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第六章 解決への最短経路
第219話 依頼を受理した
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こちらの遠慮も気にせずグイグイ来たラバンさんにより、今現在見学しています。
いや、俺助言とか出来ないし!手押しポンプだって仕組み知ってるだけだし!そんな職人技とか出来ないし!
「いやぁ、ハープの弦をあれだけ切っちゃう人に職人技の助言は…ねぇ」
「本当だよ。あのやすりの動き見て?あんなん絶対出来ない」
俺の指が指す先には、金属やすりを持って岩の角を落とすラバンさんの姿があった。地面と一体型のテーブルを作っているらしく、木の幹の様な形にしたいと言っていた。
…どこをどう助言すれば良いのか分からない。ラバンさんのお喋りに『ああ、そうですね』とか『良いと思いますよ』とか曖昧な返事を返していたら、ふとラバンさんが作業を止めて振り返った。
「そういえば、ブレアは冒険者をしているんだよな?」
「うん、そうだけど。依頼でもあるの?」
ラバンさんはおうと頷いた。
「実は最近、東方の五州で光を当てると透き通って、暗くすると妖しく光り出す不思議な石が発見されたって話題でな。岩を建築の材料とする俺達も是非手に入れたいんだ。だが、どうも五州内で資源の輸出量が減っている様でな。申し訳無いんだが、あっちまで行ってブツを取って来てくれねえか?勿論報酬も出すから」
五州…ついこの前流行り病について王から直々に警告を受けたばっかの場所じゃん。出来れば断りたい所だけど。
「うーん、五州かぁ…」
ブレアも直ぐに判断は下せないらしく、俺たち(解放されたメレット含む)を見た。最悪死の病に侵されても圧倒的再生力でゴリ押し出来る面子ではあるのだが、出来れば行きたく無いと言うのは全員の共通見解であった。
「お前にも予定はあるだろうからな。無理だったら全然良い、またチャンスを気長に待つさ」
「ちょっと待って、少し相談して来て良い?」
「ああ、全然良いよ」
一旦家を出て道の端に寄る。そこで俺たちは会話を開始した。
「どうする?」
「うん…どう、行きたい人いる?」
セドリックの問い掛けに、行きたいと答える人は居ない。だが、ブレアは揺れている様だった。
「流行り病もあるし、行きたくは無いんだけど…ラバンさんには世話になったからこれ位の恩返しもしたい。ううー…」
「私はまあ、行きたいか行きたく無いかだったら行きたく無いけど、ブレアが行きたいって言うなら全然行けるわよ。こっちにはこと生命の扱いに関しては誰よりも秀でている神と、ありとあらゆる知識を持ってる博識屋が居るんだから」
そう言われればそうだな。俺は確かにと言った。セドリックも、手に小さなマリモを作ってそこから木を生やす芸をしながら微笑んだ。
「僕も、行っても良いと思うよ。最悪パッと行ってパッと帰ってこれば、短時間で病気を拾って来る事も無いだろうし」
「ま、俺はみんなの意見に任せるよ。断るなら断るし、行くならキチンと依頼もこなす。これ以上特に言うこともないかな」
全員の視線が、必然的にブレアに集まった。ブレアは少し考える素振りを見せて、そして心を決めた様だった。
「よし、行く方向で良い?ほんの少し、素材を採取しに行かせて」
「分かった。じゃあ決まりだね」
俺たちは再び家に入り、ラバンさんに依頼を受ける旨を伝えた。
「そうか、受けてくれるか!ありがとう、量は…そうだな、手で抱えれる程の大きさで良い。後は俺たちがやりくりするから。目処は…そうさな、夏の中頃までに納品してくれ」
「分かったよ、ラバンさん」
かくして、俺たちは五州への旅行兼素材集めが決定した。
~~~~~~~~~~~~~~~
ランク:???
場所 五州
期限 37週1つの日まで
条件 新しく発見された鉱石の採取。最低手で抱えれる程度。
報酬 量に応じて増額する。
備考 採取の方法は問わない。
~~~~~~~~~~~~~~~
俺たちは未だ知らなかった。この判断により、軍事大国五州の基幹経済にまで関わる事になるなんて…
いや、俺助言とか出来ないし!手押しポンプだって仕組み知ってるだけだし!そんな職人技とか出来ないし!
「いやぁ、ハープの弦をあれだけ切っちゃう人に職人技の助言は…ねぇ」
「本当だよ。あのやすりの動き見て?あんなん絶対出来ない」
俺の指が指す先には、金属やすりを持って岩の角を落とすラバンさんの姿があった。地面と一体型のテーブルを作っているらしく、木の幹の様な形にしたいと言っていた。
…どこをどう助言すれば良いのか分からない。ラバンさんのお喋りに『ああ、そうですね』とか『良いと思いますよ』とか曖昧な返事を返していたら、ふとラバンさんが作業を止めて振り返った。
「そういえば、ブレアは冒険者をしているんだよな?」
「うん、そうだけど。依頼でもあるの?」
ラバンさんはおうと頷いた。
「実は最近、東方の五州で光を当てると透き通って、暗くすると妖しく光り出す不思議な石が発見されたって話題でな。岩を建築の材料とする俺達も是非手に入れたいんだ。だが、どうも五州内で資源の輸出量が減っている様でな。申し訳無いんだが、あっちまで行ってブツを取って来てくれねえか?勿論報酬も出すから」
五州…ついこの前流行り病について王から直々に警告を受けたばっかの場所じゃん。出来れば断りたい所だけど。
「うーん、五州かぁ…」
ブレアも直ぐに判断は下せないらしく、俺たち(解放されたメレット含む)を見た。最悪死の病に侵されても圧倒的再生力でゴリ押し出来る面子ではあるのだが、出来れば行きたく無いと言うのは全員の共通見解であった。
「お前にも予定はあるだろうからな。無理だったら全然良い、またチャンスを気長に待つさ」
「ちょっと待って、少し相談して来て良い?」
「ああ、全然良いよ」
一旦家を出て道の端に寄る。そこで俺たちは会話を開始した。
「どうする?」
「うん…どう、行きたい人いる?」
セドリックの問い掛けに、行きたいと答える人は居ない。だが、ブレアは揺れている様だった。
「流行り病もあるし、行きたくは無いんだけど…ラバンさんには世話になったからこれ位の恩返しもしたい。ううー…」
「私はまあ、行きたいか行きたく無いかだったら行きたく無いけど、ブレアが行きたいって言うなら全然行けるわよ。こっちにはこと生命の扱いに関しては誰よりも秀でている神と、ありとあらゆる知識を持ってる博識屋が居るんだから」
そう言われればそうだな。俺は確かにと言った。セドリックも、手に小さなマリモを作ってそこから木を生やす芸をしながら微笑んだ。
「僕も、行っても良いと思うよ。最悪パッと行ってパッと帰ってこれば、短時間で病気を拾って来る事も無いだろうし」
「ま、俺はみんなの意見に任せるよ。断るなら断るし、行くならキチンと依頼もこなす。これ以上特に言うこともないかな」
全員の視線が、必然的にブレアに集まった。ブレアは少し考える素振りを見せて、そして心を決めた様だった。
「よし、行く方向で良い?ほんの少し、素材を採取しに行かせて」
「分かった。じゃあ決まりだね」
俺たちは再び家に入り、ラバンさんに依頼を受ける旨を伝えた。
「そうか、受けてくれるか!ありがとう、量は…そうだな、手で抱えれる程の大きさで良い。後は俺たちがやりくりするから。目処は…そうさな、夏の中頃までに納品してくれ」
「分かったよ、ラバンさん」
かくして、俺たちは五州への旅行兼素材集めが決定した。
~~~~~~~~~~~~~~~
ランク:???
場所 五州
期限 37週1つの日まで
条件 新しく発見された鉱石の採取。最低手で抱えれる程度。
報酬 量に応じて増額する。
備考 採取の方法は問わない。
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俺たちは未だ知らなかった。この判断により、軍事大国五州の基幹経済にまで関わる事になるなんて…
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