【R-18】呪いを解かない神官ちゃん

右折坊太郎

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呪いの発現編

15、仲良くなるには

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「すみません、ユーリさん……少し宜しいでしょうか?」
「ミューさん……? いいよ、入って」

 とあることを思い出したミューは、別室に宿泊しているユーリを訪ねていた。
 ベッドに寝転がり、本を読んでいた彼は、身を起こして、ドアの向こうにいるミューを招き入れる。

「お、お邪魔します……」
 ユーリの部屋を訪れるのは、何だかんだで初めてのミュー。

 その様子は、少し緊張しているようで、頬が少し赤らんでいる。
 ユーリは、彼女が可愛らしい寝間着姿でいることに、心が浮つく。

「どうぞ……って、うん……?」
 ユーリが、あるモノに気付く。

 それは、ミューの両手に抱えられている――枕だった。

 彼の視線に気付き、ミューは弁明するように、か細い声で、こう口を開く。
「あの、これは……ユーリさんの呪いが、いつ発動してもいいように、一緒に寝ようと思ってですね……っ!」

 安心を求めるように、腕の中の枕をギュッと彼女は抱きしめ、赤らんだ顔を隠して、潤んだ瞳だけを彼に見せた。

「あ、えっとぉ……一緒に寝るんだ?」
「は、はい……ネルンデス」

 緊張で、二人の間に落ち着かない雰囲気が、立ち込める。
 そして、珍しくミューはユーリの許可も聞かず、ドアを閉めると、ベッドにちょこんと腰掛けた。

 ――手を少し伸ばせば、触れる距離。

 いつもと違う、押しの強い行動。
 彼女は緊張しないよう、話題を振ることにする。

「何を、してたんですか?」
「あ、えっと……今は本を読んでた。魔物について書かれたモノだよ。今日出会ったサキュバスのこととか、知らない情報がないかなって、思ってね」

 ユーリは、ミューの行動で落ち着かない気持ちを悟られないよう、笑って誤魔化す。

「いつもと変わらず……その、熱心なんですね。あの……あれから呪いの方は、大丈夫でしたか?」
「大丈夫、発動してないから」

「それは、良かったです。もし、発動するようでしたら――お力になりますから」
「――っ!?」

 ユーリの心臓が、跳ねる。

 今日あった一連の出来事が、脳裏を過ってしまう。

 照れくさそうに笑う彼女の姿に、流石の彼も確信した。

 ――彼女は贖罪からではなく、身体を重ねることを自ら望んでいるのだ、と。

 今日あった遺跡での行為も、嫌がるような素振りは全くなく、むしろ嬉しそうにしていたのは、錯覚ではないと、改めて認識せざるを得ない。

 もし、本当に嫌なのであれば、わざわざ部屋を訪ね、あまつさえ一緒に寝ようなどとは、決して言えないだろう。

 胸中がざわつくユーリをよそに、ミューは続けた。
「例え、私が寝ている時でも、呪いが発動したら――好きに使っていいですからね……っ♡」

 ユーリは、唾を飲み込む。

 目の前にある、ミューの身体。

 白く滑らかな肌。
 大きく、柔らかそうな胸と尻。
 思わず撫でまわしたくなるような、ムッチリとした太もも。
 小さく、鮮やかな色の唇。

 これら全てを、彼女は捧げてくれる。
 自身の欲望の為に、道具のように使っても許してくれる、そう言っているのだ。

 呪いなど関係なく、今すぐにでも彼はミューを押し倒し、本能の赴くままにしたかった。

 この気持ちをグッと堪え、動こうとする全身に力を入れ、抑え込む。
「本当に……いいの?」

 ユーリの瞳が、期待に揺れている。
 ミューもそのことを察したのか、微笑んだ。

「はい……っ♡」
 ――神聖な神官には程遠い、サキュバスのような笑みだった。

 その瞬間だった。

「――うっ!?」
 ユーリの身体を、衝撃が襲う。

(まさか、このタイミングで……ッ!?)
 心臓がうるさく鼓動し、急激に体温が上がる。

 一度味わったことのある、あの感覚。

 ――サキュバスの呪いが、発動したのだ。

 だが、今度はユーリを見ているミューの態度は違う。
 頬を赤らめ、発情した笑みを浮かべて、明らかに期待している。

 ユーリの股間は血流を増し、大きく膨らませ、勃起してしまう。

 ミューは股間を一度見て、それからユーリの表情へ視線を移すと、
「――呪い、発動しちゃいましたねぇ……?」と妖艶に笑うのだった――。
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