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テミスと2人、ひょんな依頼編
18.履修登録期間
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七宝学園では新学期から1週間は履修登録期間となっていた。
そのため各講義に出席し、その講義を体験したうえで、受講するかどうか決めれるのだ。
各学部共通で受講できる教養科目では『異世界文化人類学』『種族論』が必修となっている。
また、選んだ学部によって必修も別れるが、魔法学部では『魔法基礎学』が、科学学部では『科学学基礎学』が必修である。
ただし、異能学部は例外だ。
異能学部に入る者は特別に、必修科目の定めが免除される。
それは異能の能力に魔法寄りのものと科学よりのもの、或いはそれ以外の性質をもつものがあるからだ。
そのため魔法を学んで異能が成長する者もいれば、科学を学んで異能が成長する者もいる。
能力の性質に幅がある異能は、受けるべき講義にも幅があると考えられているのだ。
怜央はその事を理解してか、階級制限のない講義は片っ端から出席しようとしていた。
◇◆◇
履修登録期間1日目。
怜央は3限にあった異世界感の欠片もない、『金融と法』を受講していた。
どんな講義も1回目はオリエンテーションになることが多い。
この講義はどんなことを学べるのか、どのような人に向いているのかというものをさらっと説明されるのだ。
「――であり、金融とは富を望む者が持つものから借入、返還する過程のことで、さらにそれらはある2つに大別できる。それは――」
教授が説明している中、怜央に付き添い受講したコバートは既に飽きている様子だった。
そのため机に突っ伏しながら怜央に話しかける。
「こんなん聞いて何が楽しいんだよ。てゆーか何でこれ受けようと思ったん?」
「特に深い理由はないさ。履修登録期間中なんだから色んな授業に出て、どんなのがあるか聞く必要があるだろ?」
「それだけのために90分をねぇ……無駄にしか思えん」
コバートの言う90分とは1回の授業時間のことである。
「そんなことないさ。少なくともコバートは、この授業向いてないってことが分かったろ?これも受けたお陰さ」
「俺なら授業名だけで十分わかってたよ。退屈な講義だってことはな」
「……まあ、正直なこと言えば俺も後悔してるよ。これについては話が難しくてよくわからん。お手上げだ」
コバートは怜央の方を一瞥して尋ねる。
「なら、わざわざ付き合ってやったんだ。今日この後出る授業も無いだろうし……行こうぜ?」
行こうぜとは勿論、依頼にである。
その意図を瞬時に汲んだ怜央は少し申し訳なさそうにした。
なぜなら先約があったからだ。
「すまん、このあとはテミスに呼び出しくらってんだ」
「なんでだぁ~……」
コバートは気の抜けた声で嘆きながら机に突っ伏した。
その落胆ぶりを目にした怜央はほんのりと罪悪感を感じ、手を合わせて謝った。
そんなことをしているうちに、教授が講義の終わりを告げた。
「――はい、今日はオリエンテーションだけなので少し早く終わります。この科目を受けようと思う人は次回までに教科書を買っておいて下さい。それと、配布するレジュメもデータで上げておきますから、各自印刷して持って来てください。ではお疲れ様でした」
終わりの合図と共に、生徒らは早くも片付けを始めていた。
教授は黒板の文字を消すと、荷物を持って外に出ていく。
終わった直後は通路、出入口が混むので少し急いで怜央も動き出す。
「それじゃコバート、またな」
コバートは恨めしそうに虚ろな目で怜央を見る。
それはコバートの無言の抵抗であったのだろう。
しかし、先約を破る訳にもいかぬ怜央は苦笑いを浮かべて寮へと向かった。
そのため各講義に出席し、その講義を体験したうえで、受講するかどうか決めれるのだ。
各学部共通で受講できる教養科目では『異世界文化人類学』『種族論』が必修となっている。
また、選んだ学部によって必修も別れるが、魔法学部では『魔法基礎学』が、科学学部では『科学学基礎学』が必修である。
ただし、異能学部は例外だ。
異能学部に入る者は特別に、必修科目の定めが免除される。
それは異能の能力に魔法寄りのものと科学よりのもの、或いはそれ以外の性質をもつものがあるからだ。
そのため魔法を学んで異能が成長する者もいれば、科学を学んで異能が成長する者もいる。
能力の性質に幅がある異能は、受けるべき講義にも幅があると考えられているのだ。
怜央はその事を理解してか、階級制限のない講義は片っ端から出席しようとしていた。
◇◆◇
履修登録期間1日目。
怜央は3限にあった異世界感の欠片もない、『金融と法』を受講していた。
どんな講義も1回目はオリエンテーションになることが多い。
この講義はどんなことを学べるのか、どのような人に向いているのかというものをさらっと説明されるのだ。
「――であり、金融とは富を望む者が持つものから借入、返還する過程のことで、さらにそれらはある2つに大別できる。それは――」
教授が説明している中、怜央に付き添い受講したコバートは既に飽きている様子だった。
そのため机に突っ伏しながら怜央に話しかける。
「こんなん聞いて何が楽しいんだよ。てゆーか何でこれ受けようと思ったん?」
「特に深い理由はないさ。履修登録期間中なんだから色んな授業に出て、どんなのがあるか聞く必要があるだろ?」
「それだけのために90分をねぇ……無駄にしか思えん」
コバートの言う90分とは1回の授業時間のことである。
「そんなことないさ。少なくともコバートは、この授業向いてないってことが分かったろ?これも受けたお陰さ」
「俺なら授業名だけで十分わかってたよ。退屈な講義だってことはな」
「……まあ、正直なこと言えば俺も後悔してるよ。これについては話が難しくてよくわからん。お手上げだ」
コバートは怜央の方を一瞥して尋ねる。
「なら、わざわざ付き合ってやったんだ。今日この後出る授業も無いだろうし……行こうぜ?」
行こうぜとは勿論、依頼にである。
その意図を瞬時に汲んだ怜央は少し申し訳なさそうにした。
なぜなら先約があったからだ。
「すまん、このあとはテミスに呼び出しくらってんだ」
「なんでだぁ~……」
コバートは気の抜けた声で嘆きながら机に突っ伏した。
その落胆ぶりを目にした怜央はほんのりと罪悪感を感じ、手を合わせて謝った。
そんなことをしているうちに、教授が講義の終わりを告げた。
「――はい、今日はオリエンテーションだけなので少し早く終わります。この科目を受けようと思う人は次回までに教科書を買っておいて下さい。それと、配布するレジュメもデータで上げておきますから、各自印刷して持って来てください。ではお疲れ様でした」
終わりの合図と共に、生徒らは早くも片付けを始めていた。
教授は黒板の文字を消すと、荷物を持って外に出ていく。
終わった直後は通路、出入口が混むので少し急いで怜央も動き出す。
「それじゃコバート、またな」
コバートは恨めしそうに虚ろな目で怜央を見る。
それはコバートの無言の抵抗であったのだろう。
しかし、先約を破る訳にもいかぬ怜央は苦笑いを浮かべて寮へと向かった。
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