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恋愛サティスファクション
ハローGW14
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「惚れ直すという言葉は既に惚れた相手に使うものだよ」
後ろから鈴村さんがくすくすと笑う。
そんな思わせ振りに笑わないで。そういう意味じゃないから。
「これは言葉のアヤというやつで……」
だから、違うんだ。
「えぇ。オレ、超ショック。ようやく佐倉が素直になってくれたと思ったのに」
「傷付いたあ。立ち直れない」って本気なんだか冗談なんだか分からないノリで玲司君が嘆く。
「えっと。玲司君、あのね。僕は玲司君が嫌いじゃないし。いろんな話を聞かせてもらうのも、一緒にご飯食べるのも楽しいし。じゃなきゃ今日だって訳も分からず誘われたのに、ノコノコ付いてこないし」
しょげた顔する玲司君をフォローしたくて、言ってることがどんどんおかしくなってる。
嘘はついていないよ。
でも、これって告白してるみたい。
「私が聞く限り、サクラは少なからず玲司を思っているのだね」
「~~っ!」
やっぱりそう聞こえますよね。
「ほら。認めたまえよ。これからどんどん大人の駆け引きをしていかなくてはならなくなるのだから。愛する人の前でぐらい素直におなり」
ヤクザさんと仲良くなるってことは、切った張ったの世界に足を突っ込むってことなんだ。
必要なら自分の気持ちを誤魔化して嘘もつく。
それ自体はやろうと思えばやれるだろうけど。
素直になるって、すごく我が儘を言う必要がある。
僕の願う未来はとても貪欲で、人としてどうなのってレベルに最低なんだけど。
倫理観とか大事じゃない?
それなのに良いの?
不安で胸がきしむ。
だけど、もう自分に嘘をつくのも限界なんだ。
最低だと嫌われてしまうなら、僕はその程度の男だったのだと諦めよう。
男、佐倉唯。覚悟を決めます。
「玲司君がだいすきです」
言っちゃった!
「オレも佐倉がダイスキだー!」
玲司君! 喜んでくれるのは嬉しいけど、ハンドルから両手を離してガッツポーズは危ないからっ!
慌てて横から手を伸ばしてハンドルを握る。
後ろからは店長さんの指笛がけたたましく鳴り響く。
そういうの恥ずかしいんで。やめてっ!
「なんとも初々しいねえ」
鈴村さんもしみじみしないで。オジサン臭いです。
一通りはしゃいで落ち着いた玲司君にハンドルを返す。
もう、危ないことはしないでよ。
僕はまだ死にたくない。
「皆さん、ハッピーエンドな雰囲気ですけど、僕は玲司君だけじゃなくて圭介さんも好きなんですよ。二股ですよ」
「良いではないか。二股ぐらい。愛人が5つも6つもいるわけではないのだから」
「そうですよ。むしろ、一番平和な形に収まってくれて大団円です」
平和かな? 二股って最低な男のやることでしょ?
「やっぱりひとり勝ちはムリだったか。相手がワリぃよな。圭だもんなあ」
「玲司君もそれで良いの? 二股だよ? ビッチだよ?」
「佐倉はビッチじゃねえだろ? だって圭と付き合うまでバージンだったって聞いてるぞ」
「ちょっと待って。なんでそんな事を玲司君が知ってるの?」
僕はそういうエロ方面の話は普段しない。
聞かれても適当に誤魔化すし。
ってか、バージンって。言い方っ!
「圭からさんざん自慢されたからなあ。ずっと狙ってた子がようやく手に入るって。挙げ句に、そいつに着せる為の新作をムリヤリに企画通して作らせたり。しかも1ロットだけ」
1ロットだけ。
んん? どこかで聞いたことある単語だけど。
「クリスマス限定の黒いウサ耳ポンチョ。佐倉が最初に着たロリータだって聞いてるぞ?」
それは圭介さんのお誕生日に着た垂れ耳ウサギの事だ。
色は黒くてシックなんだけど、細部までこだわってるのがよく分かる名品。
僕は左側のウサ耳にだけリボンが結ばれてるところが一番好き。
「それってPMDの幻のショコラブラックですか? 限定品過ぎでプレミアついたんですよね?」
成瀬さんも知ってるくらい有名なんだ。
プレミアってすごいな。
「そういえば、そんな物もあったな。あまりの高騰ぶりに素材の質を少し下げた廉価版も販売したと記憶している」
部署は違えど同じ会社の鈴村さんから追加の情報が。
あのウサ耳そんなに貴重な服だったの!?
ヤバい。僕は何回も汚しまくってる。
その度に圭介さんが綺麗に洗ってくれてるけど、今度からは汚さないように気を付けよう。
後ろから鈴村さんがくすくすと笑う。
そんな思わせ振りに笑わないで。そういう意味じゃないから。
「これは言葉のアヤというやつで……」
だから、違うんだ。
「えぇ。オレ、超ショック。ようやく佐倉が素直になってくれたと思ったのに」
「傷付いたあ。立ち直れない」って本気なんだか冗談なんだか分からないノリで玲司君が嘆く。
「えっと。玲司君、あのね。僕は玲司君が嫌いじゃないし。いろんな話を聞かせてもらうのも、一緒にご飯食べるのも楽しいし。じゃなきゃ今日だって訳も分からず誘われたのに、ノコノコ付いてこないし」
しょげた顔する玲司君をフォローしたくて、言ってることがどんどんおかしくなってる。
嘘はついていないよ。
でも、これって告白してるみたい。
「私が聞く限り、サクラは少なからず玲司を思っているのだね」
「~~っ!」
やっぱりそう聞こえますよね。
「ほら。認めたまえよ。これからどんどん大人の駆け引きをしていかなくてはならなくなるのだから。愛する人の前でぐらい素直におなり」
ヤクザさんと仲良くなるってことは、切った張ったの世界に足を突っ込むってことなんだ。
必要なら自分の気持ちを誤魔化して嘘もつく。
それ自体はやろうと思えばやれるだろうけど。
素直になるって、すごく我が儘を言う必要がある。
僕の願う未来はとても貪欲で、人としてどうなのってレベルに最低なんだけど。
倫理観とか大事じゃない?
それなのに良いの?
不安で胸がきしむ。
だけど、もう自分に嘘をつくのも限界なんだ。
最低だと嫌われてしまうなら、僕はその程度の男だったのだと諦めよう。
男、佐倉唯。覚悟を決めます。
「玲司君がだいすきです」
言っちゃった!
「オレも佐倉がダイスキだー!」
玲司君! 喜んでくれるのは嬉しいけど、ハンドルから両手を離してガッツポーズは危ないからっ!
慌てて横から手を伸ばしてハンドルを握る。
後ろからは店長さんの指笛がけたたましく鳴り響く。
そういうの恥ずかしいんで。やめてっ!
「なんとも初々しいねえ」
鈴村さんもしみじみしないで。オジサン臭いです。
一通りはしゃいで落ち着いた玲司君にハンドルを返す。
もう、危ないことはしないでよ。
僕はまだ死にたくない。
「皆さん、ハッピーエンドな雰囲気ですけど、僕は玲司君だけじゃなくて圭介さんも好きなんですよ。二股ですよ」
「良いではないか。二股ぐらい。愛人が5つも6つもいるわけではないのだから」
「そうですよ。むしろ、一番平和な形に収まってくれて大団円です」
平和かな? 二股って最低な男のやることでしょ?
「やっぱりひとり勝ちはムリだったか。相手がワリぃよな。圭だもんなあ」
「玲司君もそれで良いの? 二股だよ? ビッチだよ?」
「佐倉はビッチじゃねえだろ? だって圭と付き合うまでバージンだったって聞いてるぞ」
「ちょっと待って。なんでそんな事を玲司君が知ってるの?」
僕はそういうエロ方面の話は普段しない。
聞かれても適当に誤魔化すし。
ってか、バージンって。言い方っ!
「圭からさんざん自慢されたからなあ。ずっと狙ってた子がようやく手に入るって。挙げ句に、そいつに着せる為の新作をムリヤリに企画通して作らせたり。しかも1ロットだけ」
1ロットだけ。
んん? どこかで聞いたことある単語だけど。
「クリスマス限定の黒いウサ耳ポンチョ。佐倉が最初に着たロリータだって聞いてるぞ?」
それは圭介さんのお誕生日に着た垂れ耳ウサギの事だ。
色は黒くてシックなんだけど、細部までこだわってるのがよく分かる名品。
僕は左側のウサ耳にだけリボンが結ばれてるところが一番好き。
「それってPMDの幻のショコラブラックですか? 限定品過ぎでプレミアついたんですよね?」
成瀬さんも知ってるくらい有名なんだ。
プレミアってすごいな。
「そういえば、そんな物もあったな。あまりの高騰ぶりに素材の質を少し下げた廉価版も販売したと記憶している」
部署は違えど同じ会社の鈴村さんから追加の情報が。
あのウサ耳そんなに貴重な服だったの!?
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