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近未来編
37.未来都市
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ケプラコラール。
そこは現代よりも少し発展した世界。
都市中心地の高層ビル郡は整然と並び、高速道路や地下鉄などの移動手段もしっかりと張り巡らされている。
電信柱など一切ない。
街を歩くのは人とアンドロイド。
この世界に獣人や魔人は居なかった。
科学全盛の世界である。
そして車道に目をやれば、円でなく球体のゴムによって走る車が目に入る。
しかも運転者はハンドルに触れていない。
ほとんどが自動運転なのだ。
「さてと、ここから博士の家までは結構あるぜ? どうするよ」
「……その前にあれだな。服をどうにかしよう。これじゃ完璧にコスプレ集団だ。特にコバートとシエロ、アリータが」
「さすがに場違いなのはわかるわ。周囲の視線が私の美貌だけに注がれてるのではないってね」
「自意識過剰め――幸い近くに服屋があるっぽいからそこで適当に調達しよう」
怜央はスマホで検索した服屋へと向かった。
◇◆◇
現地に馴染む服装を買い揃えた一同はお会計を済ませるとそのまま着て出ていった。
シエロのように人間離れした外見はどうしようもないので、肌を露出しないような長めの服を着用し、耳に至ってはキャップを被って誤魔化した。
支払いに関しては電子決済が主流の世界だったので学園スマホで対応できた。
ちなみに服代は全て、怜央持ちである。
「本当に良かったのですか?」
シエロはまたもやお金を出してもらったことに申し訳なさを感じていた。
「いいのよそんなの。好きなだけ怜央に払わせときなさい。こっちはあくまでも手伝ってあげてるんだから」
「――あとでアリータだけ別に請求するからな。よりにもよってブランド物ばかり買いやがって。」
「はあ!? ちょっとー!」
「お、バスが来た。皆、あれで移動しよう」
服屋の目の前にあったバス停から、博士の家の近くまで行く算段であった。
ぶうぶう言うアリータを無視して怜央は乗り込むと、モニターに出された行先候補の内、目的地と人数をタッチした。
するとポケットの中の携帯が震え、お支払いの完了を告げた。
「どうやら重ねることすらしなくていいらしい。このバスの支払いは」
怜央は奥の空いた席に座り、皆も近くで固まって座った。
目的地に着くまでの2時間、皆は適当に雑談を始める。
「しかしこれ、バスだっけ? 奇妙な乗り物だよな」
「奇妙?」
「馬車と違って引っ張る動物も居ないし、どうやって動いてるんだよ?」
「あー、そうか車に乗ったことない人もいるか。――というかこの中じゃ俺だけか? 乗ったことあるのって」
「私もあるわよ? もっとこう、どこどこうるさいやつだったけど」
「このバスと比べたらどんな車もうるさく感じるさ。多分この静かさは電気で動いてるんだと思う」
「電気だぁ? それって雷のことだろ? そんなもんでどうやったら動くんだよ」
そこからか……と説明が億劫になった怜央は今度図書館行ってこいと雑にあしらった。
その点テミスは車に対する着目点が違う。
「これってある意味――兵器よね」
テミスが独り言の様に呟いた言葉に怜央はゾワッとした。
しかもテミスは愛おしそうに内装を触れている。
「お前まさか……」
「これくらいなら余裕よ!」
自信有りげに親指を立てるテミスはコピー出来たと暗に言っていた。
「全ては本人の解釈次第か……」
怜央は車窓から外の景色を眺めた。
歩道には人とアンドロイドが溢れんばかりにいた。
目を上に向けるとビルに設置されたモニターでアンドロイドの宣伝が流れている。
(ここは機械と人間が共存してるんだな……。日本でもAIとか騒がれるようになってたけど、ここのようになるのもそう遠くはなさそうだ)
走り始めてから1時間半 、コバートは体の不調を訴えた。
「何か変だ。体が熱くてこう……気分が悪い」
コバートは青ざめた顔をしていた。
「それは多分車酔いだな。そこまで急加速急減速はしてなかったけど、初めてだし慣れてないからかな」
「……吐きそう」
「あと少しなんだから気合いでどうにかなさい」
アリータは冷たくあしらって、万が一を考えて1つ席を離れた。
「トイレあるから無理すんなよ。やばいと思ったらあそこに――」
怜央は後ろにあるトイレを指さした。
と、同時にコバートは走った。
勢いよく閉めたドアの中からは幸いなことに何も聞こえてこない。
恐らく遮音性が高かったのだろう。
「そんなに合わなかったか……車」
「田舎臭いチャラ助には馬がお似合いよ」
コバートを除いて談笑を続けるメンバー。
そんなこともありながら、博士の家に着いた。
そこは現代よりも少し発展した世界。
都市中心地の高層ビル郡は整然と並び、高速道路や地下鉄などの移動手段もしっかりと張り巡らされている。
電信柱など一切ない。
街を歩くのは人とアンドロイド。
この世界に獣人や魔人は居なかった。
科学全盛の世界である。
そして車道に目をやれば、円でなく球体のゴムによって走る車が目に入る。
しかも運転者はハンドルに触れていない。
ほとんどが自動運転なのだ。
「さてと、ここから博士の家までは結構あるぜ? どうするよ」
「……その前にあれだな。服をどうにかしよう。これじゃ完璧にコスプレ集団だ。特にコバートとシエロ、アリータが」
「さすがに場違いなのはわかるわ。周囲の視線が私の美貌だけに注がれてるのではないってね」
「自意識過剰め――幸い近くに服屋があるっぽいからそこで適当に調達しよう」
怜央はスマホで検索した服屋へと向かった。
◇◆◇
現地に馴染む服装を買い揃えた一同はお会計を済ませるとそのまま着て出ていった。
シエロのように人間離れした外見はどうしようもないので、肌を露出しないような長めの服を着用し、耳に至ってはキャップを被って誤魔化した。
支払いに関しては電子決済が主流の世界だったので学園スマホで対応できた。
ちなみに服代は全て、怜央持ちである。
「本当に良かったのですか?」
シエロはまたもやお金を出してもらったことに申し訳なさを感じていた。
「いいのよそんなの。好きなだけ怜央に払わせときなさい。こっちはあくまでも手伝ってあげてるんだから」
「――あとでアリータだけ別に請求するからな。よりにもよってブランド物ばかり買いやがって。」
「はあ!? ちょっとー!」
「お、バスが来た。皆、あれで移動しよう」
服屋の目の前にあったバス停から、博士の家の近くまで行く算段であった。
ぶうぶう言うアリータを無視して怜央は乗り込むと、モニターに出された行先候補の内、目的地と人数をタッチした。
するとポケットの中の携帯が震え、お支払いの完了を告げた。
「どうやら重ねることすらしなくていいらしい。このバスの支払いは」
怜央は奥の空いた席に座り、皆も近くで固まって座った。
目的地に着くまでの2時間、皆は適当に雑談を始める。
「しかしこれ、バスだっけ? 奇妙な乗り物だよな」
「奇妙?」
「馬車と違って引っ張る動物も居ないし、どうやって動いてるんだよ?」
「あー、そうか車に乗ったことない人もいるか。――というかこの中じゃ俺だけか? 乗ったことあるのって」
「私もあるわよ? もっとこう、どこどこうるさいやつだったけど」
「このバスと比べたらどんな車もうるさく感じるさ。多分この静かさは電気で動いてるんだと思う」
「電気だぁ? それって雷のことだろ? そんなもんでどうやったら動くんだよ」
そこからか……と説明が億劫になった怜央は今度図書館行ってこいと雑にあしらった。
その点テミスは車に対する着目点が違う。
「これってある意味――兵器よね」
テミスが独り言の様に呟いた言葉に怜央はゾワッとした。
しかもテミスは愛おしそうに内装を触れている。
「お前まさか……」
「これくらいなら余裕よ!」
自信有りげに親指を立てるテミスはコピー出来たと暗に言っていた。
「全ては本人の解釈次第か……」
怜央は車窓から外の景色を眺めた。
歩道には人とアンドロイドが溢れんばかりにいた。
目を上に向けるとビルに設置されたモニターでアンドロイドの宣伝が流れている。
(ここは機械と人間が共存してるんだな……。日本でもAIとか騒がれるようになってたけど、ここのようになるのもそう遠くはなさそうだ)
走り始めてから1時間半 、コバートは体の不調を訴えた。
「何か変だ。体が熱くてこう……気分が悪い」
コバートは青ざめた顔をしていた。
「それは多分車酔いだな。そこまで急加速急減速はしてなかったけど、初めてだし慣れてないからかな」
「……吐きそう」
「あと少しなんだから気合いでどうにかなさい」
アリータは冷たくあしらって、万が一を考えて1つ席を離れた。
「トイレあるから無理すんなよ。やばいと思ったらあそこに――」
怜央は後ろにあるトイレを指さした。
と、同時にコバートは走った。
勢いよく閉めたドアの中からは幸いなことに何も聞こえてこない。
恐らく遮音性が高かったのだろう。
「そんなに合わなかったか……車」
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コバートを除いて談笑を続けるメンバー。
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