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初陣アプレンティス
おしえてディスクロージャー2
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ずっと聞きたかったことを質問したのに。成瀬さんが固まってしまった。
質問の仕方が曖昧で駄目なのかな?
そういえば玲司君は圭介さんにAIに質問するみたいな聞き方してた。
成瀬さんもそういう聞き方の方が良いのかな?
『僕達がマンションからお義父さんの屋敷に移動するきっかけとなった、鈴村さんが第二の安奈と呼ぶ、Little WOMENに中絶手術を強要されたことをYouTubeのLIVE配信で訴えていた女の子について。現状で分かっていることを全て教えてください』
これだけはっきり女の子について定義したら大丈夫でしょ。
僕が知りたいことをひとつ教えてくれるっていう約束。守ってよ。
「佐倉さんはひとつだけって約束を守っているんです。誠実に答えてあげないと、この人またどっか行っちゃいますよ」
いつの間にかソファに座って僕の為にと用意されたアイスティーを飲んでいる二上さん。
この場で一番余裕のある態度なのが彼の掴みどころのなさでもある。
ただの看護師じゃない。
でも僕の知りたいことを教えるようにと後押ししてくれた。
この件に関しては味方をしてくれる。
意外といい人かも。
成瀬さんが資料を取ってくると階段を上がっていった。
アイスティーの次はクッキーのパッケージを開けて食べ始める二上さん。
僕はそんな彼を寛いでいるなあと思って見ていた。
「お茶や菓子に変な味はしないので、混ぜ物はなさそうですよ。俺はそんなに訓練してないから絶対はないですが。心配なら屋敷から茶菓子運びますけど?」
二上さんは毒味をしてくれていたんだ。
優雅なティータイムだと思っててごめんなさい。
『二上さんが大丈夫って言うならいただきます。僕、このレモンクッキーが子供の頃から大好きなんです』
僕は二上さんが安全だと思ったものは信じたい。
だって僕の健康をずっと気にかけてくれている人だから。
そんな人を信じられなくなったら。
僕、人として終わっちゃうよ。
二上さんと向き合うようにソファに腰掛けて、さくさくのバタークッキーを食べて、よく冷えたアイスティーを飲む。
成瀬さん、資料を取りに行って帰ってこないな。
もしかして。時間稼ぎして足止めされてる?
『成瀬さん戻ってこないし帰ります?』
僕の質問に二上さんは何も答えてくれない。
黙ってスマホを触ってる。
おそらく二上さんは他の人に僕の言動を伝えているのだろう。
伝書鳩が清々しくて、いっそ笑ってしまう。
二階から慌ただしく駆けてくる足音。
僕を帰すわけにはいかない成瀬さんが紙の束を抱えて戻ってきた。
「全ての情報ってなると、まだ他にもあります。一旦これを読んで待っててください」
どさりと音を立ててテーブルに置かれた紙の束。
これで情報の一部なのか。
『紙の情報もいいけど僕はあの子の配信も見たいです』
「配信を書き起こした物もこちらにあるので、それを読むんじゃ駄目ですか?」
紙の山を崩して、探し出したプリントを渡される。
受け取るし読むけど。
『書き起こし文はあとから情報を整理するのには良いけど、ライブ感とか空気みたいなのは配信見ないと分かんないですよね?』
僕にYouTubeを見せたくないんだなっていうのがよく分かる成瀬さんの態度。
でも僕は全てってお願いしてるじゃん。
約束は守ろうよ。
「そんなに見たいなら。スマホ貸してあげますよ。自己責任でどうぞ」
二上さんがずっと手に持っていたスマホとは違うスマホを貸してくれた。
『ありがとうございます』
みんな複数台持ちが当たり前って感じだけど。
そんなにたくさんあるなら僕にも普通のスマホちょうだい。
ってか、僕のiPhone14返せよ。
質問の仕方が曖昧で駄目なのかな?
そういえば玲司君は圭介さんにAIに質問するみたいな聞き方してた。
成瀬さんもそういう聞き方の方が良いのかな?
『僕達がマンションからお義父さんの屋敷に移動するきっかけとなった、鈴村さんが第二の安奈と呼ぶ、Little WOMENに中絶手術を強要されたことをYouTubeのLIVE配信で訴えていた女の子について。現状で分かっていることを全て教えてください』
これだけはっきり女の子について定義したら大丈夫でしょ。
僕が知りたいことをひとつ教えてくれるっていう約束。守ってよ。
「佐倉さんはひとつだけって約束を守っているんです。誠実に答えてあげないと、この人またどっか行っちゃいますよ」
いつの間にかソファに座って僕の為にと用意されたアイスティーを飲んでいる二上さん。
この場で一番余裕のある態度なのが彼の掴みどころのなさでもある。
ただの看護師じゃない。
でも僕の知りたいことを教えるようにと後押ししてくれた。
この件に関しては味方をしてくれる。
意外といい人かも。
成瀬さんが資料を取ってくると階段を上がっていった。
アイスティーの次はクッキーのパッケージを開けて食べ始める二上さん。
僕はそんな彼を寛いでいるなあと思って見ていた。
「お茶や菓子に変な味はしないので、混ぜ物はなさそうですよ。俺はそんなに訓練してないから絶対はないですが。心配なら屋敷から茶菓子運びますけど?」
二上さんは毒味をしてくれていたんだ。
優雅なティータイムだと思っててごめんなさい。
『二上さんが大丈夫って言うならいただきます。僕、このレモンクッキーが子供の頃から大好きなんです』
僕は二上さんが安全だと思ったものは信じたい。
だって僕の健康をずっと気にかけてくれている人だから。
そんな人を信じられなくなったら。
僕、人として終わっちゃうよ。
二上さんと向き合うようにソファに腰掛けて、さくさくのバタークッキーを食べて、よく冷えたアイスティーを飲む。
成瀬さん、資料を取りに行って帰ってこないな。
もしかして。時間稼ぎして足止めされてる?
『成瀬さん戻ってこないし帰ります?』
僕の質問に二上さんは何も答えてくれない。
黙ってスマホを触ってる。
おそらく二上さんは他の人に僕の言動を伝えているのだろう。
伝書鳩が清々しくて、いっそ笑ってしまう。
二階から慌ただしく駆けてくる足音。
僕を帰すわけにはいかない成瀬さんが紙の束を抱えて戻ってきた。
「全ての情報ってなると、まだ他にもあります。一旦これを読んで待っててください」
どさりと音を立ててテーブルに置かれた紙の束。
これで情報の一部なのか。
『紙の情報もいいけど僕はあの子の配信も見たいです』
「配信を書き起こした物もこちらにあるので、それを読むんじゃ駄目ですか?」
紙の山を崩して、探し出したプリントを渡される。
受け取るし読むけど。
『書き起こし文はあとから情報を整理するのには良いけど、ライブ感とか空気みたいなのは配信見ないと分かんないですよね?』
僕にYouTubeを見せたくないんだなっていうのがよく分かる成瀬さんの態度。
でも僕は全てってお願いしてるじゃん。
約束は守ろうよ。
「そんなに見たいなら。スマホ貸してあげますよ。自己責任でどうぞ」
二上さんがずっと手に持っていたスマホとは違うスマホを貸してくれた。
『ありがとうございます』
みんな複数台持ちが当たり前って感じだけど。
そんなにたくさんあるなら僕にも普通のスマホちょうだい。
ってか、僕のiPhone14返せよ。
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