11 / 17
田舎編
繋がった先に
しおりを挟む
事を終えた二人は、社の中、衣服を整えた。
「――しかし、凄かったのう……♡」
激しい行為によって、汚れに汚れた社はミコの能力によって、綺麗になっていた。
「我慢できなくって、ごめん……」
「いつも、お主は謝ってばかりじゃのう……よいのじゃ。あれほど、嬉しくも激しい初体験はあるまい」
学の謝罪に、ミコはクククと笑う。
「にしても――じゃ。どうしようかのう……これは?」
ミコは、愛おしそうに自身の下腹部を撫でる。
すっかり膨れていた腹は今、小さくなったものの、彼女の子宮には、未だ沢山の子種が残っている。
「孕まぬようにと最初は思っていたのじゃが……。ワシの力で、今すぐ孕むことも出来るぞ? それとも、子は授かり物というし、そのまま、成り行きに任せても良い。お主は、――どうしたいのじゃ?」
学は、唾を飲み込んだ。
判断を委ねられている。
今ここで、彼が「子どもが欲しい」と言えば、ミコは妊娠し、子どもを産んでくれることだろう。
愛している女性が、自分の子を産んでくれるという確信。
彼は、胸に芽生える愛情と興奮で、鼓動が速まっていく。
そして、落ち着くためにゆっくりと息を吸い、吐き出す。
自分がどうしたいのか、考えをまとめると、彼は口を開いた。
「子どもは……まだ早いかな」
「そ、そうか……」
ミコは狐耳を垂らし、ションボリとしている。否定されたようにでも、感じたのだろう。
「いや、ミコさんとの子どもが、欲しくないわけじゃなくて! 欲しいんだけど、まだ俺って学生だし……しっかり一人前になってからじゃないと、生まれてくる子どもに対しても、申し訳ないというか……」
「ククッ、そうか」
ミコは笑い、学が自分との将来について、真剣に考えていることがわかって、ホッとする。
続けて、学は言う。
「それに、子どもが出来たら――ミコさんと二人っきりじゃなくなるから……独占出来ないのって、寂しいなぁって……」
頬を掻き、彼は照れている。
「学よ、どれだけワシを惚れさせるんじゃ、お主は?」
ミコは彼に近寄ると、服をギュっと掴み、熱に浮かされた瞳で見上げてくる。
彼女の纏う雰囲気から、このままではまた、淫らな行為に繋がってしまいかねない。
だが、時は既に夕暮れ。
こんな自然しかないような田舎で、遅くまで帰ってこなければ、学の家族は心配することだろう。
「ミコさん、ストップっ! 残念だけど……続きは、また今度にしよう」
「そう、じゃな……。うぅむ……、そうじゃっ! 夜に、お主の部屋を訪ねても良いかのう?」
「いや、他にも家族がいるし……」
「大丈夫じゃ。ワシの能力で、姿をお主にだけ見えるようにすればよい。それに、壁を通り抜けることも出来るからのう。空に浮いて、直接お主の部屋を訪れるようにすれば、何も問題ないじゃろう」
名案を閃いたとばかりに、ミコは何度も頷いた。
「ミコさんが、俺の部屋に……」
学は自身の部屋に、ミコがいる光景をイメージする。
隣を見れば、可愛らしい彼女が自分に笑いかけてくれる光景を。
そして、容易に想像出来た。
我慢が出来なくなり、抱き合い、身体を重ねる展開になることが。
(きっと、夜通しエッチなことするんだろうなぁ……)
互いに肉欲に溺れるのは、回避不可能のようだった。
「ミコさん、魅力的な提案だけど、今日は止めとこう。多分、我慢出来ずにエッチなことをして、眠れなくなる未来が見える……」
「うぅっ……」
学の発言に、ミコも同じ想像が出来てしまったのだろう。
「学よ、すまぬな……つい、お主に心労をかけてしまう」
「それだけ、好きになってくれてるってことだから、俺は嬉しいよ……」
学は柔らかく微笑み、ミコの頭を優しく撫でてやる。
心地良さそうに彼女は目を細めるも、しばらくして、学の手は離れていってしまった。
「あっ……」
「大丈夫、明日も来るから。今日は帰るね……」
「そうじゃな、続きは明日にするとしよう……」
名残り惜しくも、二人は距離を空ける。
「またね……」
「うむ……」
学は手を振り、ミコに背を向けて、歩き出す。
その背中に、ミコは声をかけたくなるのを、グッとこらえた。
学は振り返りたくなる気持ちを抑え、そのまま社を後にする。
彼の姿が見えなくなった後、ミコは自身の顔を手で覆い、身体をくねらせた。
「ワシは一体、何をしておるんじゃ……っ! 幾ら好いておるとはいえ、年下の学をあのように困らせるなど……っ!!」
冷静になれなかった自身を恥じ、反省するばかりだった。
「じゃが――幸せな時間じゃった……」
これまで過ごしてきた時間の中で、感じたことのない幸福。
人を愛し、愛されるという実感。
今なら、心から「こうなって良かった」と彼女は言える。
「学……まなぶ、か……」
愛しい人の名を呼ぶだけで、心が温かくなる。
「明日がこんなに待ち遠しいのは、初めてじゃのう……」
温かな夕陽が、ミコの横顔を照らした。
社の屋根にとまっていた一羽の小鳥が、夕暮れの空へ飛び立っていく。
「しかし、もっと自制せんといかんのう……年上として、妻になる者として」
表情を引き締め、両の拳をギュっと握り、気合を入れるミコであった――。
「――しかし、凄かったのう……♡」
激しい行為によって、汚れに汚れた社はミコの能力によって、綺麗になっていた。
「我慢できなくって、ごめん……」
「いつも、お主は謝ってばかりじゃのう……よいのじゃ。あれほど、嬉しくも激しい初体験はあるまい」
学の謝罪に、ミコはクククと笑う。
「にしても――じゃ。どうしようかのう……これは?」
ミコは、愛おしそうに自身の下腹部を撫でる。
すっかり膨れていた腹は今、小さくなったものの、彼女の子宮には、未だ沢山の子種が残っている。
「孕まぬようにと最初は思っていたのじゃが……。ワシの力で、今すぐ孕むことも出来るぞ? それとも、子は授かり物というし、そのまま、成り行きに任せても良い。お主は、――どうしたいのじゃ?」
学は、唾を飲み込んだ。
判断を委ねられている。
今ここで、彼が「子どもが欲しい」と言えば、ミコは妊娠し、子どもを産んでくれることだろう。
愛している女性が、自分の子を産んでくれるという確信。
彼は、胸に芽生える愛情と興奮で、鼓動が速まっていく。
そして、落ち着くためにゆっくりと息を吸い、吐き出す。
自分がどうしたいのか、考えをまとめると、彼は口を開いた。
「子どもは……まだ早いかな」
「そ、そうか……」
ミコは狐耳を垂らし、ションボリとしている。否定されたようにでも、感じたのだろう。
「いや、ミコさんとの子どもが、欲しくないわけじゃなくて! 欲しいんだけど、まだ俺って学生だし……しっかり一人前になってからじゃないと、生まれてくる子どもに対しても、申し訳ないというか……」
「ククッ、そうか」
ミコは笑い、学が自分との将来について、真剣に考えていることがわかって、ホッとする。
続けて、学は言う。
「それに、子どもが出来たら――ミコさんと二人っきりじゃなくなるから……独占出来ないのって、寂しいなぁって……」
頬を掻き、彼は照れている。
「学よ、どれだけワシを惚れさせるんじゃ、お主は?」
ミコは彼に近寄ると、服をギュっと掴み、熱に浮かされた瞳で見上げてくる。
彼女の纏う雰囲気から、このままではまた、淫らな行為に繋がってしまいかねない。
だが、時は既に夕暮れ。
こんな自然しかないような田舎で、遅くまで帰ってこなければ、学の家族は心配することだろう。
「ミコさん、ストップっ! 残念だけど……続きは、また今度にしよう」
「そう、じゃな……。うぅむ……、そうじゃっ! 夜に、お主の部屋を訪ねても良いかのう?」
「いや、他にも家族がいるし……」
「大丈夫じゃ。ワシの能力で、姿をお主にだけ見えるようにすればよい。それに、壁を通り抜けることも出来るからのう。空に浮いて、直接お主の部屋を訪れるようにすれば、何も問題ないじゃろう」
名案を閃いたとばかりに、ミコは何度も頷いた。
「ミコさんが、俺の部屋に……」
学は自身の部屋に、ミコがいる光景をイメージする。
隣を見れば、可愛らしい彼女が自分に笑いかけてくれる光景を。
そして、容易に想像出来た。
我慢が出来なくなり、抱き合い、身体を重ねる展開になることが。
(きっと、夜通しエッチなことするんだろうなぁ……)
互いに肉欲に溺れるのは、回避不可能のようだった。
「ミコさん、魅力的な提案だけど、今日は止めとこう。多分、我慢出来ずにエッチなことをして、眠れなくなる未来が見える……」
「うぅっ……」
学の発言に、ミコも同じ想像が出来てしまったのだろう。
「学よ、すまぬな……つい、お主に心労をかけてしまう」
「それだけ、好きになってくれてるってことだから、俺は嬉しいよ……」
学は柔らかく微笑み、ミコの頭を優しく撫でてやる。
心地良さそうに彼女は目を細めるも、しばらくして、学の手は離れていってしまった。
「あっ……」
「大丈夫、明日も来るから。今日は帰るね……」
「そうじゃな、続きは明日にするとしよう……」
名残り惜しくも、二人は距離を空ける。
「またね……」
「うむ……」
学は手を振り、ミコに背を向けて、歩き出す。
その背中に、ミコは声をかけたくなるのを、グッとこらえた。
学は振り返りたくなる気持ちを抑え、そのまま社を後にする。
彼の姿が見えなくなった後、ミコは自身の顔を手で覆い、身体をくねらせた。
「ワシは一体、何をしておるんじゃ……っ! 幾ら好いておるとはいえ、年下の学をあのように困らせるなど……っ!!」
冷静になれなかった自身を恥じ、反省するばかりだった。
「じゃが――幸せな時間じゃった……」
これまで過ごしてきた時間の中で、感じたことのない幸福。
人を愛し、愛されるという実感。
今なら、心から「こうなって良かった」と彼女は言える。
「学……まなぶ、か……」
愛しい人の名を呼ぶだけで、心が温かくなる。
「明日がこんなに待ち遠しいのは、初めてじゃのう……」
温かな夕陽が、ミコの横顔を照らした。
社の屋根にとまっていた一羽の小鳥が、夕暮れの空へ飛び立っていく。
「しかし、もっと自制せんといかんのう……年上として、妻になる者として」
表情を引き締め、両の拳をギュっと握り、気合を入れるミコであった――。
1
お気に入りに追加
18
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
僕が美少女になったせいで幼馴染が百合に目覚めた
楠富 つかさ
恋愛
ある朝、目覚めたら女の子になっていた主人公と主人公に恋をしていたが、女の子になって主人公を見て百合に目覚めたヒロインのドタバタした日常。
この作品はハーメルン様でも掲載しています。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる