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本編
32.………教えてお兄様、私はいつ家に戻れるの…?
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店の中に戻ったリエルに真っ先に声をかけたのはアリス……ではなくアリシアであった。
「リエル様!!お怪我は…!」そう言ってリエルの頬を両手で挟みながら心配そうな顔を向けるアリシアにリエルは「大丈夫よ」と苦笑いを浮かべながら答えた。
その言葉を聞いて、数分後リエルの体に傷がないかを確認し終わったアリシアはもう一度リエルに向かって申し訳無さそうにこう呟いた。
「ほんっとうに、うちの愚兄が申し訳ありません…あそこで私が止められていればよかったのですが……」と、
それを聞いて真っ先に反応したのは店の奥で手当を受けていたアリスである。
「ちょっと、アリシア?愚兄って何、もう一度言ってみなさい」
「愚兄は愚兄でしょう、あなたが行ってもどうすることも出来ない事くらい疾うに分かっていたはずです。」
反論したアリスに真顔でそう返すアリシア。
「うっ……でも言い方ってものがあるでしょう。言い方っていうものが、」
「煩いですよ、お客様の迷惑になります。もう少し声のボリュームを下げてください…はぁ…」
「誰のせいだと思ってるよの、だいたいね…」
「それを言うなら……」
今年度第253回目の兄妹喧嘩勃発の瞬間である。
リエルは(こうなると止まらないのよね……)と内心ため息を付きながら二人の喧嘩を見ていた。
そんな二人の喧嘩を横目に見つつ、近くにあった白紙を見つけたリエルはディーノと話していて頭に浮かんだものを全て羽ペンで書き起こしていた。
ここで何故わざわざ羽ペンを使うのか、ボールペンの方が便利だろうと思った人もいるだろう。
羽ペンは水性染料だから使う紙を選ぶし、速乾性が無いが故に書いた文字が乾く前に触ると擦れてしまう。
インクに速乾性が無いと言っても、ペンを持ったまましばらく考えていたりするとペン先が乾いて文字が書けなくなる。
まぁ、ぶっちゃけると利便性が悪いのだ。ここで話に戻るが、この世界の科学は悪くない。
パソコン(もどきであるが)も存在するし、タブレットやドライヤー、ヘアアイロン何かもリエルが過ごしていた世界よりも少し上を行くものばかりだ。
が、その反面電車やバス、ボールペンやハサミといった物は存在しないのである。
それらが作られていない理由は唯一つ、"女性が使わないから"これに尽きる。
さて、これまで何度も出てきているようにこの世界は女性が少ない。
故に昔からいまにかけ女尊男卑の部分が強く残っている。ここまではいいだろう
が、ここからが問題なのだ。昔の王や貴族は何を思ったか職人に作るものを"女性の役に立つもの"限定にするように命じたのだ。とんだ女尊男卑である。
しかもそれに反発して隠れて自分好みのものを作り出すのではないかと言い出した王子の発言により、更に"自分の私利私欲のために物を作成した者は課税を科す"という謎の法律まで定まってしまったのだ。
当然これに反発するものいた。が、
電車やバス何かは女性も使えるだろう!!
ー馬車を使えば良いだろう、線路に足を取られて女性が転んだらどうするつもりだ
うちの工場が発案したこのボールペンというものは女性でも使いやすく…
ー見目が美しくない。重い。女性が使っているときに手を傷めたらどうしてくれる
俺等が作ったハサミっていうものは男女どっちでも…
ー美しくない。刃をむき出しにするなど危険極まりない。持ち手が硬い。そもそも女性は使わないし使う機会があっても使用人がペーパナイフを持っているだろう。却下、
と、王の側近である宰相(過去に類を見ないほどのとてつもなく偏った女性主義者思考の持ち主)が全て切っていったためそれらの案は全て消えていってしまったのだ。
まぁ、後々その話をリエルから聞いたヴェルカによっていくつかのアイデアが実現させられる事にのだが……それは一旦置いておこう。
と、大分話がそれてしまったがここで話を戻そう。
リエルはデザイン画を羽パンを使って書き起こしていた。
因みにリエルが今着ている服は薄いエメラルドグリーンの色のレースがふんだんに使われたプリンセスドレスである。
さて、そのドレスを着たままデザイン画を書くとどうなるだろうか?そう、乾いていないインクがドレスについてしまうのである。
そしてリエルが「あ…」と、気づいたときにはもうかなりの範囲にインクがついてしまった後であった。
(どうしましょう…水性だし落ちないことはないけれど……)そう思ってふと、アリスとアリシアの方を向いたリエルだったが二人の喧嘩は現在進行系であった。
声をかけても聞こえないだろうと判断したリエルはデザイン画の一部をちぎり、二人へのメッセージを書き、その隣に書き終わったデザイン画を置いたあと店を出た。
店を出て持っていたストールでインクで汚れてしまった部分を隠しながら(さて…どうやって帰りましょうか、何処かに最初に乗った馬車があるはずなのだけれど……)と思いながら歩いていると、
後ろから誰かが着いてきているのがわかった。(え…?何?不審者?)と思い焦ったリエルだったが、背後を確認するためにさり気なく開いた手鏡に見知った布が見えた。
「リー…かい?」そう後ろから掛けられたその声にリエルは振り向いてその姿を確認した瞬間駆け出していた。
リエルの眼の前に居たのは……
____________________
お気に入り登録してくださった方が126人も!?
沢山の女神様方に見ていただけてとっても嬉しいのです❣❣ほんっと~に、ありがとうございます❣
改めまして、本日お祖母様が出品したらしい生花展に行ってきました唯ノ葉です。
綺麗、可愛い、よくわからん、綺麗、綺麗、???、可愛い……素人にはあの???とよくわからんやつの理解がつかんのよ…すまぬ……
あと今回の文章の中で物を貶すような発言があったのは後でしっかりと訂正されますので今この部分だけ、見逃してください!ごめんなさい…ほんと…
その後で買いに行った(支払いはお父様の)一つ900円の庶民には少しお高いケーキが美味しかったことは覚えておりましてよ、
「明日美術以外やりたい教科がない…、あ、週末課題あるんだった……待って、範囲の紙どこおいた……」by.前日夜に虚無顔を弟に晒す監督生
「面白いことを言うな、お前、勝手にしろ」by.吸血鬼専門の医者
「ケーキワンホール!!全部食べていい…、ジュル」by.業火の魔女
「リエル様!!お怪我は…!」そう言ってリエルの頬を両手で挟みながら心配そうな顔を向けるアリシアにリエルは「大丈夫よ」と苦笑いを浮かべながら答えた。
その言葉を聞いて、数分後リエルの体に傷がないかを確認し終わったアリシアはもう一度リエルに向かって申し訳無さそうにこう呟いた。
「ほんっとうに、うちの愚兄が申し訳ありません…あそこで私が止められていればよかったのですが……」と、
それを聞いて真っ先に反応したのは店の奥で手当を受けていたアリスである。
「ちょっと、アリシア?愚兄って何、もう一度言ってみなさい」
「愚兄は愚兄でしょう、あなたが行ってもどうすることも出来ない事くらい疾うに分かっていたはずです。」
反論したアリスに真顔でそう返すアリシア。
「うっ……でも言い方ってものがあるでしょう。言い方っていうものが、」
「煩いですよ、お客様の迷惑になります。もう少し声のボリュームを下げてください…はぁ…」
「誰のせいだと思ってるよの、だいたいね…」
「それを言うなら……」
今年度第253回目の兄妹喧嘩勃発の瞬間である。
リエルは(こうなると止まらないのよね……)と内心ため息を付きながら二人の喧嘩を見ていた。
そんな二人の喧嘩を横目に見つつ、近くにあった白紙を見つけたリエルはディーノと話していて頭に浮かんだものを全て羽ペンで書き起こしていた。
ここで何故わざわざ羽ペンを使うのか、ボールペンの方が便利だろうと思った人もいるだろう。
羽ペンは水性染料だから使う紙を選ぶし、速乾性が無いが故に書いた文字が乾く前に触ると擦れてしまう。
インクに速乾性が無いと言っても、ペンを持ったまましばらく考えていたりするとペン先が乾いて文字が書けなくなる。
まぁ、ぶっちゃけると利便性が悪いのだ。ここで話に戻るが、この世界の科学は悪くない。
パソコン(もどきであるが)も存在するし、タブレットやドライヤー、ヘアアイロン何かもリエルが過ごしていた世界よりも少し上を行くものばかりだ。
が、その反面電車やバス、ボールペンやハサミといった物は存在しないのである。
それらが作られていない理由は唯一つ、"女性が使わないから"これに尽きる。
さて、これまで何度も出てきているようにこの世界は女性が少ない。
故に昔からいまにかけ女尊男卑の部分が強く残っている。ここまではいいだろう
が、ここからが問題なのだ。昔の王や貴族は何を思ったか職人に作るものを"女性の役に立つもの"限定にするように命じたのだ。とんだ女尊男卑である。
しかもそれに反発して隠れて自分好みのものを作り出すのではないかと言い出した王子の発言により、更に"自分の私利私欲のために物を作成した者は課税を科す"という謎の法律まで定まってしまったのだ。
当然これに反発するものいた。が、
電車やバス何かは女性も使えるだろう!!
ー馬車を使えば良いだろう、線路に足を取られて女性が転んだらどうするつもりだ
うちの工場が発案したこのボールペンというものは女性でも使いやすく…
ー見目が美しくない。重い。女性が使っているときに手を傷めたらどうしてくれる
俺等が作ったハサミっていうものは男女どっちでも…
ー美しくない。刃をむき出しにするなど危険極まりない。持ち手が硬い。そもそも女性は使わないし使う機会があっても使用人がペーパナイフを持っているだろう。却下、
と、王の側近である宰相(過去に類を見ないほどのとてつもなく偏った女性主義者思考の持ち主)が全て切っていったためそれらの案は全て消えていってしまったのだ。
まぁ、後々その話をリエルから聞いたヴェルカによっていくつかのアイデアが実現させられる事にのだが……それは一旦置いておこう。
と、大分話がそれてしまったがここで話を戻そう。
リエルはデザイン画を羽パンを使って書き起こしていた。
因みにリエルが今着ている服は薄いエメラルドグリーンの色のレースがふんだんに使われたプリンセスドレスである。
さて、そのドレスを着たままデザイン画を書くとどうなるだろうか?そう、乾いていないインクがドレスについてしまうのである。
そしてリエルが「あ…」と、気づいたときにはもうかなりの範囲にインクがついてしまった後であった。
(どうしましょう…水性だし落ちないことはないけれど……)そう思ってふと、アリスとアリシアの方を向いたリエルだったが二人の喧嘩は現在進行系であった。
声をかけても聞こえないだろうと判断したリエルはデザイン画の一部をちぎり、二人へのメッセージを書き、その隣に書き終わったデザイン画を置いたあと店を出た。
店を出て持っていたストールでインクで汚れてしまった部分を隠しながら(さて…どうやって帰りましょうか、何処かに最初に乗った馬車があるはずなのだけれど……)と思いながら歩いていると、
後ろから誰かが着いてきているのがわかった。(え…?何?不審者?)と思い焦ったリエルだったが、背後を確認するためにさり気なく開いた手鏡に見知った布が見えた。
「リー…かい?」そう後ろから掛けられたその声にリエルは振り向いてその姿を確認した瞬間駆け出していた。
リエルの眼の前に居たのは……
____________________
お気に入り登録してくださった方が126人も!?
沢山の女神様方に見ていただけてとっても嬉しいのです❣❣ほんっと~に、ありがとうございます❣
改めまして、本日お祖母様が出品したらしい生花展に行ってきました唯ノ葉です。
綺麗、可愛い、よくわからん、綺麗、綺麗、???、可愛い……素人にはあの???とよくわからんやつの理解がつかんのよ…すまぬ……
あと今回の文章の中で物を貶すような発言があったのは後でしっかりと訂正されますので今この部分だけ、見逃してください!ごめんなさい…ほんと…
その後で買いに行った(支払いはお父様の)一つ900円の庶民には少しお高いケーキが美味しかったことは覚えておりましてよ、
「明日美術以外やりたい教科がない…、あ、週末課題あるんだった……待って、範囲の紙どこおいた……」by.前日夜に虚無顔を弟に晒す監督生
「面白いことを言うな、お前、勝手にしろ」by.吸血鬼専門の医者
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