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恋愛サティスファクション
バレンタインぱーりーぴーぽー5
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まずはアイコンタクト。
目を見て、こちらから伝えたいことがあるんだとアピール。
「ん?」
よし。意識がこっちを向いてくれた。
イケメンの右手にそっと触れてみる。
手のひらに僕の手を重ねても嫌がる素振りはない。
いけるかな?
『さ・く・ら』
ひらがなで1音ずつ、ゆっくりと手を動かす。
同じ動きを2回くりかえして。
首をかしげながら、もう一度アイコンタクト。
伝わった? どう?
「ジャンケンしたいのか?」
ちがーう。おしーい。
たしかにグーパーチョキに形は似てるけどー。
「ジャンケンじゃない? あー。うぜぇ。オレに難しいこと求めんなよ」
すいません。
指文字は難しくはないんです。覚えちゃえば。
僕でも1日で覚えられたくらいに簡単なので。
それでも、僕だって圭介さんに教わるまで知らなかったもんな。
反省。反省。
スマホに文字を打ち込んでコミュニケーションをしよう。
『はじめまして。私はさくらです。あなたの名前を教えてください。』
これで伝わるだろう。
だけどイケメンは僕の手の中のスマホからわざと目をそらした。
「言葉が通じないなんて異世界ものみたいだろ。簡単に分かったらつまんねえじゃん」
ここは異世界だったのか。
耳にささる音楽。混ざりあった匂い。たしかに異文化。
それなら現代の文明機器は使わないで、コミュニケーションを取ろう。
イケメンの手のひらをノート代わりにして、人差し指で『さ・く・ら』と書いた。
これなら分かってくれるだろう。
「さくら?」
うんうん。そう。僕は佐倉。
「お前、女なのか? 圭のツレだろ? マジで? でも腰の骨の感じは男のだった」
この人、軽く抱いただけで男女が分かるのか。
ってことは僕が男だって、もうバレてる?
女の子のふりしなくても良いのかな?
圭介さんがゲイなこと知ってるみたいだし。
イケメンの大きな手のひらに『佐倉』と漢字で書いてみる。
『さくら』は名前じゃなくて名字なんだ。
紛らわしくてごめん。
漢字は画数が多いから、ゆっくり何度か繰り返す。
「佐倉? ああ。名字が『さくら』か。やっぱりお前オトコノコなんじゃん。ビビらせんなよ」
ぺこりと頭を下げて、ごめんなさいと伝える。
でも、僕はもう男の子と呼ばれる年ではない。
年齢不詳な格好でごめんと、もう一度頭を下げておく。
「気にすんな。圭のツレが男だろうが女だろうが気にしない。そんなちっちぇえこと関係ないだろ」
イケメン、まじイケメン。
性別なんて関係ないとか、カラッと笑いながら言われたら勘違いして惚れちゃうよ。
実際には惚れないけど。僕には圭介さんがいるし。
でも、仲良くなれたら嬉しいな。
なので、お名前から教えて下さい。
手のひらでイケメンを示してから。『な・ま・え』と書いてみる。
「玲司。オレは玲司だ。なあ、『れ・い・じ』は手でどうやるんだ?」
僕は玲司君の手のひらに指文字で『れ・い・じ』と綴った。
「へぇ。おもしれぇ。にい、いち、さん。」
玲司君のいう『にい、いち、さん』は伸ばした指の本数。
『れ』は親指と人差し指を、『い』は小指を、『じ』の元になる『し』は親指人差し指中指の3本の指を伸ばした形なんだ。
「時間の0時って言われたことあるけど、1や2、3は初めてだ」
玲司を0時ってダジャレじゃん。
小学生みたい。
「次、0時やってよ?」
うん。いいよ。
『0時』の手話をすると玲司君はとても喜んでくれた。
「OKマークがゼロってことな。よっし。覚えた。俺のこと呼ぶときはコレな」
玲司君は右手で『0』を作ってゆらゆらと振った。
玲司くんが言うように数字のゼロはOKマークと同じ手の形だ。
圭介さんの名前をアルファベットの『K』で表すのと同じ。
玲司君の名前も『0』の1つで伝えられるなら楽だろう。
僕は『いいよ』のつもりで頬っぺたに丸いところを当てるみたいに『OK』ってしたんだけど。
玲司君は僕の耳元に顔を寄せて「なあに? 佐倉?」って甘く、甘ーく囁いたんだ。
イケメンのイケメンボイスは反則!
ダメだよ。イタズラにしたら刺激が強すぎる!
今の僕は絶対に耳まで真っ赤だ!
恥ずかしさに両手で顔をおおってうつ向く僕の耳元で、玲司君は何度も名前を呼んでくる。
やめて。僕、耳は弱いんです!
目を見て、こちらから伝えたいことがあるんだとアピール。
「ん?」
よし。意識がこっちを向いてくれた。
イケメンの右手にそっと触れてみる。
手のひらに僕の手を重ねても嫌がる素振りはない。
いけるかな?
『さ・く・ら』
ひらがなで1音ずつ、ゆっくりと手を動かす。
同じ動きを2回くりかえして。
首をかしげながら、もう一度アイコンタクト。
伝わった? どう?
「ジャンケンしたいのか?」
ちがーう。おしーい。
たしかにグーパーチョキに形は似てるけどー。
「ジャンケンじゃない? あー。うぜぇ。オレに難しいこと求めんなよ」
すいません。
指文字は難しくはないんです。覚えちゃえば。
僕でも1日で覚えられたくらいに簡単なので。
それでも、僕だって圭介さんに教わるまで知らなかったもんな。
反省。反省。
スマホに文字を打ち込んでコミュニケーションをしよう。
『はじめまして。私はさくらです。あなたの名前を教えてください。』
これで伝わるだろう。
だけどイケメンは僕の手の中のスマホからわざと目をそらした。
「言葉が通じないなんて異世界ものみたいだろ。簡単に分かったらつまんねえじゃん」
ここは異世界だったのか。
耳にささる音楽。混ざりあった匂い。たしかに異文化。
それなら現代の文明機器は使わないで、コミュニケーションを取ろう。
イケメンの手のひらをノート代わりにして、人差し指で『さ・く・ら』と書いた。
これなら分かってくれるだろう。
「さくら?」
うんうん。そう。僕は佐倉。
「お前、女なのか? 圭のツレだろ? マジで? でも腰の骨の感じは男のだった」
この人、軽く抱いただけで男女が分かるのか。
ってことは僕が男だって、もうバレてる?
女の子のふりしなくても良いのかな?
圭介さんがゲイなこと知ってるみたいだし。
イケメンの大きな手のひらに『佐倉』と漢字で書いてみる。
『さくら』は名前じゃなくて名字なんだ。
紛らわしくてごめん。
漢字は画数が多いから、ゆっくり何度か繰り返す。
「佐倉? ああ。名字が『さくら』か。やっぱりお前オトコノコなんじゃん。ビビらせんなよ」
ぺこりと頭を下げて、ごめんなさいと伝える。
でも、僕はもう男の子と呼ばれる年ではない。
年齢不詳な格好でごめんと、もう一度頭を下げておく。
「気にすんな。圭のツレが男だろうが女だろうが気にしない。そんなちっちぇえこと関係ないだろ」
イケメン、まじイケメン。
性別なんて関係ないとか、カラッと笑いながら言われたら勘違いして惚れちゃうよ。
実際には惚れないけど。僕には圭介さんがいるし。
でも、仲良くなれたら嬉しいな。
なので、お名前から教えて下さい。
手のひらでイケメンを示してから。『な・ま・え』と書いてみる。
「玲司。オレは玲司だ。なあ、『れ・い・じ』は手でどうやるんだ?」
僕は玲司君の手のひらに指文字で『れ・い・じ』と綴った。
「へぇ。おもしれぇ。にい、いち、さん。」
玲司君のいう『にい、いち、さん』は伸ばした指の本数。
『れ』は親指と人差し指を、『い』は小指を、『じ』の元になる『し』は親指人差し指中指の3本の指を伸ばした形なんだ。
「時間の0時って言われたことあるけど、1や2、3は初めてだ」
玲司を0時ってダジャレじゃん。
小学生みたい。
「次、0時やってよ?」
うん。いいよ。
『0時』の手話をすると玲司君はとても喜んでくれた。
「OKマークがゼロってことな。よっし。覚えた。俺のこと呼ぶときはコレな」
玲司君は右手で『0』を作ってゆらゆらと振った。
玲司くんが言うように数字のゼロはOKマークと同じ手の形だ。
圭介さんの名前をアルファベットの『K』で表すのと同じ。
玲司君の名前も『0』の1つで伝えられるなら楽だろう。
僕は『いいよ』のつもりで頬っぺたに丸いところを当てるみたいに『OK』ってしたんだけど。
玲司君は僕の耳元に顔を寄せて「なあに? 佐倉?」って甘く、甘ーく囁いたんだ。
イケメンのイケメンボイスは反則!
ダメだよ。イタズラにしたら刺激が強すぎる!
今の僕は絶対に耳まで真っ赤だ!
恥ずかしさに両手で顔をおおってうつ向く僕の耳元で、玲司君は何度も名前を呼んでくる。
やめて。僕、耳は弱いんです!
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