとても分かりやすいの』

ハリネズミのお医者さんは保険証が手元になくても、お金がすぐに用意できなくても、今すぐに病院に行くように強い言葉で伝えてくれている。
それはMOZUちゃんだけじゃなくてお腹の赤ちゃんのことを思っての言葉。
母子を守るために妊婦健診がとても大事なのだと教えてくれている。

『お金や保険証は言い訳ですよね? 本当は不安がいっぱいなんじゃないですか? 産むのか産まないのか。その決断を含めて僕達産婦人科医は相談にのります。病院には助産師や看護師もいます。今はあなただけの体でないことを自覚してください。母になると言うのなら強くなってください』

叱咤激励。厳しい言葉。これは僕にはできないよ。
産婦人科医の先生だからできること。

「でも、一人で行くの怖いもん」

MOZUちゃんがハリネズミのお医者さんのTweetを全部読み終わって。ぽつりと呟いた。
そのタイミングで今日は最初の挨拶のあとはずっと黙っていたこころのやどり木のアカウントで泰葉さんがコメントを書き込む。

『ひとりじゃないですよ。私がいます』

MOZUちゃんがそのコメントに気づいた。
そうだよ。MOZUちゃんはひとりじゃないよ。
さっきも言ったけど、たくさんの人が君のことを思っているんだ。
それに気づいて。

『そのための私達です。不安に思う気持ちも聞かせてください。一緒に考えさせてください』

ずっと配信を見守ってくれていたNPOのアカウントから病院に付き添うと言ってもらえて。
MOZUちゃんはもじもじと悩み出した。
これってあとひと押し?

『バニラもこころのやどり木さんに相談にのってもらってるけど相談員さんはすごく良い人だよ。ちゃんと話を聞いてくれて問題を解決するための手段として色んなこと教えてくれるの。これが正解だとひとつの答えを押し付けたりもしない。だからMOZUちゃんもこころのやどり木さんを頼って大丈夫だよ』

一部相談員は信用ならない魔女だけど。
MOZUちゃんの対応は泰葉さんが直接してくれるって言ってたから大丈夫。

「バニラちゃんも相談してるの?」
『うん。さっき話した彼のこととか。あとお母さんのことも相談してるよ』

鈴村さんのことはこれから相談するんだけど。
それは誤差だよね。
僕も相談している相手だというのが決定打になった。

「こころさんのTwitterにDMしてみる」
『うん。こころのやどり木さんとお話してみて。バニラよりずっと頼りになる大人だから』

MOZUちゃんは自分のスマホを持っていないから。
YouTuberのお兄さんのスマホを借りて、でも自分の手でDMを送る。
それを見守るチャットの中に同情を誘ってスパチャ狙い? などのアンチコメントが紛れてる。
こころのやどり木に対するヤラセを疑うコメントも。
このへんはどうせLittle WOMENの中の人達なんだろう。
そんなもの無視だ無視。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

体育教師に目を付けられ、理不尽な体罰を受ける女の子

恩知らずなわんこ
現代文学
入学したばかりの女の子が体育の先生から理不尽な体罰をされてしまうお話です。

タイは若いうちに行け

フロイライン
BL
修学旅行でタイを訪れた高校生の酒井翔太は、信じられないような災難に巻き込まれ、絶望の淵に叩き落とされる…

こども病院の日常

moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。 18歳以下の子供が通う病院、 診療科はたくさんあります。 内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc… ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。 恋愛要素などは一切ありません。 密着病院24時!的な感じです。 人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。 ※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。 歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。

保健室の秘密...

とんすけ
大衆娯楽
僕のクラスには、保健室に登校している「吉田さん」という女の子がいた。 吉田さんは目が大きくてとても可愛らしく、いつも艶々な髪をなびかせていた。 吉田さんはクラスにあまりなじめておらず、朝のHRが終わると帰りの時間まで保健室で過ごしていた。 僕は吉田さんと話したことはなかったけれど、大人っぽさと綺麗な容姿を持つ吉田さんに密かに惹かれていた。 そんな吉田さんには、ある噂があった。 「授業中に保健室に行けば、性処理をしてくれる子がいる」 それが吉田さんだと、男子の間で噂になっていた。

ニューハーフな生活

フロイライン
恋愛
東京で浪人生活を送るユキこと西村幸洋は、ニューハーフの店でアルバイトを始めるが

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

少年ペット契約

眠りん
BL
※少年売買契約のスピンオフ作品です。 ↑上記作品を知らなくても読めます。  小山内文和は貧乏な家庭に育ち、教育上よろしくない環境にいながらも、幸せな生活を送っていた。  趣味は布団でゴロゴロする事。  ある日学校から帰ってくると、部屋はもぬけの殻、両親はいなくなっており、借金取りにやってきたヤクザの組員に人身売買で売られる事になってしまった。  文和を購入したのは堂島雪夜。四十二歳の優しい雰囲気のおじさんだ。  文和は雪夜の養子となり、学校に通ったり、本当の子供のように愛された。  文和同様人身売買で買われて、堂島の元で育ったアラサー家政婦の金井栞も、サバサバした性格だが、文和に親切だ。  三年程を堂島の家で、呑気に雪夜や栞とゴロゴロした生活を送っていたのだが、ある日雪夜が人身売買の罪で逮捕されてしまった。  文和はゴロゴロ生活を守る為、雪夜が出所するまでの間、ペットにしてくれる人を探す事にした。 ※前作と違い、エロは最初の頃少しだけで、あとはほぼないです。 ※前作がシリアスで暗かったので、今回は明るめでやってます。

営業活動

むちむちボディ
BL
取引先の社長と秘密の関係になる話です。

処理中です...