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呪いの発現編
15、仲良くなるには
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「すみません、ユーリさん……少し宜しいでしょうか?」
「ミューさん……? いいよ、入って」
とあることを思い出したミューは、別室に宿泊しているユーリを訪ねていた。
ベッドに寝転がり、本を読んでいた彼は、身を起こして、ドアの向こうにいるミューを招き入れる。
「お、お邪魔します……」
ユーリの部屋を訪れるのは、何だかんだで初めてのミュー。
その様子は、少し緊張しているようで、頬が少し赤らんでいる。
ユーリは、彼女が可愛らしい寝間着姿でいることに、心が浮つく。
「どうぞ……って、うん……?」
ユーリが、あるモノに気付く。
それは、ミューの両手に抱えられている――枕だった。
彼の視線に気付き、ミューは弁明するように、か細い声で、こう口を開く。
「あの、これは……ユーリさんの呪いが、いつ発動してもいいように、一緒に寝ようと思ってですね……っ!」
安心を求めるように、腕の中の枕をギュッと彼女は抱きしめ、赤らんだ顔を隠して、潤んだ瞳だけを彼に見せた。
「あ、えっとぉ……一緒に寝るんだ?」
「は、はい……ネルンデス」
緊張で、二人の間に落ち着かない雰囲気が、立ち込める。
そして、珍しくミューはユーリの許可も聞かず、ドアを閉めると、ベッドにちょこんと腰掛けた。
――手を少し伸ばせば、触れる距離。
いつもと違う、押しの強い行動。
彼女は緊張しないよう、話題を振ることにする。
「何を、してたんですか?」
「あ、えっと……今は本を読んでた。魔物について書かれたモノだよ。今日出会ったサキュバスのこととか、知らない情報がないかなって、思ってね」
ユーリは、ミューの行動で落ち着かない気持ちを悟られないよう、笑って誤魔化す。
「いつもと変わらず……その、熱心なんですね。あの……あれから呪いの方は、大丈夫でしたか?」
「大丈夫、発動してないから」
「それは、良かったです。もし、発動するようでしたら――お力になりますから」
「――っ!?」
ユーリの心臓が、跳ねる。
今日あった一連の出来事が、脳裏を過ってしまう。
照れくさそうに笑う彼女の姿に、流石の彼も確信した。
――彼女は贖罪からではなく、身体を重ねることを自ら望んでいるのだ、と。
今日あった遺跡での行為も、嫌がるような素振りは全くなく、むしろ嬉しそうにしていたのは、錯覚ではないと、改めて認識せざるを得ない。
もし、本当に嫌なのであれば、わざわざ部屋を訪ね、あまつさえ一緒に寝ようなどとは、決して言えないだろう。
胸中がざわつくユーリをよそに、ミューは続けた。
「例え、私が寝ている時でも、呪いが発動したら――好きに使っていいですからね……っ♡」
ユーリは、唾を飲み込む。
目の前にある、ミューの身体。
白く滑らかな肌。
大きく、柔らかそうな胸と尻。
思わず撫でまわしたくなるような、ムッチリとした太もも。
小さく、鮮やかな色の唇。
これら全てを、彼女は捧げてくれる。
自身の欲望の為に、道具のように使っても許してくれる、そう言っているのだ。
呪いなど関係なく、今すぐにでも彼はミューを押し倒し、本能の赴くままにしたかった。
この気持ちをグッと堪え、動こうとする全身に力を入れ、抑え込む。
「本当に……いいの?」
ユーリの瞳が、期待に揺れている。
ミューもそのことを察したのか、微笑んだ。
「はい……っ♡」
――神聖な神官には程遠い、サキュバスのような笑みだった。
その瞬間だった。
「――うっ!?」
ユーリの身体を、衝撃が襲う。
(まさか、このタイミングで……ッ!?)
心臓がうるさく鼓動し、急激に体温が上がる。
一度味わったことのある、あの感覚。
――サキュバスの呪いが、発動したのだ。
だが、今度はユーリを見ているミューの態度は違う。
頬を赤らめ、発情した笑みを浮かべて、明らかに期待している。
ユーリの股間は血流を増し、大きく膨らませ、勃起してしまう。
ミューは股間を一度見て、それからユーリの表情へ視線を移すと、
「――呪い、発動しちゃいましたねぇ……?」と妖艶に笑うのだった――。
「ミューさん……? いいよ、入って」
とあることを思い出したミューは、別室に宿泊しているユーリを訪ねていた。
ベッドに寝転がり、本を読んでいた彼は、身を起こして、ドアの向こうにいるミューを招き入れる。
「お、お邪魔します……」
ユーリの部屋を訪れるのは、何だかんだで初めてのミュー。
その様子は、少し緊張しているようで、頬が少し赤らんでいる。
ユーリは、彼女が可愛らしい寝間着姿でいることに、心が浮つく。
「どうぞ……って、うん……?」
ユーリが、あるモノに気付く。
それは、ミューの両手に抱えられている――枕だった。
彼の視線に気付き、ミューは弁明するように、か細い声で、こう口を開く。
「あの、これは……ユーリさんの呪いが、いつ発動してもいいように、一緒に寝ようと思ってですね……っ!」
安心を求めるように、腕の中の枕をギュッと彼女は抱きしめ、赤らんだ顔を隠して、潤んだ瞳だけを彼に見せた。
「あ、えっとぉ……一緒に寝るんだ?」
「は、はい……ネルンデス」
緊張で、二人の間に落ち着かない雰囲気が、立ち込める。
そして、珍しくミューはユーリの許可も聞かず、ドアを閉めると、ベッドにちょこんと腰掛けた。
――手を少し伸ばせば、触れる距離。
いつもと違う、押しの強い行動。
彼女は緊張しないよう、話題を振ることにする。
「何を、してたんですか?」
「あ、えっと……今は本を読んでた。魔物について書かれたモノだよ。今日出会ったサキュバスのこととか、知らない情報がないかなって、思ってね」
ユーリは、ミューの行動で落ち着かない気持ちを悟られないよう、笑って誤魔化す。
「いつもと変わらず……その、熱心なんですね。あの……あれから呪いの方は、大丈夫でしたか?」
「大丈夫、発動してないから」
「それは、良かったです。もし、発動するようでしたら――お力になりますから」
「――っ!?」
ユーリの心臓が、跳ねる。
今日あった一連の出来事が、脳裏を過ってしまう。
照れくさそうに笑う彼女の姿に、流石の彼も確信した。
――彼女は贖罪からではなく、身体を重ねることを自ら望んでいるのだ、と。
今日あった遺跡での行為も、嫌がるような素振りは全くなく、むしろ嬉しそうにしていたのは、錯覚ではないと、改めて認識せざるを得ない。
もし、本当に嫌なのであれば、わざわざ部屋を訪ね、あまつさえ一緒に寝ようなどとは、決して言えないだろう。
胸中がざわつくユーリをよそに、ミューは続けた。
「例え、私が寝ている時でも、呪いが発動したら――好きに使っていいですからね……っ♡」
ユーリは、唾を飲み込む。
目の前にある、ミューの身体。
白く滑らかな肌。
大きく、柔らかそうな胸と尻。
思わず撫でまわしたくなるような、ムッチリとした太もも。
小さく、鮮やかな色の唇。
これら全てを、彼女は捧げてくれる。
自身の欲望の為に、道具のように使っても許してくれる、そう言っているのだ。
呪いなど関係なく、今すぐにでも彼はミューを押し倒し、本能の赴くままにしたかった。
この気持ちをグッと堪え、動こうとする全身に力を入れ、抑え込む。
「本当に……いいの?」
ユーリの瞳が、期待に揺れている。
ミューもそのことを察したのか、微笑んだ。
「はい……っ♡」
――神聖な神官には程遠い、サキュバスのような笑みだった。
その瞬間だった。
「――うっ!?」
ユーリの身体を、衝撃が襲う。
(まさか、このタイミングで……ッ!?)
心臓がうるさく鼓動し、急激に体温が上がる。
一度味わったことのある、あの感覚。
――サキュバスの呪いが、発動したのだ。
だが、今度はユーリを見ているミューの態度は違う。
頬を赤らめ、発情した笑みを浮かべて、明らかに期待している。
ユーリの股間は血流を増し、大きく膨らませ、勃起してしまう。
ミューは股間を一度見て、それからユーリの表情へ視線を移すと、
「――呪い、発動しちゃいましたねぇ……?」と妖艶に笑うのだった――。
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