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おねがいピックミー5
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「だいたい。なんで圭介さんはこんな酷いことをするんですか? 着物まで破いて。僕はこの向日葵の着物をすごく気に入ってたのに。圭介さんと美術館デートしたくて行先も調べたのに」
ちょうど名古屋の美術館でゴッホ展をやっていて、ひまわりも展示されているから。
仲直りしたらお着物デートしたいなって思っていたんだ。
そのあとはレトロ喫茶で名古屋の喫茶店の定番、熱々の鉄板で食べるイタリアンを食べる。
完璧な名古屋デートのプランを計画していたのに、もう叶わない。
「染めの作家さんと相談してオーダーしてくれたって楓さんから聞きました。すっごく嬉しくて。大事に着ようって。今日は市松の柄の帯だけど、他にはどんなコーデがいいのかって楓さんに聞いたら。今度、圭介さんも誘って一緒にお店に遊びにおいでって言ってもらったんです」
それなのに。まだ1回しか着てないのに。
「その程度なら直せるだろう。急ぐなら機元に連絡して同じ反物を用意するのでも良いし」
「直せるから破いていいってもんじゃないんですよ!」
鈴村さんはアドバイスがズレてます。
「唯。ごめん。小紋をそんなに気に入ってくれてるって分かってなくて」
「気に入ってるかどうかじゃなくて、服は破いちゃ駄目なんです!」
圭介さんも謝るポイントがズレてる。
「そもそも、いきなり襲うのが駄目! 僕は話をするために来てるのに。嫌われたいんですか?」
嫌だって言ったのに無理矢理しようとするなんて。
そんなの犯罪じゃん。
相手に嫌われたって構わないときにすることじゃん。
「そんなわけない。唯の方こそ俺のこと嫌いになったんじゃないの?」
「嫌いだったら、ここにいないですよ。仲直りしたいから来てるんだし」
嫌いな相手とは速攻で縁を切っている。
盗撮をするような人とはわざわざ話し合いの場なんてもたない。
警察に通報して終わり。
それでも嫌いになれないから、ここに僕はいるんだ。
「だって、インスタのストーリーで他の男とイチャついてるの見せつけてくるし。もう俺のこといらないのかって思って。それなのにダメ元で迎えに行ったら抱きついてくれて。これは大丈夫かって思ったら今度は拒否されるし。唯の考えてること分かんなくなっちゃって」
オタオタする圭介さんってちょっとレアじゃない? かわいい。
って、今はそんなことを考えている場合じゃなくて。
「分からない時は言葉で聞いてください。僕だっていきなり襲われたら抵抗するし。それにインスタ? お昼ご飯の写真をアップしてからiPhoneには触ってないですよ」
……もしかして。
「鈴村さん?」
「警戒心がない君へ。簡単に人を信じ過ぎてはいけないと、教えてあげようと思ってね」
物は言いようだな。
足元に転がる鞄を拾う。
鞄の中のiPhoneを確認。
うわっ。画面にヒビが入ってる。
殴った時にぶつけて割れたのか。
とりあえず動くからInstagramをひらく。
ストーリーって言ってたけど、今日は鈴村さんとのツーショぐらいしか載せてないよ。
あれもそこまで変なものではなかったはず。
……これは。
柳八関にお姫様抱っこされてる僕。
えー。なんだよこれ。
ハートだらけのエフェクト。軽快なミュージック。XOXOのスタンプ。
まるで僕が柳八関が大好きみたいな表現。
「こんなの僕は知らない」
「撮ったのは鈴さんだろ。てっきり唯が頼んで撮ってもらったんだと」
「そんなわけないでしょ」
「でも唯すごく楽しそうに抱かれてるじゃん。会場でもこいつのこと応援してたって聞いてる」
「たしかに応援はしたけど。スポーツを見に行ったら普通に応援ぐらいするし」
応援以外で何しに行くの?
「だいたい僕はファンサされる予定はなかったのに。鈴村さんが勝手に話を付けて撮ったんです。強く嫌って言えなかったのは僕も悪かったかもしれないけど。右も左も分かんないところに投げ込まれて。大きなトラブルも無く帰ってこれたことをまずは褒めて欲しい」
ヤキモチを妬いてくれたのは分かったけど。
まずは帰ってきたことを喜んでよ。
ちょうど名古屋の美術館でゴッホ展をやっていて、ひまわりも展示されているから。
仲直りしたらお着物デートしたいなって思っていたんだ。
そのあとはレトロ喫茶で名古屋の喫茶店の定番、熱々の鉄板で食べるイタリアンを食べる。
完璧な名古屋デートのプランを計画していたのに、もう叶わない。
「染めの作家さんと相談してオーダーしてくれたって楓さんから聞きました。すっごく嬉しくて。大事に着ようって。今日は市松の柄の帯だけど、他にはどんなコーデがいいのかって楓さんに聞いたら。今度、圭介さんも誘って一緒にお店に遊びにおいでって言ってもらったんです」
それなのに。まだ1回しか着てないのに。
「その程度なら直せるだろう。急ぐなら機元に連絡して同じ反物を用意するのでも良いし」
「直せるから破いていいってもんじゃないんですよ!」
鈴村さんはアドバイスがズレてます。
「唯。ごめん。小紋をそんなに気に入ってくれてるって分かってなくて」
「気に入ってるかどうかじゃなくて、服は破いちゃ駄目なんです!」
圭介さんも謝るポイントがズレてる。
「そもそも、いきなり襲うのが駄目! 僕は話をするために来てるのに。嫌われたいんですか?」
嫌だって言ったのに無理矢理しようとするなんて。
そんなの犯罪じゃん。
相手に嫌われたって構わないときにすることじゃん。
「そんなわけない。唯の方こそ俺のこと嫌いになったんじゃないの?」
「嫌いだったら、ここにいないですよ。仲直りしたいから来てるんだし」
嫌いな相手とは速攻で縁を切っている。
盗撮をするような人とはわざわざ話し合いの場なんてもたない。
警察に通報して終わり。
それでも嫌いになれないから、ここに僕はいるんだ。
「だって、インスタのストーリーで他の男とイチャついてるの見せつけてくるし。もう俺のこといらないのかって思って。それなのにダメ元で迎えに行ったら抱きついてくれて。これは大丈夫かって思ったら今度は拒否されるし。唯の考えてること分かんなくなっちゃって」
オタオタする圭介さんってちょっとレアじゃない? かわいい。
って、今はそんなことを考えている場合じゃなくて。
「分からない時は言葉で聞いてください。僕だっていきなり襲われたら抵抗するし。それにインスタ? お昼ご飯の写真をアップしてからiPhoneには触ってないですよ」
……もしかして。
「鈴村さん?」
「警戒心がない君へ。簡単に人を信じ過ぎてはいけないと、教えてあげようと思ってね」
物は言いようだな。
足元に転がる鞄を拾う。
鞄の中のiPhoneを確認。
うわっ。画面にヒビが入ってる。
殴った時にぶつけて割れたのか。
とりあえず動くからInstagramをひらく。
ストーリーって言ってたけど、今日は鈴村さんとのツーショぐらいしか載せてないよ。
あれもそこまで変なものではなかったはず。
……これは。
柳八関にお姫様抱っこされてる僕。
えー。なんだよこれ。
ハートだらけのエフェクト。軽快なミュージック。XOXOのスタンプ。
まるで僕が柳八関が大好きみたいな表現。
「こんなの僕は知らない」
「撮ったのは鈴さんだろ。てっきり唯が頼んで撮ってもらったんだと」
「そんなわけないでしょ」
「でも唯すごく楽しそうに抱かれてるじゃん。会場でもこいつのこと応援してたって聞いてる」
「たしかに応援はしたけど。スポーツを見に行ったら普通に応援ぐらいするし」
応援以外で何しに行くの?
「だいたい僕はファンサされる予定はなかったのに。鈴村さんが勝手に話を付けて撮ったんです。強く嫌って言えなかったのは僕も悪かったかもしれないけど。右も左も分かんないところに投げ込まれて。大きなトラブルも無く帰ってこれたことをまずは褒めて欲しい」
ヤキモチを妬いてくれたのは分かったけど。
まずは帰ってきたことを喜んでよ。
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