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初陣アプレンティス
ゆうじょうオンエア1
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現在16時45分。
Twitterでの告知通りなら、あと15分でMOZUちゃんのLIVE配信が始まる。
僕はその配信のチャット欄にお邪魔して話をしようと思っている。
さきほどまで福祉のプロの泰葉さんにMOZUちゃんとお話する前に気をつけることを相談していた。
メンタルアドバイザーとか心理士とか。
僕はそういう特別な資格は持っていない。
だから話す時に気をつけるポイントや言葉遣いなんかを教えて欲しかったんだけど。
「付け焼き刃の知識は逆に不信感を与えてしまいます。いつものバニラさんがお友達として話してください」
話す内容も僕の好きにして良いって。
それは信頼? 丸投げ?
圭介さんにも相談したけど。
「唯が伝えたいことを話したらいいんだよー」
本当にそれでいいんだな。
ふたりがそう言うなら信じるよ。
僕はMOZUちゃんに君を心配してるって伝えたい。
病院に行って欲しいって伝えたい。
LIVE配信なんてやめて、インターネットの意地悪な人から距離を置いてほしい。
チャット欄で盛り上がってる人達の中身。
Little WOMENと圭介さんの仕込みだもん。
ふたつの勢力がMOZUちゃんの配信のチャット欄を勝手に使ってケンカしてる。
MOZUちゃんに関係の無い、悪い大人の口喧嘩。
人の家の庭で暴れるなんて躾がなってないなあ。
これに関しては後で圭介さんも叱っておこう。
配信開始まであと10分。
YouTubeのコメントをする用の甘野バニラ名義のアカウントは用意した。
これまでMOZUちゃんとしてきたDMを何度も読み直した。
楽しかったデートの思い出や辛いケンカの相談を僕にしてくれたMOZUちゃん。
僕達はお友達だよね。だから僕は君のために出来ることを探すよ。
泰葉さんにお願いして安全に病院に行けるよう手配した。
あとはMOZUちゃんの気持ちだけ。
お願い。僕の言葉が届いて。
手の中のiPhoneをお守りのように握りしめて祈った。
「唯、そろそろ時間だよ」
リビングのソファに並んで座る圭介さんに声をかけられた。
目の前のローテーブルに用意されたノートパソコン。
これで今からMOZUちゃんのLIVE配信を見る。
気が早いリスナーさんがもうチャット欄にいてMOZUちゃんへの皆の関心の高さが伺える。
僕の背面にある大きなダイニングテーブルにも複数台のパソコンが用意されていて。
これは成瀬さんと二上さんがコメント欄やTwitterなどの監視に使う。
ふたりとも僕のワガママを手伝ってくれてありがとうございます。
圭介さんの友達で天才ハッカーのケンゾーさんが今日もリアルタイムで書き込んだ人を特定してくれるそうだ。
書き込みがLittle WOMENの関係者なら無視すればいい。
圭介さんは僕の隣で一緒にMOZUちゃんへ伝える言葉を考えてもらうことになった。
本当は玲司君にもそばにいて欲しかったんだけど。
鈴村さんが今日の配信をリアルタイムで見るために仕事の肩代わりをしていて忙しいから諦めた。
玲司君は玲司君でお仕事がんばって。日曜日なのにお疲れ様。
鈴村さんからもアドバイスが欲しくて、すでに通話が繋がっている。
グループ通話で繋がっているのは泰葉さんも。
MOZUちゃんには僕の言葉で話しかけると決まったけど、とっさの相談がしたい場面もあるだろうから。
ふたりには相談役としてついてもらう。
時計は17時3分。
予定より数分遅れて配信が始まった。
「みなさん、こんもずー。今日も配信見に来てくれてありがとう」
画面の中には作った笑顔で手を振っているMOZUちゃん。
さっそくチャット欄には『こんもずー』という挨拶がならぶ。
その中にはMOZUちゃんの容姿をけなすアンチのコメも。
いまブスって言ったやつ、誰? こいつはギルティ。
MOZUちゃんは可愛いだろ。
成瀬さん経由でケンゾーさんに身元確認を頼む。
MOZUちゃんの悪口を言ったやつは後からきちんと磔にしてやる。
はじまりの挨拶が落ち着いた頃を見計らって。
僕も最初のコメントを残した。
Twitterと同じ金平糖のアイコン。甘野バニラの名前で。
『MOZUちゃん。こんもずです』
こんな普通のコメントじゃ気付いてもらえないだろうけど。
バニラが初手から自分を強くアピールするの変だし。
すっごく悩んだけどこうなった。
Twitterでの告知通りなら、あと15分でMOZUちゃんのLIVE配信が始まる。
僕はその配信のチャット欄にお邪魔して話をしようと思っている。
さきほどまで福祉のプロの泰葉さんにMOZUちゃんとお話する前に気をつけることを相談していた。
メンタルアドバイザーとか心理士とか。
僕はそういう特別な資格は持っていない。
だから話す時に気をつけるポイントや言葉遣いなんかを教えて欲しかったんだけど。
「付け焼き刃の知識は逆に不信感を与えてしまいます。いつものバニラさんがお友達として話してください」
話す内容も僕の好きにして良いって。
それは信頼? 丸投げ?
圭介さんにも相談したけど。
「唯が伝えたいことを話したらいいんだよー」
本当にそれでいいんだな。
ふたりがそう言うなら信じるよ。
僕はMOZUちゃんに君を心配してるって伝えたい。
病院に行って欲しいって伝えたい。
LIVE配信なんてやめて、インターネットの意地悪な人から距離を置いてほしい。
チャット欄で盛り上がってる人達の中身。
Little WOMENと圭介さんの仕込みだもん。
ふたつの勢力がMOZUちゃんの配信のチャット欄を勝手に使ってケンカしてる。
MOZUちゃんに関係の無い、悪い大人の口喧嘩。
人の家の庭で暴れるなんて躾がなってないなあ。
これに関しては後で圭介さんも叱っておこう。
配信開始まであと10分。
YouTubeのコメントをする用の甘野バニラ名義のアカウントは用意した。
これまでMOZUちゃんとしてきたDMを何度も読み直した。
楽しかったデートの思い出や辛いケンカの相談を僕にしてくれたMOZUちゃん。
僕達はお友達だよね。だから僕は君のために出来ることを探すよ。
泰葉さんにお願いして安全に病院に行けるよう手配した。
あとはMOZUちゃんの気持ちだけ。
お願い。僕の言葉が届いて。
手の中のiPhoneをお守りのように握りしめて祈った。
「唯、そろそろ時間だよ」
リビングのソファに並んで座る圭介さんに声をかけられた。
目の前のローテーブルに用意されたノートパソコン。
これで今からMOZUちゃんのLIVE配信を見る。
気が早いリスナーさんがもうチャット欄にいてMOZUちゃんへの皆の関心の高さが伺える。
僕の背面にある大きなダイニングテーブルにも複数台のパソコンが用意されていて。
これは成瀬さんと二上さんがコメント欄やTwitterなどの監視に使う。
ふたりとも僕のワガママを手伝ってくれてありがとうございます。
圭介さんの友達で天才ハッカーのケンゾーさんが今日もリアルタイムで書き込んだ人を特定してくれるそうだ。
書き込みがLittle WOMENの関係者なら無視すればいい。
圭介さんは僕の隣で一緒にMOZUちゃんへ伝える言葉を考えてもらうことになった。
本当は玲司君にもそばにいて欲しかったんだけど。
鈴村さんが今日の配信をリアルタイムで見るために仕事の肩代わりをしていて忙しいから諦めた。
玲司君は玲司君でお仕事がんばって。日曜日なのにお疲れ様。
鈴村さんからもアドバイスが欲しくて、すでに通話が繋がっている。
グループ通話で繋がっているのは泰葉さんも。
MOZUちゃんには僕の言葉で話しかけると決まったけど、とっさの相談がしたい場面もあるだろうから。
ふたりには相談役としてついてもらう。
時計は17時3分。
予定より数分遅れて配信が始まった。
「みなさん、こんもずー。今日も配信見に来てくれてありがとう」
画面の中には作った笑顔で手を振っているMOZUちゃん。
さっそくチャット欄には『こんもずー』という挨拶がならぶ。
その中にはMOZUちゃんの容姿をけなすアンチのコメも。
いまブスって言ったやつ、誰? こいつはギルティ。
MOZUちゃんは可愛いだろ。
成瀬さん経由でケンゾーさんに身元確認を頼む。
MOZUちゃんの悪口を言ったやつは後からきちんと磔にしてやる。
はじまりの挨拶が落ち着いた頃を見計らって。
僕も最初のコメントを残した。
Twitterと同じ金平糖のアイコン。甘野バニラの名前で。
『MOZUちゃん。こんもずです』
こんな普通のコメントじゃ気付いてもらえないだろうけど。
バニラが初手から自分を強くアピールするの変だし。
すっごく悩んだけどこうなった。
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