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恋愛サティスファクション
サイレントこんぷれっくす1
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「めちゃカワイー。いま暇?」
「俺らと待ち合わせしてたってことでOK?」
待ち合わせ場所の定番、駅前の噴水の前。僕はただいま、絶賛ナンパされ中!
ナンパなんて無視してたらそのうちいなくなるかと思ったのに。
今回のふたり組は妙にしつこい。
声を掛けてきたのは髪の毛の色が派手で耳にはピアスいっぱい。アクセじゃらじゃらホスト系ファッション。
そんなやんちゃで年齢不詳な2人組。
これは想定外の事態だ。
まさかこの格好のときにナンパされるとか考えてなかった。
むしろ避けられると思っていたのに。
「その服ってぇ姫ロリって言うんでしょ? 俺知ってるぅ」
「へぇ。んじゃ俺ら姫の皇子様」
誰が皇子様だ。ふざけるな。
っていうか姫に対しての皇子になるなら見た目から整えてこい。
その着崩したホスト風スーツ姿で皇子を名乗るな。
だいたい僕の好みは皇子系モデルのRoi君だ。
スタートラインからずれてるんだよ。
「このスカート、スッゲー膨らんでるけど中どうなってんの?」
金髪が不躾にも僕の足元にしゃがみこみ、スカートの裾に潜り込もうとしてくる。
なんたる無礼者。ロリータのスカートには夢がつまっているんだぞ。
そんじょそこらの馬の骨が覗き込んで良いものではないのだ。
「やべえって。ここで覗いちゃうとかぁ」
おい! 赤髪! お前も笑ってないで止めろ。
「なんか布いっぱいでよく分かんねぇ」
「えぇ。なにそれ。俺も見たぁい」
ごめんなさい。本当にやめてっ。パニエを掻き分けないで。
赤髪もスカートを捲ろうとするのはやめてっ。
膝丈ドロワーズ履いてるから下着までは見られないけど、それは痴漢です!
僕は悲鳴を上げそうになるのを堪えて、何とかスカートの裾を死守する。
そして膝蹴りで金髪をパニエの中から追い出した。
これ、声出したら即、僕が男ってバレるやつだよね。
そしたらナンパも諦めてくれるかな?
たぶん、声を出してしまえば簡単に断れるはずなんだ。
嫌だと、迷惑だと、自分は待ち合わせの相手を待っているのだと伝えれば。
だけど僕は今、女の子の、しかもロリータの格好をしている。
レースとリボンで彩られたチェリーピンクのワンピースを重ね履きしたパニエでふんわりと夢いっぱいに膨らませて。
肩に掛かるのは防寒もかねた真っ白なファーマント。
両手にはマントとお揃いのファーミトン。
肩甲骨ほどの長さで毛先を緩く巻いたミルクティブラウンのウィッグ。
その髪の毛を包む大きなリボンモチーフのピンクホワイトのヘッドドレス。
サイドにレース模様の入った白いソックスも、ローヒールのパンプスも、スマホとハンカチしか入らない非実用的なハンドバッグまで。
頭の先から爪先、外側から見えないところまで、こだわり抜いたロリータファッションに身を包んだ僕が。
話し声で男だとバレるのは個人的心情の問題で大変避けたい。
つい完璧を求めてメイク道具一式まで用意してしまったのも悪かった。
丁寧に塗り込みつつも、あくまでナチュラルに見えるメイクを施した今の僕は、どこからどう見ても女の子だった。
今さら自分は男ですとか恥ずかしくて言えない。
女装をする恥ずかしさはバレなきゃ平気だけど。
だからこそ自分からバラすのは絶対に無理!
どうやって男とバレずに逃げれば良いの?
「さすがにお外じゃイヤかぁ」
「んじゃ。アソコ行く?」
対応に迷って黙ったままの僕の態度を了承だと勘違いした、金髪と赤髪に肩を抱かれて無理矢理歩かされそうになる。
足を踏ん張ろうとするけど、両側から引っ張られてしまうと、僕ひとりではどうしようもない。
やだ。怖いっ。アソコってどこ?
「俺らと待ち合わせしてたってことでOK?」
待ち合わせ場所の定番、駅前の噴水の前。僕はただいま、絶賛ナンパされ中!
ナンパなんて無視してたらそのうちいなくなるかと思ったのに。
今回のふたり組は妙にしつこい。
声を掛けてきたのは髪の毛の色が派手で耳にはピアスいっぱい。アクセじゃらじゃらホスト系ファッション。
そんなやんちゃで年齢不詳な2人組。
これは想定外の事態だ。
まさかこの格好のときにナンパされるとか考えてなかった。
むしろ避けられると思っていたのに。
「その服ってぇ姫ロリって言うんでしょ? 俺知ってるぅ」
「へぇ。んじゃ俺ら姫の皇子様」
誰が皇子様だ。ふざけるな。
っていうか姫に対しての皇子になるなら見た目から整えてこい。
その着崩したホスト風スーツ姿で皇子を名乗るな。
だいたい僕の好みは皇子系モデルのRoi君だ。
スタートラインからずれてるんだよ。
「このスカート、スッゲー膨らんでるけど中どうなってんの?」
金髪が不躾にも僕の足元にしゃがみこみ、スカートの裾に潜り込もうとしてくる。
なんたる無礼者。ロリータのスカートには夢がつまっているんだぞ。
そんじょそこらの馬の骨が覗き込んで良いものではないのだ。
「やべえって。ここで覗いちゃうとかぁ」
おい! 赤髪! お前も笑ってないで止めろ。
「なんか布いっぱいでよく分かんねぇ」
「えぇ。なにそれ。俺も見たぁい」
ごめんなさい。本当にやめてっ。パニエを掻き分けないで。
赤髪もスカートを捲ろうとするのはやめてっ。
膝丈ドロワーズ履いてるから下着までは見られないけど、それは痴漢です!
僕は悲鳴を上げそうになるのを堪えて、何とかスカートの裾を死守する。
そして膝蹴りで金髪をパニエの中から追い出した。
これ、声出したら即、僕が男ってバレるやつだよね。
そしたらナンパも諦めてくれるかな?
たぶん、声を出してしまえば簡単に断れるはずなんだ。
嫌だと、迷惑だと、自分は待ち合わせの相手を待っているのだと伝えれば。
だけど僕は今、女の子の、しかもロリータの格好をしている。
レースとリボンで彩られたチェリーピンクのワンピースを重ね履きしたパニエでふんわりと夢いっぱいに膨らませて。
肩に掛かるのは防寒もかねた真っ白なファーマント。
両手にはマントとお揃いのファーミトン。
肩甲骨ほどの長さで毛先を緩く巻いたミルクティブラウンのウィッグ。
その髪の毛を包む大きなリボンモチーフのピンクホワイトのヘッドドレス。
サイドにレース模様の入った白いソックスも、ローヒールのパンプスも、スマホとハンカチしか入らない非実用的なハンドバッグまで。
頭の先から爪先、外側から見えないところまで、こだわり抜いたロリータファッションに身を包んだ僕が。
話し声で男だとバレるのは個人的心情の問題で大変避けたい。
つい完璧を求めてメイク道具一式まで用意してしまったのも悪かった。
丁寧に塗り込みつつも、あくまでナチュラルに見えるメイクを施した今の僕は、どこからどう見ても女の子だった。
今さら自分は男ですとか恥ずかしくて言えない。
女装をする恥ずかしさはバレなきゃ平気だけど。
だからこそ自分からバラすのは絶対に無理!
どうやって男とバレずに逃げれば良いの?
「さすがにお外じゃイヤかぁ」
「んじゃ。アソコ行く?」
対応に迷って黙ったままの僕の態度を了承だと勘違いした、金髪と赤髪に肩を抱かれて無理矢理歩かされそうになる。
足を踏ん張ろうとするけど、両側から引っ張られてしまうと、僕ひとりではどうしようもない。
やだ。怖いっ。アソコってどこ?
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