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くらげ

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カワイクじゃんぷあっぷ7

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さあ仕上げに造花たっぷりのヘッドドレスを。と思ったところで玄関の扉が開く音。
あれ? いつもならチャイム鳴らして教えてくれるのに?

「圭介さん?」

脱ぎ散らかしたルームウェアはそのままに。
ふわもこスリッパを足に引っかけて。
部屋を出て廊下を右手に見れば。
ちょうど靴を脱ぐところの圭介さん。

「おかえりなさーい」

シルクでできた造花が壊れないように、そっと両手でヘッドドレスを持ったまま、お出迎え。
ギュってしたいのに手の中のヘッドドレスが邪魔だ。
せめてキスがしたい。
けど直接的に言葉にするのは恥ずかしいから。
少し上を向いて目を閉じた。

こんなとき圭介さんは何も言わなくても僕の気持ちを分かってくれるから大好き。

腰と肩に触れる手の熱を感じて。
次に顔に近づいてくる息づかい。
そして唇と唇がそっと触れるようなキス。
目を閉じているからこそ、敏感に感じることができる圭介さんの気配。

背中に手が回って、圭介さんの腕のなかに抱き締められる。
チュっチュっと音を鳴らして楽しむ軽めのキスから、舌をからめ合う大人のキスへと変わっていく。

きもちいいっ。
手の中のヘッドドレスがなければ、今すぐにでも抱き付いていただろう。
そんなはしたないまねをしなくて済んだと思えば良いのか。
でも、正直なところヘッドドレスは邪魔。
一旦、キスをやめてもらってヘッドドレスを片付けるか頭に付けるかしよう。
身体を1歩後ろに下げて。
離れた唇は切ないけど、ちょっとだけ我慢。

けれども僕はキスの間閉じていた目を開けたのに、僕の瞳が圭介さんの顔を写すことはなかった。
だって圭介さんの早業が僕の目を隠したから。

目隠しに使われたのが先程まで僕が持っていたヘッドドレスだと気付くのに、然程時間は要らなかったけど。
分かった頃には僕はベッドに運ばれて押し倒されていた。
玄関先の廊下でのキスをやめてからベッドルームに連れてこられるまで、1分かかっていないはず。
間には扉が2つあって、僕はお姫様抱っこされていたのに。
ときどき圭介さんの手際のよさが怖い。
それに目隠しも。

今までこんなことしたことないのに。
せめて目隠しを取りたい。
けれども両腕を押さえられているからなにもできない。

「どうしたんですか? もしかして、僕何かしちゃった?」
「ごめんけど、今日さー、仕事でちょっと嫌なことあったんだ。唯で癒してよー」
「こんなので癒されるわけないですっ」
「されるよー」
「でも。怖いっ」
「酷くしない。それは約束する。だから今日は、俺のワガママに付き合ってよ」

付き合ってという圭介さんの声は、いつもの飄々とした声とは違う。
イライラを隠しきれないトゲのある声。
仕事とプライベートを切り替えるのが得意な圭介さんらしくない。
それぐらいに嫌なことがあったってこと?
それを僕が癒せるの? 本当に?

目隠しのままベッドに仰向けに押し倒されて。
押さえ付けるように太股の上に圭介さんが跨がっていて。
両手首は頭の上で纏めて掴まれている状態で。
そんなことしなくても僕は逃げないのに。

怖くないと言ったら嘘になる。
けど、酷くしないと言った圭介さんの言葉を信じたい。
いつもは優しいばっかりの圭介さんにも、乱暴に振る舞いたい時があるんだろう。
そう考えたら、目隠しぐらい平気な気がしてきた。
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