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近未来編
45.価値観
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テミスはミサイルが打ち込まれることを予期していた。
「ベルちゃん! 次はミサイルが来るわ! 魔法で撃ち落とすのよ!」
「みさいるってなに?」
「今から飛んでくるやつのことよ!」
アリータはテミスの方からヘリへ視線を戻すと丁度ミサイルが発射された。
ロックオンされた装甲車は街角を曲がってもミサイルから逃れることは出来ない。
「あれね……鈍すぎて欠伸がでるわ」
アリータは右手でランプに触れると左手をミサイルの方角に向けた。
(PhotonCross……なんちゃって)
アリータは即席の技名を考えると手先から光を発した。
それはミサイルと装甲車の直線上に、遮るような形で網目状に展開された。
それを通過したミサイルは綺麗な断面を見せたあと爆ぜて消えた。
その超自然的な現象を目の当たりにしたパイロットは思わず叫んだ。
「What Tha F※※k!?」
「Holy Shit! 奴らレーザー兵器まで持ってやがる!」
「バカか! あんな指向性レーザーがあってたまるか!?」
「チッ……! 仕方ねぇ、ミサイルが使えねんじゃ一ヶ所に集中して20mmをぶっぱなす! あの装甲車のケツを追いかけろ!」
「……」
「おい? どうし――」
射撃手は操縦手に呼びかけようとした時、装甲車から伸びる一筋の光を見た気がした。
そしてそれが最期の光景となり、意識は永遠に途絶えた。
アリータが眉間にレーザーを放ったことよって、ヘリのコントロールは失われ、ビルへと突っ込んだ。
その爆発は付近の窓ガラスをほとんど吹き飛ばす勢いであった。
「ふぅ、片付いたわよ」
アリータはハッチを閉じて車内へと戻った。
「今の爆発音……片付いたってお前、まさか殺したのか!?」
「……? 当たり前でしょ。私に歯向かうものには当然の末路よ」
怜央は頭を抱えて思い悩んだ。
「わざわざ殺すことは無いだろ!」
「はあ? 何を言ってるのよ。自分を殺しに来てる相手が居たらやり返すでしょうに、普通」
「……そうだぜ怜央。正直俺も、今回はツン子の言ってることが正しいと思う」
「コバートまで!? じゃあなんだ、人を殺すのが正しいことだと胸を張って言えるのか!」
「そうは言ってないわ。でもね怜央、あんたのソレは優しさじゃない。甘さよ。それを履き違えてたらいつか痛い目見るわ。アンタだけならまだしも、その考えは仲間も危険に晒す。この意味わかるでしょ?」
「……」
「夏目様……」
怜央はアリータの反論にも、全く筋が通っていない訳では無いと理解はしていた。
ただそれ以上に、人を殺すということに抵抗があった怜央。
眉間に手を添えて深く考えていると、シエロは背中に手を添えた。
自分が怜央の味方であると、暗に伝えたかったのか、心配からの行動かはわからない。
ただその手を添えたシエロからは、何か覚悟めいたものが感じられた。
「――そういうのに悩めるのも生きているからこそ。何はともかく窮地から脱出できたことを喜ぶべきだ。過ぎたことは変えられない。それなら次、次にどうするかが重要なのだよ」
「……オッサンの癖になにいいこと言ったみたいな雰囲気だしてるのよ」
「何はともあれ不必要な犠牲を増やさないためにも次の行動に移らねば。そうだろう?」
怜央は博士の言葉も十分理解していた。
だから今行う議論ではなく、今後の行動を考える必要性の方が高い事も承知していた。
「ええ……博士の言う通りかもしれません。追っ手を振り切ったとはいえこのままだと再び戦闘になる。どこか見つからない、隠れ家みたいなところに隠れなければ……」
「それについてなんだが――実は1つアテがある」
博士はタブレットに地図を表示させて提案を行った。
「ベルちゃん! 次はミサイルが来るわ! 魔法で撃ち落とすのよ!」
「みさいるってなに?」
「今から飛んでくるやつのことよ!」
アリータはテミスの方からヘリへ視線を戻すと丁度ミサイルが発射された。
ロックオンされた装甲車は街角を曲がってもミサイルから逃れることは出来ない。
「あれね……鈍すぎて欠伸がでるわ」
アリータは右手でランプに触れると左手をミサイルの方角に向けた。
(PhotonCross……なんちゃって)
アリータは即席の技名を考えると手先から光を発した。
それはミサイルと装甲車の直線上に、遮るような形で網目状に展開された。
それを通過したミサイルは綺麗な断面を見せたあと爆ぜて消えた。
その超自然的な現象を目の当たりにしたパイロットは思わず叫んだ。
「What Tha F※※k!?」
「Holy Shit! 奴らレーザー兵器まで持ってやがる!」
「バカか! あんな指向性レーザーがあってたまるか!?」
「チッ……! 仕方ねぇ、ミサイルが使えねんじゃ一ヶ所に集中して20mmをぶっぱなす! あの装甲車のケツを追いかけろ!」
「……」
「おい? どうし――」
射撃手は操縦手に呼びかけようとした時、装甲車から伸びる一筋の光を見た気がした。
そしてそれが最期の光景となり、意識は永遠に途絶えた。
アリータが眉間にレーザーを放ったことよって、ヘリのコントロールは失われ、ビルへと突っ込んだ。
その爆発は付近の窓ガラスをほとんど吹き飛ばす勢いであった。
「ふぅ、片付いたわよ」
アリータはハッチを閉じて車内へと戻った。
「今の爆発音……片付いたってお前、まさか殺したのか!?」
「……? 当たり前でしょ。私に歯向かうものには当然の末路よ」
怜央は頭を抱えて思い悩んだ。
「わざわざ殺すことは無いだろ!」
「はあ? 何を言ってるのよ。自分を殺しに来てる相手が居たらやり返すでしょうに、普通」
「……そうだぜ怜央。正直俺も、今回はツン子の言ってることが正しいと思う」
「コバートまで!? じゃあなんだ、人を殺すのが正しいことだと胸を張って言えるのか!」
「そうは言ってないわ。でもね怜央、あんたのソレは優しさじゃない。甘さよ。それを履き違えてたらいつか痛い目見るわ。アンタだけならまだしも、その考えは仲間も危険に晒す。この意味わかるでしょ?」
「……」
「夏目様……」
怜央はアリータの反論にも、全く筋が通っていない訳では無いと理解はしていた。
ただそれ以上に、人を殺すということに抵抗があった怜央。
眉間に手を添えて深く考えていると、シエロは背中に手を添えた。
自分が怜央の味方であると、暗に伝えたかったのか、心配からの行動かはわからない。
ただその手を添えたシエロからは、何か覚悟めいたものが感じられた。
「――そういうのに悩めるのも生きているからこそ。何はともかく窮地から脱出できたことを喜ぶべきだ。過ぎたことは変えられない。それなら次、次にどうするかが重要なのだよ」
「……オッサンの癖になにいいこと言ったみたいな雰囲気だしてるのよ」
「何はともあれ不必要な犠牲を増やさないためにも次の行動に移らねば。そうだろう?」
怜央は博士の言葉も十分理解していた。
だから今行う議論ではなく、今後の行動を考える必要性の方が高い事も承知していた。
「ええ……博士の言う通りかもしれません。追っ手を振り切ったとはいえこのままだと再び戦闘になる。どこか見つからない、隠れ家みたいなところに隠れなければ……」
「それについてなんだが――実は1つアテがある」
博士はタブレットに地図を表示させて提案を行った。
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