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めいめいオリジナル1
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圭介さんは安奈さんの新しい名前を知らないと言った。
興味無いと言ったのはたぶん嘘。
きっと知ってしまったら安奈さんの人生に手を貸してしまう未来を見たんだ。
他人にはとても冷たいけれど、身の内に入れた相手にはなんだかんだ情が深い人だから。
安奈さんの新しく始まる人生に自分は関わらないよう、あえて聞かなかったんじゃないかな。
「安奈はもう安奈という名前ではなくなったけど。圭君が忘れないでいる間は安奈でいられるのだよ」
禅問答のような鈴村さんの言葉。
忘れないでいることが安奈さんのためになるってことなのかな?
「それと栞奈について。今の圭君には伝えても大丈夫そうだから教えてあげようか。彼女、両親によく似て優秀な成績を収めているよ。つばさプロジェクトの11期生として毎年レポートが上がってくるけれど、近頃は宇宙科学に興味がある様子だね。自分で作ったロケットに乗って宇宙に行き、火星について調べたいそうだ」
ロケット? 宇宙?
つばさプロジェクトの子はすっごく賢いから。
本当に火星にまで行けちゃうんじゃない?
「俺が見てるつばさの資料の中に栞奈の名前はなかったけどー」
「諸事情で除かせてもらっていたよ」
「越権行為だろー」
「圭君が余計なことをしないように、栞奈がある程度育つまでは隠しておこうと決めたのは君の保護者達なのだから。私だけに怒らないでくれ」
たしかに圭介さんは優秀な栞奈ちゃんによかれと思ってあれこれ水や肥料を与え過ぎて枯らしてしまいそう。
それも純粋な心からの期待で。
「圭君が自らの経験を活かして改良をしたつばさプロジェクト。教育のプロに基礎から組み直しをさせた手腕は素晴らしかったね。子供の純粋な興味を伸ばしてあげられるように手厚く、時に厳しく接するようにとの願いが込められていた」
圭介さんは自分が育ててもらったプロジェクトの手直しもしてるんだ。
たしかに虐めを受けていたのにフォローしてもらえないのも。詰め込みまくった習い事も。特例を許した個別学習も。
子供の可能性を潰してしまいかねない。危険な教育。
それを正しい道筋に修正できたのは圭介さんだけじゃなくて、他にもたくさんの人達の協力があってこそ。
「そうして咲かせた花が実を結び、君の娘は与えられた翼を大きく羽ばたかせて宇宙にまで飛ぶ気でいるよ」
立派に育って良かったね。
ロケット作って宇宙に行きたいって夢物語を本当に叶えてしまいそう。
「これだけ優秀な子に育ってしまうと自分の子だと認めざるを得ないね」
「俺の子かどうかは産まれてすぐの顔見て分かってたから別に今さら。写真の俺と顔そっくりだったし」
聞いていて辛いこともあったけど。
最後に栞奈ちゃんの今の様子が聞けて救われた。
僕は観客席から見ているだけの部外者だけど、安奈さんと栞奈ちゃんの幸せを願わせて。
「唯ごめんね。こんな話聞かせちゃってー」
「ぜんぜん。話してくれて嬉しいです。今の栞奈ちゃんのことを鈴村さんから教えてもらえて本当に良かったですね」
栞奈ちゃんは血は繋がらなくても愛情あふれるご両親のもとで立派に育ってる。
たくさん愛されて健やかに毎日を過ごせているから才能も開花していくんだ。
そこには栞奈ちゃんの名前に込めた圭介さん達の愛もきっと含まれてる。
安奈さんの名前に圭介さんのイニシャルKを足して栞奈。
一緒に過ごせなくてもずっとそばにいて見守ってあげられる名前。
「栞奈ちゃん。本当に素敵な名前」
興味無いと言ったのはたぶん嘘。
きっと知ってしまったら安奈さんの人生に手を貸してしまう未来を見たんだ。
他人にはとても冷たいけれど、身の内に入れた相手にはなんだかんだ情が深い人だから。
安奈さんの新しく始まる人生に自分は関わらないよう、あえて聞かなかったんじゃないかな。
「安奈はもう安奈という名前ではなくなったけど。圭君が忘れないでいる間は安奈でいられるのだよ」
禅問答のような鈴村さんの言葉。
忘れないでいることが安奈さんのためになるってことなのかな?
「それと栞奈について。今の圭君には伝えても大丈夫そうだから教えてあげようか。彼女、両親によく似て優秀な成績を収めているよ。つばさプロジェクトの11期生として毎年レポートが上がってくるけれど、近頃は宇宙科学に興味がある様子だね。自分で作ったロケットに乗って宇宙に行き、火星について調べたいそうだ」
ロケット? 宇宙?
つばさプロジェクトの子はすっごく賢いから。
本当に火星にまで行けちゃうんじゃない?
「俺が見てるつばさの資料の中に栞奈の名前はなかったけどー」
「諸事情で除かせてもらっていたよ」
「越権行為だろー」
「圭君が余計なことをしないように、栞奈がある程度育つまでは隠しておこうと決めたのは君の保護者達なのだから。私だけに怒らないでくれ」
たしかに圭介さんは優秀な栞奈ちゃんによかれと思ってあれこれ水や肥料を与え過ぎて枯らしてしまいそう。
それも純粋な心からの期待で。
「圭君が自らの経験を活かして改良をしたつばさプロジェクト。教育のプロに基礎から組み直しをさせた手腕は素晴らしかったね。子供の純粋な興味を伸ばしてあげられるように手厚く、時に厳しく接するようにとの願いが込められていた」
圭介さんは自分が育ててもらったプロジェクトの手直しもしてるんだ。
たしかに虐めを受けていたのにフォローしてもらえないのも。詰め込みまくった習い事も。特例を許した個別学習も。
子供の可能性を潰してしまいかねない。危険な教育。
それを正しい道筋に修正できたのは圭介さんだけじゃなくて、他にもたくさんの人達の協力があってこそ。
「そうして咲かせた花が実を結び、君の娘は与えられた翼を大きく羽ばたかせて宇宙にまで飛ぶ気でいるよ」
立派に育って良かったね。
ロケット作って宇宙に行きたいって夢物語を本当に叶えてしまいそう。
「これだけ優秀な子に育ってしまうと自分の子だと認めざるを得ないね」
「俺の子かどうかは産まれてすぐの顔見て分かってたから別に今さら。写真の俺と顔そっくりだったし」
聞いていて辛いこともあったけど。
最後に栞奈ちゃんの今の様子が聞けて救われた。
僕は観客席から見ているだけの部外者だけど、安奈さんと栞奈ちゃんの幸せを願わせて。
「唯ごめんね。こんな話聞かせちゃってー」
「ぜんぜん。話してくれて嬉しいです。今の栞奈ちゃんのことを鈴村さんから教えてもらえて本当に良かったですね」
栞奈ちゃんは血は繋がらなくても愛情あふれるご両親のもとで立派に育ってる。
たくさん愛されて健やかに毎日を過ごせているから才能も開花していくんだ。
そこには栞奈ちゃんの名前に込めた圭介さん達の愛もきっと含まれてる。
安奈さんの名前に圭介さんのイニシャルKを足して栞奈。
一緒に過ごせなくてもずっとそばにいて見守ってあげられる名前。
「栞奈ちゃん。本当に素敵な名前」
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