恋愛サティスファクション

くらげ

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ろうサルベージ6

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「なんてことだ。たしかにサクラには落ち着ける環境が必要だね。それなのに何故このタイミングで。明日では駄目なのだよ。今すぐ対応しなくては間に合わなくなる」

そういえば、さっきから何を焦っているんだ?
時間が無いと言うけれど。事件でもおきた?

「Little WOMENから第二の安奈が現れた」

第二の安奈。
それはLittle WOMENから逃げ出した少女がいるということ?
奴らはまたエネミーになったのか?

「もう説明するより見せた方が早い。先程からYouTubeのLIVE配信をしている少女がいるのだよ。真偽不明な部分もあるが大きく嘘は言っていなさそうだ」

そう言ってiPadの画面を見せられる。

「現在、都立高校に通う彼女は交際相手と別れた後に子供を身篭っていることに気付いたそうだ。どうするべきか迷い、ネットで検索をして、見つけた相談先がLittle WOMEN。だれでもホスピタルに来るように言われて、行ってみたところ人工中絶をすすめられた」

画面いっぱいに表示されたYouTube動画。

「しかし産みたい気持ちが強い子みたいでね。相談したかったのも未婚の母になることに対する不安について。そのような考えの子だから中絶はしないと断り帰ろうとしたところを無理やりに保護されシェルターに入れられることになったそうだ」

流行りのメイクをした少女と付き添いなのか黒縁メガネと黒いウレタンマスクで顔の半分以上が見えない若い男。
少女が第二の安奈さん?
男は知り合いなのか?

「シェルターまで移動するためビルを出たところで、ちょうど路上飲み配信をしていたYouTuberがいてね。助けを求めたそうだよ。そのYouTuberと配信を見ているリスナーに」

マスクの男は路上飲み配信をしていたYouTuberなのか。

「そんな路上飲み配信をしているような無名のYouTuberにLittle WOMENと対抗するような力はないよ。しかし泣きわめく少女にスマホのカメラを向ける無数の人の目があった。リアルタイムで起きる事件を現実とインターネットの垣根を越えて両面で騒ぎ立てたのだ。Little WOMENもさすがにその騒動の中に突撃することは出来なかったようだね」

無名の個人にも戦う剣を与えてくれるインターネット。
個人の発信力は時に既存のメディアを凌駕する。

「今は配信を見ている者から金銭のカンパがあったので現場近くのビジネスホテルにいるようだよ」

Little WOMENから逃げた少女はリスナーからの援助でひとまず安全な場所にはいけたのかな。

「カメラを止めるなというアドバイスを受けて夕方からずっと配信を続けているのは如何なものかね」

先程から鈴村さんが見せてくれているのはそのアドバイスを受けての配信。
怒りなのか悲しみなのか不満なのか。
とにかくあまり良くない感情を垂れ流している少女だった。

「私は悪くない」
「ひとりでも子どもは産みたい」
「家族はいるけど頼れない」
「元彼にはLINEブロックされてる」

鈴村さんの解説を聞きながら見せられたiPad。
ビジネスホテルの一室から配信されているライブ動画。
流れるコメントの悪意に噛みつき、善意に縋り、慰めに甘える少女。
そのみっともない様が先程までの自分と重なる。

僕もこんなに醜かったんだ。
喚き暴れていたことが急に恥ずかしくなって。
それまでの暴れぶりを止めて、しゅんと大人しくする。
僕が暴れる気をなくしたのを分かってくれたみたいで拘束する玲司君の手が離れた。
そっと身を起こし床に座ると、裸のままでいるのも気恥ずかしくてタオルにくるまった。

「ごめんね。君も大変な時だと言うのに。分かってくれてありがとう。私は君を危険にさらさないと約束する。それだけは信じてくれ」

鈴村さんの言葉にそっと頷く。
いまはこれが精一杯。
声に出すと余計なトゲがついてくるから。

「圭君の姫君がEmergencyだ。王子様の出番だよ」

よく通る鈴村さんの声に反応したのか。
バスルームから圭介さんがすっ飛んできた。
なに? さっきから圭介さんの行動を指示する癖のあるワードが多様されてる。
まるでプログラムのコードだ。

「この部屋は危険だから保さんの屋敷に移動するよ。圭君はサクラの着替えを手伝ってあげて。可愛いロリータはあるかな? あるならそれを着せてほしい。けれども靴は何かあった時に走れるスニーカーだ。圭君も濡れた服では動きにくいだろう?着替えなさい」

もしもの時があるのなら。
ロリータよりジャージとかのが動きやすいよ?
だけど鈴村さんは見た目にも派手なロリータファッションをご所望。
きっと理由があってのことだろうから。今はその指示に従う以外ない。
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