空箱 カラバコ 《あなたの空箱 満たします》

ろこあこ

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創造主

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『 ⋯ぇ ⋯はやくー!ねえ!』

『 こっちに来てよー』

 ん? ここは何処だ? さっきまで森のお家にいたはずなのに⋯

「え?  誰?」

一生懸命 私を揺すりながら起こしたのは 小さな少女だった


 少女の足首には 赤くて細い糸のようなものが結んであって

 来た道を印すように どこまでも続いていた

「どっち?」

『こっち』

 指差す少女に まるで猫のように 風が擦り寄った

『 ずっと待ってたんだよー』『 いつまで経っても起きないし』

『あたしが眠った方が早いんじゃない?て思ったよ』


 どういうことだろう⋯ 少女が眠ると何がどうなるというのだろう

 歩きながら心がアチコチに飛び回っていた

「ねえ  これから何処へ⋯  あれ?」

 居ない⋯

 今さっきまで 私の手を引いていた彼女が居ない


 足元には 赤くて細い糸のような線が 長く長く続いていた


*  ⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒  *

 夢の中で見た夢の中は 地平線まで砂だった

 オレンジ掛かった粒は 細かくて 風が吹けば空に色が付いた


 それにしても少女は何処へ姿を消したのか⋯

 一瞬の出来事で 思考が置いてけぼりだ

 今あるのは 赤くて細い糸のような線だけ⋯

 これだけが 何処かへ繋がっている⋯ という証


 よし  歩こう     この線を辿って⋯


*  ⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒  *

 砂の丘は 果てしなくて 途方もなくて⋯

 歩いても歩いても 目的地さえ分からなくて

 もういいや!と諦めそうになれば決まって夜が来て⋯

 空に流れる星の河が  私を慰めた

 そこは 私と宇宙しか存在しない空間だった


 流れ星が砂の海に落ちる⋆ ☄︎. ·˚ *

 そう心が感じた時  オレンジの砂面に 海獣が顔を出した


「マ⋯ナティ⋯?」「ジュゴ⋯ン?」「え? どっち?」

そう口にしたと同時に
   
  𓂃 𓈒𓏸𑁍 もしかして この世界は私が創っている ? ・*.❁。.*・٭•。

心も口にした



 何もかも手放した瞬間⋯ そんな感覚がした

 何処に向かうのかも分からない

 何時目覚めるかも分からない

 一人は寂しい⋯

 そんなことは もうどうでもいい

 今 私は 「 自由 」だ !


*  ⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒  *         つづく
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