空箱 カラバコ 《あなたの空箱 満たします》

ろこあこ

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エンピツ

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行き当たりばったりで 作ってきたものの  ホントのところ私は

 何がしたいのだろう⋯という気持ちが溢れ出す

 描いたココアと焼き菓子を口にしながら

「そろそろ何か⋯」と悩み出した


 難解なパズルリングが なかなか解けないように

 自分の望みが分からない

どうしてだろう⋯ 

 子どもの頃は あんなにスイスイ出てきたのにな


 気付いたら ノートにクルクルと落書きしていた

 何回も 何回も なぞる線は  私の心臓みたいで

 何時しか まるで こんがらがったワイヤーのようになっていた



 そんな気持ちを知ってか知らずか 森が静かに雨を受け入れると

 風は何やらソワソワしだした


     𖤣𖠿𖤣𖥧𖥣。𖥧 𖧧𖤣𖥧𖥣。𖥧 𖧧𖤣𖠿𖤣


『目が⋯目がクルクルするんだって!』『いい加減やめて!』

 あれ? 何処からか声がする?  私の心の声?


 指先がプルプルと震え出したのを感じて

 具合でも悪くなったんじゃ?と心配したら

 震えていたのは 握っていたエンピツだった


『いつまでクルクルしてるの?』『目は回るし 飽きるでしょ!』

「え? あ⋯ ゴメン」

『まったく これだから 人のイマジネーションは 乏しいのよ』

『あなたの考えてる事なんて お見通しなの! 』

「お⋯見通しなんですか?」

「逆に教えて下さい!  私の考え⋯ってなんですか?」

『 ⋯⋯ 』

『イヤだ!教えない 』

「 ⋯⋯ 」

「 ケチ 」

 夢だからなのか  エンピツと会話している私は まったく違和感がない

 エンピツだって喋ることくらいあるだろう⋯ と確信している

 エンピツは言った

『 私は あなたから生まれたの 』

『 だから 言わば 私は あなたの一部 』

 エンピツは他にも⋯

 私が何かを描いている最中に見える景色や

 本当は傷ついていた心の記憶をも教えてくれた


 エンピツは続けた

『 あなたは本当にしたいことを仕舞うクセがある 』

 そう それは 誰かの大切なモノを 奪ってしまうかもしれない⋯という 恐れ⋯

 あれ⋯  眠い⋯ おかしいな⋯ 突然 睡魔がやって来て エンピツの声も遠い

「 夢なのに⋯ 眠い⋯ なんて⋯ 」     

                                                                      ✏︎✎✐✏︎✎✐  つづく
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