異世界の地、七光りの冒険

mikasaball

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水星会編

閑話.テミスとカルチャー

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 学園製スマホは非常に便利だ。
日本にいて現代技術に慣れ親しんだ怜央にはとても有難いものだった。
近世以前の文明レベルで過ごしていた人にとってはオーバーテクノロジーも甚だしく、扱いに苦慮するものではあるが、慣れというのは恐ろしい。
個人差はあれど一月もあれば使いこなせるようになるのである。

 そしてそのスマホには、初期アプリとして検索エンジン、冒険アプリ、翻訳、マップ、カレンダー、その他学生・民間の開発アプリなどがあった。
 特にめぼしいものとして、お買い物アプリ『ナイル』が挙げられる。
このナイルは一定以上の文明世界から来た人が使えるアプリで故郷の世界のショッピングサイトに直結し、売っているものを買えるというもの。
値段に関してはかなり割高で、1冊500ペグ相当の漫画は5000ペグ程になるが、運送費を考えれば妥当かもしれない。

 そんなアプリを見つけた怜央はある物を買った。
それは、漫画とDVDである。
 幸いなことにクレイユ王国内の家電屋で万能プレイヤーやディスプレイが売っていたので、その点では節約できた。
ただやはり、前世で見た映画や漫画は取り扱っていなかったので、わざわざ取り寄せたという訳だ。

 それを手間暇掛けて部屋に設置し届いたものを鑑賞していると、テミスが声をかけてきた。

「あら、怜央。面白そうなことしてるわね。それは何?」
「ああこれ? ちょっと映画観ようと思ってな。色々買ったんだ。テミスも見る?」
「映画? よくわからないけど興味深いわ」

 そうして一緒に見ることになったのは、名作インディ・〇ョーンズ。
それは考古学の教授が宝探しをする冒険活劇。
テミスに合うか気を揉んだ怜央だったが無用の心配であった。
これを見せたテミスは映画にどハマりしたのだ。

 結果、次の日から無意味に鞭を持ち歩くようになったり、トレジャーハント系の依頼を受けに行こうと誘ったりしていた。
 また別の日にはゴ〇ゴ13の漫画を見せた。
するといつもはしないグラサンをして、何故かM16を使うようになった。
 その時の口調も主人公を真似て、『俺の背後に立つな……』『予定された軌道から予定された場所を予定された速度で狙撃するのだ……スコープは必要ない』などのたまっていた。

 とどのつまり、テミスは影響されやすいのだ。

 怜央も怜央で悪ノリして、『ヤツの後ろに立つな! 命が惜しければ!』と言ってたのは一部の者しか知らない。
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