もしかしてこの世界美醜逆転?………はっ、勝った!妹よ、そのブサメン第2王子は喜んで差し上げますわ!

結ノ葉

文字の大きさ
上 下
62 / 85
本編

61.リエルの外出一日目………平和…平和すぎてちょっと…心ぱ…そんなことなかったわ

しおりを挟む
「リー、僕はここまでだ。…気をつけて行っておいで」
「ありがとうございます。行って参ります、」

太陽がようやく顔を出してきた華の6時。
リエルはルーガイルに手を振替しながら目当ての列車に乗り込んだ。

今回リエルが乗ったのは、花月列車。

離島である星詠・パンクラス島に走る唯一の列車だ。今回リエルが乗るのは花月の中の紫陽花と名付けられている車両だ。

花月列車は紫陽花の他にも向日葵、金木犀、百日草等多くの車両があり、どれも人気である。

此等の車両の違いは唯一つ。それを利用する利用客だ。

例えば、リエルが今回利用する紫陽花は、女性の一人旅や旅行に使われることが殆どで、個室も多い。

向日葵の車両は完全家族向け、大きな部屋が有り、団体客や家族旅行等で使用されることが多い車両だ。

一方で紫陽花や向日葵と比べて金木犀は男性のみが乗る列車。
他の車両に比べてサービスは少ないが、華の都からパンクラス島までの移動時間は凡そ30分。

完全個室で机や椅子等の家具も設置してある為学習室として使う人もいる。

学園に通うために其の列車に乗ってきている男子生徒も少なくない。

が、今回リエルが向かうのは遠い異国の地。

目的地につくまで約3日もある。リエルは2日前に詰めたばかりの本をキャリーケースから出し、新しいページに手をかけた。

「お客様、お飲み物は…」
「では…ヤミーを少し頂けますか?」
「畏まりました。失礼いたします。」

本を読み始めてから1時間。

リエルは時々掛かる声に答えながら、時折外の景色に目を向けて手元にある透き通った赤茶色の其れを口に運び、口元に笑みを浮かべた。

持ってきた本の一冊目を読み終わった所で、リエルはベッドの側にキャリーケースを置いて、荷ほどきを始めた。

とはいえ、急遽準備した為キャリーケースの中に入っているものは少ない。

トオリから貰った3冊の文庫本、決済用のカード、シルヴェルのメイク用品と洗顔。それからナイトキャップを入れたヘアケアグッズ。が入った4つの袋。唯それだけが大きなキャリーケースの中に入っていた。

ヘアケアグッズと洗顔に使う物のみを取り出したリエルはもう一度キャリーケースを部屋の隅に置き、外の景色に目を移した。

ガラス越しにリエルの眼の前に広がるのは小さくなった島に無数の星が煌めく満天の星空、満潮になったことで現れた自然の鏡。

「わぁ………綺麗…」

鏡は空を映し、静かな夜の海の上をこの列車だけが走っている。

一面に広がった星空は、絵のように美しくリエルの目を一瞬にして盗んでしまった。

「あっ…写真……」いそいそとカメラを準備したリエルは、直ぐ様その美しい景色をカメラに収めた。

直ぐ様取った写真をアシュルト等に送ったリエルは窓際のカーテンを閉め、早速スリッパに足を通し部屋についているバスルームに向かった。

バスルームの中に入ると、其処には先程と少し違う景色が広がっていた。
バスルームは先程の部屋よりも低い位置にあるらしく、先程とは違い海面が直ぐ側にあった。

目の前にある窓腰に見る景色に息を吐きながら、ヘアケアをし終えたリエルは濡れたままの髪をタオルで包みながら鏡の前で腰を下ろした。

備え付けてあるドライヤーで髪を乾かしながらリエルはこのあとの予定をチェックして、ヘアアイロンと髪紐をキャリーケースから出した。

ドライヤーが音を立てて止まったところで一旦髪を溶かし、ヘアアイロンを塗った髪を分けたら32mmのコテで巻いていく。

因みにリエルはコテを一人で扱うのは何気に初めてである。

先ずは毛先を避けて髪をコテで挟み、耳元までクルクルと持っていくのだが…

「熱っ……」初心者がそう簡単に扱えるわけもなく、首元や耳の後ろに当たりながらもやっとの思いで巻いた頃にはリエルの腕は限界を迎えていた。

が、ここまで持ってこられればリエルの技術の見せ所。

前髪とサイドの髪を一旦ピンで止め、先程緩く巻いた髪を小さなゴムを使い上の方で纏める。

纏められたらその上から紙紐で結んで…前髪の片方だけをピンで止めたら完成。

メイクはこの後遠出するわけではないので軽く保湿のためのリップとまつげを上げて……「ん、大丈夫ね」リエルは鏡の前で全身を確認したあと、ラウンジに足を勧めた。

ラウンジと言ってもリエルはまだ未成年、ラウンジと言う名の食事処だ。

「リエル様、こちらに御座います。只今担当を……」「はい、よろしくお願いします」

ラウンジに着いたリエルは乗務員に案内されるがままに個室に入り、食事を堪能した。

と言っても、リエルは態々食事のためだけに身なりを整えてラウンジに来た訳ではない。

食事を摂るだけなら部屋から動かなくても良い。ではなぜ態々リエルがここまで来たのかというと…

「リエル様、お初にお目にかかります私この列車の…」「まぁ、お父様の…此方こそ今回は……」「…それは勿論に御座います。」

「リエル様。今お時間を頂いても…」「まぁ!勿論です。まさか先生にお会いできるだなんて…」「先生などそんな…身に余る言葉です。所で先日のシルヴェルのデザインなのですが…」

「リルー!元気だったか~?」「ルトラ様…えぇ、私は元気です。ルトラ様も…お元気そうで何よりです」「ありがとな!所で早速なんだけどさ、この間のシュルテンヴェル婦人が持ってたアレって…」「お作りしましょうか?」「本当か!頼む!来月18番目の妹の入園式でさ~」

「リー、元気そうね、」「お姉様、何時からそこに?」「つい先程よ、話し相手になってくれる?」「勿論です、あ、私お姉様に渡したいものが…」

ひとえに顔を合わせておくためである。

パンクラス島を走る唯一の列車であるこの花月列車は様々な人が乗車する。

小さな子供からご年配の老夫婦、地元の人々から学者や貴族まで、様々な人が乗るのだ。

リエルは幼い頃から列車に乗るときに"様々な人と顔を合わせなさい。其れが貴方の人脈と価値観を広めてくれるわ"そう母から教わっているため、毎回様々な人が集うラウンジに足を運ぶようにしている。

シュルテンヴェルの娘として、シルヴェルのデザイナーとして、そしてルナスーヴェルク学園の臨時の副会長としてここに居る以上様々な人に会い、話して置かなければならない。

例えば一番最初に声をかけてきた初老のスーツを着た姿勢の良い人物はこの列車の責任者で繋がりはお父様。

二番目に声をかけてきた美しいスカーフを身にまとっているのはその道で知らない人はいない衣装デザイナー。繋がりはシルヴェルと学園のOB。

三番目に声をかけてきたのは手芸店の跡取り息子。大量の服やアクセサリーを作るシルヴェルにとって欠かせない存在だ。繋がりは、共通の友人と私。

四番目に声をかけてきた儚げな雰囲気を醸し出している美女はお母様の親戚筋のモデルをやっているお姉様。繋がりは、お母様と私。


シュルテンヴェルは何も昔からお金持ちだったわけではない。

昔のシュルテンヴェルの名前の価値は、唯の王家と血の繋がりがある一貴族。それだけだった

が、シュルテンヴェルの当主はその名に甘えることはなく、様々な方面に力を伸ばした。

シュルテンヴェルの前当主達が気づきあげた恐ろしいほどの人脈は、シュルテンヴェルが銀行、電子機器、鉱山、物流、 アパレル関係から食品店、果てには装飾品まで手掛ける世界的複合企業になる事を可能にしたのだ。

人と人を結び、道を作る。そしてそれは巡り巡って経済を回す。

権力が、地位があるだけでは誰も見知らぬ貴族に着いていきたいだなんて思わない。

過去の、過去を生きた当主とそれを支えた者のお陰でシュルテンヴェルは成り立っているのだ。

だからこそリエルは現在でも人とのつながりを大切にするし、よっぽどのことがない限り縁を切る等あり得ない。

だからといって……
『リル!!聞いて!第二王子が!!』流石に真夜中にいきなり電話をかけてきた義妹に何も思わないわけではないわ……

お願いだから静かに寝させて!!

_______________
お休みさせていただいている間にも多くの女神様に見て頂くことが出来て、とても嬉しく思っております!ほんっとうにありがとうございます(泣)

テストが終わった~!やった~!長かったよぅ…

今回数学はいつも通り嫌i((難しかったけど地理も難しかった…何なら世界史除く社会系ムズスギ…、

ヒエン……

でもでも!この後はもう午前出終わる……ひゃっは~!!

昨日の朝3時に写真撮影を思い出したのは内緒デ…(ついでに二重マッサージをやってたのも…シーッ)

イベント??3つ目の倉庫まで攻略しましたが何か?え?姫さんを手に入れようと??え~そんな…まさか……ね?い、いや…一文字を揃えたいとか…思ってないよ???

本日お誕生日キャラは…170cm超えの犬型宇宙生物と、練習が恐ろしく完璧なバスケ部マネとお久しぶりです!頭に骨を被った若頭補佐!!

あのバスケ部……幾ら相手が主人公とはいえ何であんなにすぐ負けちゃったの???推し…、推しが負け…、いやぁ!!

本日お誕生日の方の誕生花は…カランコエ 「幸福を告げる」「たくさんの小さな思い出」「おおらかな心」・ラナンキュラス 「とても魅力的」「晴れやかな魅力」「光輝を放つ」・バラ 「愛」「美」

スーーーーッ…………ちょっと聖女様多すぎません!?(80セベク)

「あ~……推しが足りないんじゃー、何故田舎には推しグッズが、こんなにも少ないのか…謎である。(後田舎高校にある前髪眉上の校則…滅してしまえ」(ピンクノアノコハ後チョットのところでメンテが来て迎えできませんでした)絶望が半端ない審神者

「ワン!「兄さん、無事に成長して帰ってきました!」「あんた誰ですかちょっと!」ワンッ!」by.イッヌもどきと眼鏡

「監督生~、隈やべぇぞ?一旦寝ろって…」「無理、体内時計が狂って…」「でもそれは流石にやばいって!あ、お~い!」「何のようだ?……はぁ…ったく…今回だけだからな」by.狼とライオンとハイエナ&狸に囲まれて秒で寝落ちした監督生(監督生氏メンタル鋼か?あ~、羨ましいけど絶対に何が起きても入りたくはない場所ですな…猫たんだけ…)
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

異世界転生〜色いろあって世界最強!?〜

野の木
恋愛
気付いたら、見知らぬ場所に。 生まれ変わった?ここって異世界!? しかも家族全員美男美女…なのになんで私だけ黒髪黒眼平凡顔の前世の姿のままなの!? えっ、絶世の美女?黒は美人の証? いやいや、この世界の人って目悪いの? 前世の記憶を持ったまま異世界転生した主人公。 しかもそこは、色により全てが決まる世界だった!?

転生した元社畜ですがタッチの差で勇者の座を奪われたので紆余曲折あって魔王代理になりました ~魔王城の雑用係の立身出世術~

きのと
ファンタジー
社畜だった俺が転生したのは、大人気RPG『ワイバーン・クエスト』。これからは勇者としてがんがんチートする予定が、なぜか偽勇者として追われる羽目に。行く場をなくした俺は魔王城で見習い雑用係として働くことになったが、これが超絶ホワイトな職場環境!元気すぎるウサ耳の相棒、頼りがいある上司、セクシーなお姉さまモンスターに囲まれて充実した毎日を送っていた。ところがある日、魔王様に呼び出されて魔王城の秘密を打ち明けられる。さらに魔王代理を仰せつかってしまった。そんな大役、無理だから!どうなる、俺の見習いライフ⁉

おばさん、異世界転生して無双する(꜆꜄꜆˙꒳˙)꜆꜄꜆オラオラオラオラ

Crosis
ファンタジー
新たな世界で新たな人生を_(:3 」∠)_ 【残酷な描写タグ等は一応保険の為です】 後悔ばかりの人生だった高柳美里(40歳)は、ある日突然唯一の趣味と言って良いVRMMOのゲームデータを引き継いだ状態で異世界へと転移する。 目の前には心血とお金と時間を捧げて作り育てたCPUキャラクター達。 そして若返った自分の身体。 美男美女、様々な種族の|子供達《CPUキャラクター》とアイテムに天空城。 これでワクワクしない方が嘘である。 そして転移した世界が異世界であると気付いた高柳美里は今度こそ後悔しない人生を謳歌すると決意するのであった。

女性の少ない異世界に生まれ変わったら

Azuki
恋愛
高校に登校している途中、道路に飛び出した子供を助ける形でトラックに轢かれてそのまま意識を失った私。 目を覚ますと、私はベッドに寝ていて、目の前にも周りにもイケメン、イケメン、イケメンだらけーーー!? なんと私は幼女に生まれ変わっており、しかもお嬢様だった!! ーーやった〜!勝ち組人生来た〜〜〜!!! そう、心の中で思いっきり歓喜していた私だけど、この世界はとんでもない世界で・・・!? これは、女性が圧倒的に少ない異世界に転生した私が、家族や周りから溺愛されながら様々な問題を解決して、更に溺愛されていく物語。

底辺おっさん異世界通販生活始めます!〜ついでに傾国を建て直す〜

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 学歴も、才能もない底辺人生を送ってきたアラフォーおっさん。  運悪く暴走車との事故に遭い、命を落とす。  憐れに思った神様から不思議な能力【通販】を授かり、異世界転生を果たす。  異世界で【通販】を用いて衰退した村を建て直す事に成功した僕は、国家の建て直しにも協力していく事になる。

王女、豹妃を狩る

遠野エン
ファンタジー
ベルハイム王国の王子マルセスは身分の差を超えて農家の娘ガルナと結婚を決意。王家からは驚きと反対の声が上がるが、マルセスはガルナの自由闊達な魅力に惹かれ押し切る。彼女は結婚式で大胆不敵な豹柄のドレスをまとい、周囲をあ然とさせる。 ガルナは王子の妻としての地位を得ると、侍女や家臣たちを手の平で転がすかのように振る舞い始める。王宮に新しい風を吹かせると豪語し、次第に無茶な要求をし出すようになる。 マルセスの妹・フュリア王女はガルナの存在に潜む危険を察知し、独自に調査を開始する。ガルナは常に豹柄の服を身にまとい人々の視線を引きつけ、畏怖の念を込めて“豹妃”というあだ名で囁かれるのだった。

美醜逆転世界でお姫様は超絶美形な従者に目を付ける

朝比奈
恋愛
ある世界に『ティーラン』と言う、まだ、歴史の浅い小さな王国がありました。『ティーラン王国』には、王子様とお姫様がいました。 お姫様の名前はアリス・ラメ・ティーラン 絶世の美女を母に持つ、母親にの美しいお姫様でした。彼女は小国の姫でありながら多くの国の王子様や貴族様から求婚を受けていました。けれども、彼女は20歳になった今、婚約者もいない。浮いた話一つ無い、お姫様でした。 「ねぇ、ルイ。 私と駆け落ちしましょう?」 「えっ!? ええぇぇえええ!!!」 この話はそんなお姫様と従者である─ ルイ・ブリースの恋のお話。

私は女神じゃありません!!〜この世界の美的感覚はおかしい〜

朝比奈
恋愛
年齢=彼氏いない歴な平凡かつ地味顔な私はある日突然美的感覚がおかしい異世界にトリップしてしまったようでして・・・。 (この世界で私はめっちゃ美人ってどゆこと??) これは主人公が美的感覚が違う世界で醜い男(私にとってイケメン)に恋に落ちる物語。 所々、意味が違うのに使っちゃってる言葉とかあれば教えて下さると幸いです。 暇つぶしにでも呼んでくれると嬉しいです。 ※休載中 (4月5日前後から投稿再開予定です)

処理中です...