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恋愛サティスファクション
すれ違い三叉路11
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お風呂から出てパジャマを着たら、それまでのヤル気がシュンって萎んじゃった。
だって、圭介さんとSEXをする前に話すべきことがあるって思い出したから。
夜だからノンカフェインのコーヒーを淹れて。
お気に入りのマカダミアナッツクッキーも出して。
ダイニングテーブルに座る僕の気持ちを察して、圭介さんも話を聞く空気になってくれた。
「唯、俺に言いたいことあるんだね」
「僕、玲司君に好きって言われました。それでこれからもご飯とか一緒に食べようって誘われました」
「そっか。俺しばらくは休みなくて、唯の相手できないなーって思ってたとこだし。玲司にたくさん遊んでもらいなー」
意を決して話したのに。
テーブルの向かい。圭介さんの返事は拍子抜けするほどユルくて。
「圭介さんは僕が玲司君と遊んでいいの? 結構ガチめな告白をされているんだけど」
「唯は誰彼構わずに遊びにいく子じゃないって知ってる。誘われた相手が玲司だから遊びに行くんでしょ?」
「うぅっ」
そうなんだ。はっきり断れれば良いのに、玲司君に言われるとつい頷いちゃう。
「唯がモテるのは分かってたから、誰にも見せたくなくて隠してたけど。見つかったのが玲司で良かった。悪い奴じゃないし、遊ぶって考えたら、俺よりずっと楽しめると思うよ」
なんか僕、別れ話されてる?
やだよ。そんなの。僕は圭介さんが好きなのに。
「俺さー、ちょっと反省してるんだよね。唯の交遊関係、縛りすぎてたかなって」
「僕はそんなふうに思ってないです。縛られてたなんて」
「でも、俺と会わなくなってから色々遊びにいってたじゃん。飲みに行ったり、俺と一緒なら見ないような映画見たり」
したけど。それは寂しさを誤魔化すため。
「そーゆーの大事。唯がすることを、俺が全部決めちゃったら。それは俺が好きな唯じゃなくなっちゃう」
「どんな僕なら圭介さんは好きでいてくれるんですか?」
「自由な唯が好き。やりたいようにやって、それで笑ってる唯が好きだよー」
自由って難しい。
好き勝手にした結果、思ってたのと違うってならない?
「僕は圭介さんの側にずっといたいです。それが僕のしたいことです」
「うん。それすっごく嬉しい。俺も唯とずっと一緒にいたい」
「じゃあなんで、玲司君と遊べって言うんですか?」
なんで引き留めてくれないの?
玲司君と遊んじゃ駄目って言わないの?
女々しいこと言ってる自分が嫌になる。
「玲司は唯のこと悪いようにしない。それに唯は俺のところに戻ってくるって信じてる。ちゃんと外の世界を知った上で俺を選んでよ。そーやって俺を安心させて」
「安心?」
「そう。唯は俺しか知らないじゃん。だからいつか俺よりも好きな奴出来るんじゃないかって、不安でたまんないんだよね」
「圭介さんより好きな人なんていません」
「今はね。でも未来は分かんない」
未来の証明。僕の言葉だけじゃ信用ないのかな。
「唯は今までゲイやバイの友達いなかったじゃん。俺も会わせなかったし。そのせいか、そーゆー目で見られてるってことに鈍感なんだよねー」
鈍感。
玲司君に無自覚と言われたことを思い出す。
自分のことぐらい分かってるつもりなのに。
「唯は自分がママのお店でめっちゃ狙われてたこと気付いてないでしょ?」
「何人かに声をかけられたことならあるけど。めっちゃって言う程でもなかったような」
「声かけてきた奴の顔覚えてる? そのあともあの店で会えてる?」
「言われてみたら、一度きりな人ばっかりだったかもです」
「簡単に声かけてくるのは、本気じゃない奴だよ。本気な奴ほど黙って見てた。俺もそう」
「圭介さんも?」
「ママが唯のこと大事に守ってたからね。心配だったんだと思う。唯は恋愛に不馴れなことを隠してなかったから。俺も他の奴等も唯から声かけられるの待ってたんだよ」
「うそ」
「本当。未だに俺、やっかまれてるからね。唯に振り向いて貰えなかった有象無象から。色男はツラいわーって流してるけど。早く別れろとか思われてんじゃないかな」
「なにそれ。ひどい。僕は絶対にそんな人のこと好きにならない」
人の恋を祝福できない意地悪な人はこっちから願い下げだ。
「それ今度、ママのお店で言ってやって。俺と飲んでるときでも、唯がたくさん話しかけられてたのは、自分に乗り換えないかってアピールだったんだから」
「えぇ~。彼氏がいる人にアプローチするなんて」
「そんなの唯は信じられない?」
「当たり前ですよ。人の恋人に手を出すなんて」
「じゃあ玲司は? あいつは唯が俺の彼氏だって知ってて、それでも唯のこと好きだって言ってるんだけど?」
言われてみれば。
僕は人の恋人にカマかけるような人は嫌いなのに。
自分が思われる分には許せる。ってわけでもない。
圭介さんと付き合い出した後にも、誘われたことは数回ある。
そういう相手は門前払いにさせてもらった。
なのに、なんで玲司君は良いんだろう。
だって、圭介さんとSEXをする前に話すべきことがあるって思い出したから。
夜だからノンカフェインのコーヒーを淹れて。
お気に入りのマカダミアナッツクッキーも出して。
ダイニングテーブルに座る僕の気持ちを察して、圭介さんも話を聞く空気になってくれた。
「唯、俺に言いたいことあるんだね」
「僕、玲司君に好きって言われました。それでこれからもご飯とか一緒に食べようって誘われました」
「そっか。俺しばらくは休みなくて、唯の相手できないなーって思ってたとこだし。玲司にたくさん遊んでもらいなー」
意を決して話したのに。
テーブルの向かい。圭介さんの返事は拍子抜けするほどユルくて。
「圭介さんは僕が玲司君と遊んでいいの? 結構ガチめな告白をされているんだけど」
「唯は誰彼構わずに遊びにいく子じゃないって知ってる。誘われた相手が玲司だから遊びに行くんでしょ?」
「うぅっ」
そうなんだ。はっきり断れれば良いのに、玲司君に言われるとつい頷いちゃう。
「唯がモテるのは分かってたから、誰にも見せたくなくて隠してたけど。見つかったのが玲司で良かった。悪い奴じゃないし、遊ぶって考えたら、俺よりずっと楽しめると思うよ」
なんか僕、別れ話されてる?
やだよ。そんなの。僕は圭介さんが好きなのに。
「俺さー、ちょっと反省してるんだよね。唯の交遊関係、縛りすぎてたかなって」
「僕はそんなふうに思ってないです。縛られてたなんて」
「でも、俺と会わなくなってから色々遊びにいってたじゃん。飲みに行ったり、俺と一緒なら見ないような映画見たり」
したけど。それは寂しさを誤魔化すため。
「そーゆーの大事。唯がすることを、俺が全部決めちゃったら。それは俺が好きな唯じゃなくなっちゃう」
「どんな僕なら圭介さんは好きでいてくれるんですか?」
「自由な唯が好き。やりたいようにやって、それで笑ってる唯が好きだよー」
自由って難しい。
好き勝手にした結果、思ってたのと違うってならない?
「僕は圭介さんの側にずっといたいです。それが僕のしたいことです」
「うん。それすっごく嬉しい。俺も唯とずっと一緒にいたい」
「じゃあなんで、玲司君と遊べって言うんですか?」
なんで引き留めてくれないの?
玲司君と遊んじゃ駄目って言わないの?
女々しいこと言ってる自分が嫌になる。
「玲司は唯のこと悪いようにしない。それに唯は俺のところに戻ってくるって信じてる。ちゃんと外の世界を知った上で俺を選んでよ。そーやって俺を安心させて」
「安心?」
「そう。唯は俺しか知らないじゃん。だからいつか俺よりも好きな奴出来るんじゃないかって、不安でたまんないんだよね」
「圭介さんより好きな人なんていません」
「今はね。でも未来は分かんない」
未来の証明。僕の言葉だけじゃ信用ないのかな。
「唯は今までゲイやバイの友達いなかったじゃん。俺も会わせなかったし。そのせいか、そーゆー目で見られてるってことに鈍感なんだよねー」
鈍感。
玲司君に無自覚と言われたことを思い出す。
自分のことぐらい分かってるつもりなのに。
「唯は自分がママのお店でめっちゃ狙われてたこと気付いてないでしょ?」
「何人かに声をかけられたことならあるけど。めっちゃって言う程でもなかったような」
「声かけてきた奴の顔覚えてる? そのあともあの店で会えてる?」
「言われてみたら、一度きりな人ばっかりだったかもです」
「簡単に声かけてくるのは、本気じゃない奴だよ。本気な奴ほど黙って見てた。俺もそう」
「圭介さんも?」
「ママが唯のこと大事に守ってたからね。心配だったんだと思う。唯は恋愛に不馴れなことを隠してなかったから。俺も他の奴等も唯から声かけられるの待ってたんだよ」
「うそ」
「本当。未だに俺、やっかまれてるからね。唯に振り向いて貰えなかった有象無象から。色男はツラいわーって流してるけど。早く別れろとか思われてんじゃないかな」
「なにそれ。ひどい。僕は絶対にそんな人のこと好きにならない」
人の恋を祝福できない意地悪な人はこっちから願い下げだ。
「それ今度、ママのお店で言ってやって。俺と飲んでるときでも、唯がたくさん話しかけられてたのは、自分に乗り換えないかってアピールだったんだから」
「えぇ~。彼氏がいる人にアプローチするなんて」
「そんなの唯は信じられない?」
「当たり前ですよ。人の恋人に手を出すなんて」
「じゃあ玲司は? あいつは唯が俺の彼氏だって知ってて、それでも唯のこと好きだって言ってるんだけど?」
言われてみれば。
僕は人の恋人にカマかけるような人は嫌いなのに。
自分が思われる分には許せる。ってわけでもない。
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