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田舎編

歓迎

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 それからは、目まぐるしい出来事ばかりだった。

 家に着き、学の父親と祖父母とも、ミコは顔を合わせた。
 夏に嬉しい、冷たい麦茶を出され、両親と机を挟み、ミコは会話する。

 神であり、世間知らずなことからボロが出ないよう、学はそのフォローに回ることとなった。

 ここで済めば良かったのだが、学に彼女が出来たことが、近所の住民や、親戚に知られたらしく、皆、家に押しかけ、事が大きくなってしまったのだ。
 普段は、広くも静かなはずの、古めかしい和風建築の一軒家に、今は多くの人が集まり、賑やかな様子となった。
 ミコは、この家では耳と尻尾を消し、普通の人間と同じように振舞おうと努めている。

『学の、どういう所が気に入ったの?』
「や、優しくも逞しく、懐の広いところ……かのう」
 
 食事も用意され、ちょっとした宴のような雰囲気となる。
 その中心で、ミコは大勢に囲まれ、質問攻めに遭っていた。

『どんな風に出会ったの?』
「わ、ワシが困っておるところに偶然現れてな、助けてくれたのじゃ……」

『年齢は?』
「こ、こう見えて学より……す、少し、年上じゃ」

 「少し」どころでは実際ないだろうが、嘘をつく。

『学のこと、好き?』
「あ、……愛しておるッ!!」

 顔を真っ赤にし、大声を出すミコに、周囲は沸き立つ。

 大勢の人間に囲まれ、落ち着かない雰囲気のミコだが、何処か楽しそうでもあった。

 皆、ミコを歓迎している。
 そのことが、彼女にも伝わっているのだろう。

 学は、そんな彼女のコロコロ変わる表情を見守りながら、こうなって良かったと感じていた。
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