69 / 85
本編
68.結論から申し上げます。私は一人で動いてはいけない。
しおりを挟む時間軸としては、小学校の一年生から五年生くらいまで。
五年生の男子がからかうのをそーくんれーくんでどうしたのか、を書きたかった…。
────────────
「りあー」
「どうしたの?そーくん」
人目を憚らずに女の子に抱きついて、自身の頭をグリグリと肩に押し付けている男の子。男の子は女の子に対して好き好きオーラ全開で、女の子はそんな男の子に仕方ないなあという感じだ。女の子は将来が約束されし美少女だし、男の子もまた美少年だ。
キタキタキタキターっ!!今日もありがとうございます!!
はい、どうもこんにちは。私は、夏七&玲七を見守る会会員NO.5の転生モブです。
そう、あれは、小学校の入学式の日のこと。
クラスで担任の先生が名簿を読み上げて、元気よく返事をするピカピカの一年生達。
『夏目颯真』
知っているはずのない名前、なのに、聞いた途端漢字が浮かんだ。そして、私は前世の記憶を思い出した。彼は、テンプレ通りトラ転(トラックに轢かれて転生するの意。どうでもいいけど、トラックの運転手さん可哀想。風評被害甚だしい)した私の前世の推しだった人。もしかしたら、ただの同姓同名かもしれない。でも、彼はきっと私の推しだと確信があった。
そして、恐る恐る彼の方を見る。
淡い金色のふわふわとした髪に、意志の強そうなキリッとした眉、くりっくりの大きなおめめはブルーで少しタレ目気味、スっと通った鼻筋、きめ細かな白い肌。日本人には無い色なだけに、圧倒的存在感を持っているが、それには負けない整ったパーツが絶妙なバランスで配置されている。
結論、圧倒的美形のイケショタでした。
ふぉぉぉおおっ!!間違いない!推しだ!推しがショタだ!イケショタだ!羽根はないけど天使だ!かわいいよおぉぉぉっ!と、心の中で荒ぶったのは私です。お巡りさん!私です!だが、今世では私もロリだ!問題ないっ!キリッ。
――これは運命だ!
私と推しの恋の物語が始まるかも!そう狂喜乱舞し、喜んだのもつかの間。
推しの隣にいる、推しと並んでも遜色のない美幼女に目を奪われた。
色素の薄い茶色のサラサラキューティクルの天使の輪ができている柔らかそうな髪に、金色にも見える琥珀色のくりっくりのアーモンドアイ、スっと通った鼻筋に、小さなお口は桜色、思わず頬ずりしたくなるようなすべすべのぷくぷくほっぺ、雪のように真っ白な色白の肌。
はい、間違いなくこの子も天使です!
は?何この子、可愛すぎん?大丈夫?ロリコンに襲われたりしない?推しと完璧な美ロリのこの子を守らなきゃ、と思った瞬間だった。
この、推しの隣にいた可愛い天使は、『七海璃空』ちゃんというらしい。はぁ、可愛いねー。おばちゃん、なんでも買ってあげるよ?言ってごらん?お巡りさん、私です。
母親ネットワークの情報によると、推しと七海さんは幼稚園が同じで、推しが七海さんにベッタリで、家もとても近いらしい。推しがカルガモの雛のように七海さんの後を追いかける様子を見た時は、全私が尊さに死んでしまうかと思った。ちなみに、七海さんのお母さんと推しのお母さんは、細胞レベルでうちのお母さん違うんじゃないかと疑うレベルでDNAの格差を思うくらいの美女でした。
あぁ、七海さんが推しのヒロインなんだな、と納得だった。ただ、『君ラブ』はどうなるんだ、とは思ったものの、そこは『君ラブ』ヒロインが推し以外のルートに入ればいい。この可愛いカップルを推さずにはいられない。一般モブである私のシンデレラストーリーなんて始まるわけなかったのだ。
もう、この二人を推していくしかない!
そう思った。
そして、約一年間、二人を見守り続け、思ったこと。
りあちゃん、変態に遭遇しすぎじゃない!?
あ、僭越ながら、クラスメイトとして、りあちゃんと呼ばせてもらってます。
そう、りあちゃん。推しも遭遇しているようだが、りあちゃんの方がやばい。全校生徒の遭遇率全て引き受けているのでは、と思うくらいには、である。
これ、どうするよ?
一クラスメイトとして、考えるものの、思い浮かばない。
そんな時、『君ラブ』の『夏目颯真』攻略時の、サポートキャラのサブキャラ、『日向玲弥』が転校してきた。『日向玲弥』は、サブキャラなのに、かなり人気の高いキャラ。それだけに、推し達と並んでも遜色のないイケショタっぷりである。
日向くんは、推しに話しかけているが、無視されていた。そんな日向くんに笑顔で話しかけるりあちゃん、マジ天使。何そのふにゃってした笑顔、かわゆい。あ、これ日向くん落ちたな。その様子に、推しは不機嫌そうだ。お怒りだ。
かと思えば、何か気づけば推しと日向くんは仲良くなってるし。え?どゆこと?何があった?
どうやら、三人で登下校するようになったらしい。で、推しはりあちゃんを守るためか、空手を習いだしたらしい。え、道着姿見たい。
そして、三年、四年と推し達とクラスが離れてしまった。悲しみ。辛み。
五年生。五年生にもなると思春期に入り、男子達が、推しと日向くんとりあちゃんが一緒に登下校したり、手を繋いだり、距離感が近かったりすることをからかいだした。
0
お気に入りに追加
292
あなたにおすすめの小説

異世界転生〜色いろあって世界最強!?〜
野の木
恋愛
気付いたら、見知らぬ場所に。
生まれ変わった?ここって異世界!?
しかも家族全員美男美女…なのになんで私だけ黒髪黒眼平凡顔の前世の姿のままなの!?
えっ、絶世の美女?黒は美人の証?
いやいや、この世界の人って目悪いの?
前世の記憶を持ったまま異世界転生した主人公。
しかもそこは、色により全てが決まる世界だった!?

おばさん、異世界転生して無双する(꜆꜄꜆˙꒳˙)꜆꜄꜆オラオラオラオラ
Crosis
ファンタジー
新たな世界で新たな人生を_(:3 」∠)_
【残酷な描写タグ等は一応保険の為です】
後悔ばかりの人生だった高柳美里(40歳)は、ある日突然唯一の趣味と言って良いVRMMOのゲームデータを引き継いだ状態で異世界へと転移する。
目の前には心血とお金と時間を捧げて作り育てたCPUキャラクター達。
そして若返った自分の身体。
美男美女、様々な種族の|子供達《CPUキャラクター》とアイテムに天空城。
これでワクワクしない方が嘘である。
そして転移した世界が異世界であると気付いた高柳美里は今度こそ後悔しない人生を謳歌すると決意するのであった。

女性の少ない異世界に生まれ変わったら
Azuki
恋愛
高校に登校している途中、道路に飛び出した子供を助ける形でトラックに轢かれてそのまま意識を失った私。
目を覚ますと、私はベッドに寝ていて、目の前にも周りにもイケメン、イケメン、イケメンだらけーーー!?
なんと私は幼女に生まれ変わっており、しかもお嬢様だった!!
ーーやった〜!勝ち組人生来た〜〜〜!!!
そう、心の中で思いっきり歓喜していた私だけど、この世界はとんでもない世界で・・・!?
これは、女性が圧倒的に少ない異世界に転生した私が、家族や周りから溺愛されながら様々な問題を解決して、更に溺愛されていく物語。

底辺おっさん異世界通販生活始めます!〜ついでに傾国を建て直す〜
ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
学歴も、才能もない底辺人生を送ってきたアラフォーおっさん。
運悪く暴走車との事故に遭い、命を落とす。
憐れに思った神様から不思議な能力【通販】を授かり、異世界転生を果たす。
異世界で【通販】を用いて衰退した村を建て直す事に成功した僕は、国家の建て直しにも協力していく事になる。

王女、豹妃を狩る
遠野エン
ファンタジー
ベルハイム王国の王子マルセスは身分の差を超えて農家の娘ガルナと結婚を決意。王家からは驚きと反対の声が上がるが、マルセスはガルナの自由闊達な魅力に惹かれ押し切る。彼女は結婚式で大胆不敵な豹柄のドレスをまとい、周囲をあ然とさせる。
ガルナは王子の妻としての地位を得ると、侍女や家臣たちを手の平で転がすかのように振る舞い始める。王宮に新しい風を吹かせると豪語し、次第に無茶な要求をし出すようになる。
マルセスの妹・フュリア王女はガルナの存在に潜む危険を察知し、独自に調査を開始する。ガルナは常に豹柄の服を身にまとい人々の視線を引きつけ、畏怖の念を込めて“豹妃”というあだ名で囁かれるのだった。

美醜逆転世界でお姫様は超絶美形な従者に目を付ける
朝比奈
恋愛
ある世界に『ティーラン』と言う、まだ、歴史の浅い小さな王国がありました。『ティーラン王国』には、王子様とお姫様がいました。
お姫様の名前はアリス・ラメ・ティーラン
絶世の美女を母に持つ、母親にの美しいお姫様でした。彼女は小国の姫でありながら多くの国の王子様や貴族様から求婚を受けていました。けれども、彼女は20歳になった今、婚約者もいない。浮いた話一つ無い、お姫様でした。
「ねぇ、ルイ。 私と駆け落ちしましょう?」
「えっ!? ええぇぇえええ!!!」
この話はそんなお姫様と従者である─ ルイ・ブリースの恋のお話。

私は女神じゃありません!!〜この世界の美的感覚はおかしい〜
朝比奈
恋愛
年齢=彼氏いない歴な平凡かつ地味顔な私はある日突然美的感覚がおかしい異世界にトリップしてしまったようでして・・・。
(この世界で私はめっちゃ美人ってどゆこと??)
これは主人公が美的感覚が違う世界で醜い男(私にとってイケメン)に恋に落ちる物語。
所々、意味が違うのに使っちゃってる言葉とかあれば教えて下さると幸いです。
暇つぶしにでも呼んでくれると嬉しいです。
※休載中
(4月5日前後から投稿再開予定です)

転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組!だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業?それとも社畜?誰か助けて
ゆうた
ファンタジー
森の国編 ヴェルトゥール王国戦記
大学2年生の誠一は、大学生活をまったりと過ごしていた。
それが何の因果か、異世界に突然、転生してしまった。
生まれも育ちも恵まれた環境の伯爵家の嫡男に転生したから、
まったりのんびりライフを楽しもうとしていた。
しかし、なぜか脳に直接、神様ぽいのから、四六時中、依頼がくる。
無視すると、身体中がキリキリと痛むし、うるさいしで、依頼をこなす。
これって異世界ブラック企業?神様の社畜的な感じ?
依頼をこなしてると、いつの間か英雄扱いで、
いろんな所から依頼がひっきりなし舞い込む。
誰かこの悪循環、何とかして!
まったりどころか、ヘロヘロな毎日!誰か助けて
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる