恋愛サティスファクション

くらげ

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ぼくらのプロフィール1

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それぞれの過去を教えてもらった翌日。
詰め込めるだけ詰め込まれた皆の記憶を消化できなくても。
陽はまた昇り、一日がはじまった。
消化不良を起こした心はほっとけば治る。
そう信じて起きるしかない。

名残惜しいベッドから這い出て。
圭介さんの用意してくれた純和食な朝食を砂を噛むような気持ちで食べる。
今日も玉子焼きが美味しい。

玲司君がこっそり野菜を残そうとするから雛鳥のように口元まで運んであげて食べさせた。
鈴村さんがあれこれと好き嫌いするのは一味をかけて辛くしたら食べれるだろうと叱った。

平常心に戻るコツは日常を過ごすこと。
体のリズムに心が引きづられて元に戻ってくれる。
そう信じて僕は見た目だけでも普通を装った。

圭介さんは今日も仕事だと朝から部屋にこもってる。
鈴村さんもグラスリーフの名古屋支社に出社した。
彼らもまた何事もなかったかのように日常を過ごしてる。

そして僕はインフルエンザ(仮病)休暇中の玲司君とふたり。
日中の居場所として定着したリビングで理想のウェディングについて熱く語り合っている真っ最中。

これは遊びじゃない。僕達のセンスが問われているんだ。
ゲストの鈴村さんやお義父さん達に恥ずかしくない式にしなくては。
やる予定のない結婚式の計画を立てるのも。今の僕はニートなので日常。

カーペットの上に直接座って胡座をかいた玲司君の足の上にすっぽりとおさまるように僕も座って。
背中をぺったりと玲司君の胸にくっつけるようにもたれ掛かる。
玲司君が僕の肩に顎をのせるように抱きしめてきて。

こういうスキンシップは好き。
密着してるけどエッチなことするんじゃない。
肌と肌が触れ合う距離にいると落ち着く。

さて僕の目の前のローテーブルにはいっぱい書き散らかしたイラストの山。
玲司君が僕の曖昧な理想をイラストに起こしてくれて妄想が捗る。
ふわっと言葉にした僕のイメージを玲司君がイラストにしてくれると、お互いの頭の中が合致してるのか違っているのかも分かる。
こういう意識をすり合わせる時間はいいな。

玲司君が描いてくれたイラストの中にはウェディングドレスのデザインもあって。
昨日圭介さんと話していたやつだけじゃなくて、他にもたくさんのデザイン画。
その中にはこれいいなって思うドレスがいくつかあるから。
そういうデザイン画のすみっこには、僕もこれ好きってメモを書いておく。

じゃないと忘れそうなんだ。
それぐらい玲司君が本気出してたくさんのドレスのデザインを描いてくれたから。
プロの本気やばい。

昨日もらったA4のコピー用紙にボールペンで一発描きしてるの地味にすごいよね。
本当に絵が上手な人って画材とか関係なく上手いんだなって思う。

「会場は花だけじゃなくてバルーンも飾りたいな」

思いつきはためらわずに口にすること。
それを聞いた玲司君がさらにアイデアを膨らませてくれるから。

会場のテーブルアレンジ案。
お花のアレンジメントにふわふわ浮かぶバルーンを添えて。
僕も簡単に頭の中の想像を描いてみる。
玲司君みたいに上手には書けないけど、言葉で説明するだけより伝わるから。

カラーは単色よりカラフルなのがいい。
色鉛筆で彩色をして。うん。色とりどり。

華やかにしたいけどテーブルの真ん中に置くバルーンをあんまり大きくしすぎちゃうと向かいに座る人と話しにくくなっちゃうから。
そのへんの加減が難しい。
本番ではプロの人にも相談して決めよう。
成瀬さんもこういうの得意そうだし、相談に乗ってくれたら嬉しいな。

「こんなか?」

玲司君がテーブル周りや会場を飾る全体のラフ画を描いてくれた。
華やかで楽しい雰囲気。

バルーンが丸だけじゃなくてハート型もあるのが分かってるー。
結婚式なんだもん。ハートはいっぱい必要だよね。

「透明な風船の中に小さなハートがいっぱい入ってるのとかも欲しい。可愛いよね、こういうやつ」

インスタでイメージに近いものを探して玲司君のアカウントに共有。
バルーンのアーチも可愛いな。
会場の入口とかにあったら素敵じゃない?
これから楽しい時間が始まるよっていうゲート。

僕は自分も楽しみたいけど、お祝いに来てくれた人達も楽しんで欲しい。
美味しい食事、綺麗な会場装飾、貰って嬉しい引き出物。
あと、友達がお祝いの気持ちで余興をしてくれたら嬉しいな。
そのお礼に僕もみんなが見て楽しめる余興を用意したい。
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