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可視化ライブラリ
やはんカーチェイス4
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「こんな夜更けにどうしました?」
ワンコールで出てくれたのは穏やかな声の男の人。
そうだよね。こんな夜遅くに迷惑だよね。
でも僕達ピンチなんです。許して。
「今、煽り運転の被害にあってて。助けてください!」
伝えたいことは簡潔に。僕達を助けて!
「分かりました。すぐに向かいますから、落ち着いて今いる場所を教えてくれますか?」
「今いる場所? 名古屋駅から離れちゃったからどこか分かんないです。広い道路?」
土地勘ない人間に無理言わないで。
片側三車線の広い道としか伝えられない。
「錦通を栄に向かって走っとる。今ちょうど堀川を越えたとこだ」
僕の代わりに染井さんが現在地を伝えてくれた。
ありがとうございます。
聞こえました? この説明で佐野さんも分かります?
染井さんが話しやすいように通話をスピーカーにした。
「そのまま真っ直ぐ通りを走ってください」
「俺もそうしたいがよ。奴さんがさせてくれるかは分からん」
「もうそちらに向かっています。あと5分耐えてください。広小路の交番にも応援を頼みました」
「5分なんて無茶言いやがる」
そう口では悪態をついてるけど。染井さんはさっきまでより余裕が出来た雰囲気。
やっぱりパトカーが来てくれるって分かると安心だよね。
ところで交番に直接連絡が取れる佐野さんは何者?
佐野さんに聞きたかったことがあるのに。
今は教えてもらう時じゃないみたい。
突如、車体が大きく揺れるほどの衝撃。
大きな音と反動に横からぶつけられたのだと理解する。
「フィットがアルファードにケンカ売るんじゃねえ。ふざけんな。車がわやになるがや」
染井さんがさっきから口が悪くて怖い。
でも怒っちゃう気持ちも分かる。
さすがに体当りはダメだよ。
お互いに危ない。怪我しちゃう。
「大丈夫ですか? かなり大きな音がしましたね」
「大丈夫じゃないです。ガンってぶつかってきて、これ事故じゃなくて故意です」
もう一度。今度はもっと強く。
まるで横から殴られたかのように身体が振られる。
シートベルトが肩から胸にくい込んで、一瞬息が止まった。
身体が投げ出されそうな恐怖で咄嗟にアシストグリップを握る。
染井さんから借りていた携帯電話は揺れる車体のどこかに落ちてしまって見当たらない。
通話が繋がってるか分からないけど佐野さんは早く来て。
「名古屋は車の運転が危険って本当だ。もうやだ。名古屋怖い!」
「いくら名古屋走りと言われても、そこまで荒い運転はしませんよ」
電話の向こうの佐野さんは冷静に突っ込まないで。
それぐらい怖い思いしてるっていうだけだよ。
通話切れてないのが分かって心強いけど。
「サク坊は舌噛むで黙ってろ。また来るぞ」
染井さんの予告に足踏ん張って両手でグリップを握って備える。
強い衝撃ではあったけど、備えていたから今度はそこまで酷くはならなかった。
だけどこれって自分達が怪我しても僕達が死んでも構わないって当たり方だよ。
僕が今座っている側と反対。さっきからぶつけられてる車体左側の窓ガラスにヒビが入った音もしたし。
これはそのうちガラスも割れるよ。
鈴村さんが慌てていた理由がこれか。
法律なんてかなぐり捨てて襲ってくるLittle WOMEN達を知っていたから。
僕は聞かされても分かってなくて、実際にこうして襲われて理解した。
それじゃ遅かった。
死にそうになってようやく分かるのは馬鹿だ。
ワンコールで出てくれたのは穏やかな声の男の人。
そうだよね。こんな夜遅くに迷惑だよね。
でも僕達ピンチなんです。許して。
「今、煽り運転の被害にあってて。助けてください!」
伝えたいことは簡潔に。僕達を助けて!
「分かりました。すぐに向かいますから、落ち着いて今いる場所を教えてくれますか?」
「今いる場所? 名古屋駅から離れちゃったからどこか分かんないです。広い道路?」
土地勘ない人間に無理言わないで。
片側三車線の広い道としか伝えられない。
「錦通を栄に向かって走っとる。今ちょうど堀川を越えたとこだ」
僕の代わりに染井さんが現在地を伝えてくれた。
ありがとうございます。
聞こえました? この説明で佐野さんも分かります?
染井さんが話しやすいように通話をスピーカーにした。
「そのまま真っ直ぐ通りを走ってください」
「俺もそうしたいがよ。奴さんがさせてくれるかは分からん」
「もうそちらに向かっています。あと5分耐えてください。広小路の交番にも応援を頼みました」
「5分なんて無茶言いやがる」
そう口では悪態をついてるけど。染井さんはさっきまでより余裕が出来た雰囲気。
やっぱりパトカーが来てくれるって分かると安心だよね。
ところで交番に直接連絡が取れる佐野さんは何者?
佐野さんに聞きたかったことがあるのに。
今は教えてもらう時じゃないみたい。
突如、車体が大きく揺れるほどの衝撃。
大きな音と反動に横からぶつけられたのだと理解する。
「フィットがアルファードにケンカ売るんじゃねえ。ふざけんな。車がわやになるがや」
染井さんがさっきから口が悪くて怖い。
でも怒っちゃう気持ちも分かる。
さすがに体当りはダメだよ。
お互いに危ない。怪我しちゃう。
「大丈夫ですか? かなり大きな音がしましたね」
「大丈夫じゃないです。ガンってぶつかってきて、これ事故じゃなくて故意です」
もう一度。今度はもっと強く。
まるで横から殴られたかのように身体が振られる。
シートベルトが肩から胸にくい込んで、一瞬息が止まった。
身体が投げ出されそうな恐怖で咄嗟にアシストグリップを握る。
染井さんから借りていた携帯電話は揺れる車体のどこかに落ちてしまって見当たらない。
通話が繋がってるか分からないけど佐野さんは早く来て。
「名古屋は車の運転が危険って本当だ。もうやだ。名古屋怖い!」
「いくら名古屋走りと言われても、そこまで荒い運転はしませんよ」
電話の向こうの佐野さんは冷静に突っ込まないで。
それぐらい怖い思いしてるっていうだけだよ。
通話切れてないのが分かって心強いけど。
「サク坊は舌噛むで黙ってろ。また来るぞ」
染井さんの予告に足踏ん張って両手でグリップを握って備える。
強い衝撃ではあったけど、備えていたから今度はそこまで酷くはならなかった。
だけどこれって自分達が怪我しても僕達が死んでも構わないって当たり方だよ。
僕が今座っている側と反対。さっきからぶつけられてる車体左側の窓ガラスにヒビが入った音もしたし。
これはそのうちガラスも割れるよ。
鈴村さんが慌てていた理由がこれか。
法律なんてかなぐり捨てて襲ってくるLittle WOMEN達を知っていたから。
僕は聞かされても分かってなくて、実際にこうして襲われて理解した。
それじゃ遅かった。
死にそうになってようやく分かるのは馬鹿だ。
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