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可視化ライブラリ
ウサギは檻に入れられて9
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初対面の女性と新大久保の通りを歩く。
ご飯に釣られて、のこのこと着いてきてしまった。
欲に弱すぎるだろう。僕。
道中、名前の話になって。
NPOの代表さんから自虐的に自己紹介をされた。
「朝日泰葉は苗字も名前みたいで紛らわしいでしょう」
「僕の名前も佐倉唯なんで同じです。苗字を名乗ってるのに名前と勘違いされるやつ。あるあるですよね。しかも僕は性別まで間違えられるから面倒です」
私服の時に佐倉と名乗ると数回に1回は名前が桜で女だと勘違いされる。
スーツを着ていれば性別を間違えられることはないけど。
大学に入学したての頃は本当に何度も間違えられて。
訂正するのに疲れて高校の制服をまた着たいと思うほど。
ブレザーを着ている時は見た目で性別が分かって、佐倉と名乗るのも苗字だとすぐに分かってもらえるから便利だった。
玲司君にボロっカスにけなされて着なくなったトラッドな服装が好きだったのも見た目で男だと分かりやすかったからだ。
「佐倉さんは綺麗なお顔をされているから」
「お祖母ちゃんに似た女顔ってだけですよ」
僕が生まれるより前に亡くなっていたから写真でしか見たことないけど。
若い頃のお祖母ちゃんの写真は僕が白黒写真を撮ったのかと見間違えるほどにそっくりだ。
「良かったら私のことは泰葉って呼んでください。実はうちのスタッフにアサヒちゃんがいて、朝日って呼ばれると2人で返事しちゃうんですよ」
泰葉さんが困っちゃうと笑う。
職場に同じ名前の人がいると大変だ。
「それもあるあるですね。佐倉って呼ばれると何人もの女の子が振り返ったりして。だから学生時代の友達はみんな僕のことを渾名で呼んでくれてました」
懐かしいなぁ。
最近は普通に名字で呼ばれてばかりだ。
もう僕のことを渾名で呼んでくれていた彼等には会えないんだろうか。
LINEも電話帳も無くなっちゃった。
連絡先、SNSで探したら見つからないかな。
ヤクザと繋がりを持ってしまった今の僕が連絡を取っていいのかも分からないけど。
そんな感じで話しているうちにたどり着いたのは大久保通りから路地に入ってすぐの雑居ビル。
その1階がNPOこころのやどり木さんの事務所でした。
ビルは古いけど綺麗に掃除されていて、道路に面した窓も大きく開放感があるから一見さんでも入りやすい雰囲気。
中に入ればきちんとした個室もあって秘密にしたい相談事もしやすい。
大事だよね。プライバシー。
監視カメラは入口にある防犯用のものだけっぽいし。
ついそれっぽいものがないか確認しちゃうのは許してください。
今の僕はレンズに敏感なんです。
そんな個室に通されて。カレーライスをご馳走になる僕。
テーブルの上には2人分のカレー。
泰葉さんも一緒に食べる夜ご飯。
「ごめんなさいね。夕食に誘っておいてサトウのごはんとレトルトカレーで。こういう保存がきくものならフードバンクから寄付があってすぐに用意できるんです」
謝らないでください。
いきなり来てカレーライスをご馳走してくれる。それだけでマジ神なんで。
フードバンクさんもありがとうございます。
今度募金箱を見かけたら募金をするよ。
「水曜日の夜だと近所の洋食屋さんがボランティアでご飯を用意してくれるんですよ。良かったら水曜日にも来てくださいね」
素敵な洋食屋さんですね。
それは昼間にきちんと客として行きたいです。
あとでお店の名前を教えてください。
ご飯に釣られて、のこのこと着いてきてしまった。
欲に弱すぎるだろう。僕。
道中、名前の話になって。
NPOの代表さんから自虐的に自己紹介をされた。
「朝日泰葉は苗字も名前みたいで紛らわしいでしょう」
「僕の名前も佐倉唯なんで同じです。苗字を名乗ってるのに名前と勘違いされるやつ。あるあるですよね。しかも僕は性別まで間違えられるから面倒です」
私服の時に佐倉と名乗ると数回に1回は名前が桜で女だと勘違いされる。
スーツを着ていれば性別を間違えられることはないけど。
大学に入学したての頃は本当に何度も間違えられて。
訂正するのに疲れて高校の制服をまた着たいと思うほど。
ブレザーを着ている時は見た目で性別が分かって、佐倉と名乗るのも苗字だとすぐに分かってもらえるから便利だった。
玲司君にボロっカスにけなされて着なくなったトラッドな服装が好きだったのも見た目で男だと分かりやすかったからだ。
「佐倉さんは綺麗なお顔をされているから」
「お祖母ちゃんに似た女顔ってだけですよ」
僕が生まれるより前に亡くなっていたから写真でしか見たことないけど。
若い頃のお祖母ちゃんの写真は僕が白黒写真を撮ったのかと見間違えるほどにそっくりだ。
「良かったら私のことは泰葉って呼んでください。実はうちのスタッフにアサヒちゃんがいて、朝日って呼ばれると2人で返事しちゃうんですよ」
泰葉さんが困っちゃうと笑う。
職場に同じ名前の人がいると大変だ。
「それもあるあるですね。佐倉って呼ばれると何人もの女の子が振り返ったりして。だから学生時代の友達はみんな僕のことを渾名で呼んでくれてました」
懐かしいなぁ。
最近は普通に名字で呼ばれてばかりだ。
もう僕のことを渾名で呼んでくれていた彼等には会えないんだろうか。
LINEも電話帳も無くなっちゃった。
連絡先、SNSで探したら見つからないかな。
ヤクザと繋がりを持ってしまった今の僕が連絡を取っていいのかも分からないけど。
そんな感じで話しているうちにたどり着いたのは大久保通りから路地に入ってすぐの雑居ビル。
その1階がNPOこころのやどり木さんの事務所でした。
ビルは古いけど綺麗に掃除されていて、道路に面した窓も大きく開放感があるから一見さんでも入りやすい雰囲気。
中に入ればきちんとした個室もあって秘密にしたい相談事もしやすい。
大事だよね。プライバシー。
監視カメラは入口にある防犯用のものだけっぽいし。
ついそれっぽいものがないか確認しちゃうのは許してください。
今の僕はレンズに敏感なんです。
そんな個室に通されて。カレーライスをご馳走になる僕。
テーブルの上には2人分のカレー。
泰葉さんも一緒に食べる夜ご飯。
「ごめんなさいね。夕食に誘っておいてサトウのごはんとレトルトカレーで。こういう保存がきくものならフードバンクから寄付があってすぐに用意できるんです」
謝らないでください。
いきなり来てカレーライスをご馳走してくれる。それだけでマジ神なんで。
フードバンクさんもありがとうございます。
今度募金箱を見かけたら募金をするよ。
「水曜日の夜だと近所の洋食屋さんがボランティアでご飯を用意してくれるんですよ。良かったら水曜日にも来てくださいね」
素敵な洋食屋さんですね。
それは昼間にきちんと客として行きたいです。
あとでお店の名前を教えてください。
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