もしかしてこの世界美醜逆転?………はっ、勝った!妹よ、そのブサメン第2王子は喜んで差し上げますわ!

結ノ葉

文字の大きさ
上 下
65 / 85
本編

64.3日目に発生したとんでもないトラブル……此れは…明日までに間に合うの?

しおりを挟む
十二月

ーーーーーー

「国王裁判所へ。私が判決発見人になります」

 犯罪が発覚した時、選択できる方法として、フェーデ・和解・裁判の3種類がある。
 フェーデは、実力行使で復讐を果たす事をいい、今ではあまり行われていない。

 今回は裁判を行い、犯罪者を断罪するのはごく当然の流れだ。しかし、

ストックトン侯爵が、雪冤宣誓せつえんせんせいを行ったら、どうなるかご存知なのですか?」

 雪冤宣誓は、被告が罪を否認する事を言う。ストックトン侯爵は、罪を認めたくないならば、自身の人格を肯定してくれる宣誓補助者を探さなくてはならない。

「勿論知っているわ。だけど、彼が12人もの宣誓補助者を見つけられるわけがない。宣誓補助者は、彼が嘘をつく様な人じゃないって、宣言しなくちゃいけないのよ。
彼が正しい人物だって、最後まで言い切れる人が12人もいる訳ないわ」

「決闘裁判に持ち込まれたら、アイラ様では勝てません」
「その時は、決闘裁判の前に神明裁判しんめいさいばんを希望するわ」

「それでもし、ストックトン侯爵が神を騙し抜いたら?」

「そんな事絶対にありえない。神も集まった方々にも真実は必ず伝わるわ」


「もし決闘裁判になったら、私を代闘士に指名すると約束して頂けますか?」

「・・いいわ、その時はウィルソンに代闘士をお願いする」
「嘘吐き、アイラ様の嘘は直ぐにわかる」

「判決発見人は、貴族や奴隷以外の自由人がなると、通例で定められております。平民の私なら、資格があります」

「アイラもウィルソンも、落ち着きなさい。国王裁判所に訴え出るのは、私も賛成だ。判決発見人にはウィルソン、補助をアイラと言うのはどうかな?」

「それがいいと私も思います。恐らく裁判官は、陛下が為されるでしょう。ストックトン侯爵はそれなりに人脈もあるので、宣誓補助者を見つけてくる可能性はありますね。
神明裁判、神判の結果は神のみぞ知ると言うところですが、恐らく彼は拒否するでしょう。いずれにしろ、決闘裁判だけは避けられる様に手を打ちましょう」

「雪冤宣誓するのは、ストックトン侯爵だけだろうが、自分の手を汚すのは嫌いな彼の事だ。神判で熱湯や火に手を突っ込むとか、水に投げ込まれるとか。絶対にやらんだろう」

「でも逃げればそこで、罪を認めた事になります」
「神判直前まで持ち込んで、逃げた所を捕まえるのが一番安全そうだ」


 裁判は、思った以上にあっさりと完結した。

 裁判は公開で行われた。裁判集会場には、社交界で評判のエジャートン伯爵が、判決発見人の一人だと知った多くの貴族が集まった。

 被告は5人。ストックトン侯爵とデイビッド、胴元のジェイソンとビクターそしてウォルター。
 アイラ達から全ての証拠が提出され、罪状報告がなされた。証人としてシンディとバイオレット、メリッサが召喚されている。

 予想通り、ストックトン侯爵だけは雪冤宣誓を行った。彼が集めていた宣誓補助者の一部は、宣誓の後、ストックトン侯爵が誠実な人物であると証言したが、殆どの人が拒否してしまった。
 ストックトン侯爵は、決闘裁判を望んだが陛下から、
「ならば、神明裁判を行った後に決闘裁判を行うのはどうかな? 勿論代闘士は認めん」
の一言で、ストックトン侯爵は崩れ落ち、全ての罪を認めた。

 ストックトン侯爵は、爵位剥奪の上で終身の鉱山奴隷に。デイビッドは10年間の鉱山奴隷となり、その後解放される。
 胴元とビクターは、一週間の鞭打ち100回の後公開処刑。ウォルターは、北方開拓団で5年間の無償労働となった。


「アイラ様、漸く終わりましたね」
 ソフィアが声をかけるが、アイラとウィルソンは浮かない顔をしている。

「そうね、トマス様やアルフレッド様にご挨拶をして、領地に帰りましょう。陛下にもお礼のお手紙をお出ししなくては。
メリッサ達の保護をしていてくれてありがとう」

「4人纏めて、ロンメルの保養地で保護していたので、世話をしていたトスティが一番苦労したみたいです」
 ウィルソンが、トスティからの報告を思い出して、苦笑いしている。

「メリッサの事は分からないけど、後の3人が勢揃いしてるなんて、トスティの苦労が想像出来るわね」
「トスティはリリアの実家で長い間楽しんでいたので、釣り合いは取れてると思います」

 領地に帰る事をあれ程望んでいたのに、領地には最後の一人が残っている。

 ビクターが言っていたのは・・。

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

異世界転生〜色いろあって世界最強!?〜

野の木
恋愛
気付いたら、見知らぬ場所に。 生まれ変わった?ここって異世界!? しかも家族全員美男美女…なのになんで私だけ黒髪黒眼平凡顔の前世の姿のままなの!? えっ、絶世の美女?黒は美人の証? いやいや、この世界の人って目悪いの? 前世の記憶を持ったまま異世界転生した主人公。 しかもそこは、色により全てが決まる世界だった!?

荷物持ちの代名詞『カード収納スキル』を極めたら異世界最強の運び屋になりました

夢幻の翼
ファンタジー
使い勝手が悪くて虐げられている『カード収納スキル』をメインスキルとして与えられた転生系主人公の成り上がり物語になります。 スキルがレベルアップする度に出来る事が増えて周りを巻き込んで世の中の発展に貢献します。 ハーレムものではなく正ヒロインとのイチャラブシーンもあるかも。 驚きあり感動ありニヤニヤありの物語、是非一読ください。 ※カクヨムで先行配信をしています。

おばさん、異世界転生して無双する(꜆꜄꜆˙꒳˙)꜆꜄꜆オラオラオラオラ

Crosis
ファンタジー
新たな世界で新たな人生を_(:3 」∠)_ 【残酷な描写タグ等は一応保険の為です】 後悔ばかりの人生だった高柳美里(40歳)は、ある日突然唯一の趣味と言って良いVRMMOのゲームデータを引き継いだ状態で異世界へと転移する。 目の前には心血とお金と時間を捧げて作り育てたCPUキャラクター達。 そして若返った自分の身体。 美男美女、様々な種族の|子供達《CPUキャラクター》とアイテムに天空城。 これでワクワクしない方が嘘である。 そして転移した世界が異世界であると気付いた高柳美里は今度こそ後悔しない人生を謳歌すると決意するのであった。

女性の少ない異世界に生まれ変わったら

Azuki
恋愛
高校に登校している途中、道路に飛び出した子供を助ける形でトラックに轢かれてそのまま意識を失った私。 目を覚ますと、私はベッドに寝ていて、目の前にも周りにもイケメン、イケメン、イケメンだらけーーー!? なんと私は幼女に生まれ変わっており、しかもお嬢様だった!! ーーやった〜!勝ち組人生来た〜〜〜!!! そう、心の中で思いっきり歓喜していた私だけど、この世界はとんでもない世界で・・・!? これは、女性が圧倒的に少ない異世界に転生した私が、家族や周りから溺愛されながら様々な問題を解決して、更に溺愛されていく物語。

底辺おっさん異世界通販生活始めます!〜ついでに傾国を建て直す〜

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 学歴も、才能もない底辺人生を送ってきたアラフォーおっさん。  運悪く暴走車との事故に遭い、命を落とす。  憐れに思った神様から不思議な能力【通販】を授かり、異世界転生を果たす。  異世界で【通販】を用いて衰退した村を建て直す事に成功した僕は、国家の建て直しにも協力していく事になる。

美醜逆転世界でお姫様は超絶美形な従者に目を付ける

朝比奈
恋愛
ある世界に『ティーラン』と言う、まだ、歴史の浅い小さな王国がありました。『ティーラン王国』には、王子様とお姫様がいました。 お姫様の名前はアリス・ラメ・ティーラン 絶世の美女を母に持つ、母親にの美しいお姫様でした。彼女は小国の姫でありながら多くの国の王子様や貴族様から求婚を受けていました。けれども、彼女は20歳になった今、婚約者もいない。浮いた話一つ無い、お姫様でした。 「ねぇ、ルイ。 私と駆け落ちしましょう?」 「えっ!? ええぇぇえええ!!!」 この話はそんなお姫様と従者である─ ルイ・ブリースの恋のお話。

私は女神じゃありません!!〜この世界の美的感覚はおかしい〜

朝比奈
恋愛
年齢=彼氏いない歴な平凡かつ地味顔な私はある日突然美的感覚がおかしい異世界にトリップしてしまったようでして・・・。 (この世界で私はめっちゃ美人ってどゆこと??) これは主人公が美的感覚が違う世界で醜い男(私にとってイケメン)に恋に落ちる物語。 所々、意味が違うのに使っちゃってる言葉とかあれば教えて下さると幸いです。 暇つぶしにでも呼んでくれると嬉しいです。 ※休載中 (4月5日前後から投稿再開予定です)

美醜逆転異世界で、非モテなのに前向きな騎士様が素敵です

花野はる
恋愛
先祖返りで醜い容貌に生まれてしまったセドリック・ローランド、18歳は非モテの騎士副団長。 けれども曽祖父が同じ醜さでありながら、愛する人と幸せな一生を送ったと祖父から聞いて育ったセドリックは、顔を隠すことなく前向きに希望を持って生きている。けれどやはりこの世界の女性からは忌み嫌われ、中身を見ようとしてくれる人はいない。 そんな中、セドリックの元に異世界の稀人がやって来た!外見はこんなでも、中身で勝負し、専属護衛になりたいと頑張るセドリックだが……。 醜いイケメン騎士とぽっちゃり喪女のラブストーリーです。 多分短い話になると思われます。 サクサク読めるように、一話ずつを短めにしてみました。

処理中です...