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第六章 解決への最短経路
第216話 シッタ・ディロシア
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すっかり寝てしまったコメット君をおぶり、俺は創作空間の方に戻った。すぐに起こして帰そうかとも思ったのだが、寝ているのに凄まじい力で掴んで離さない物だから、抱っこしたまま移動するわけにも行かないので一度帰って来たと言う訳だ。
この状況を見つけたセドリックの開口一番はこうであった。
「えっと、どう言う状況?」
「しーっ…起こしちゃうから」
メレットの野生化が起こらない様に瞬間移動で部屋まで戻った俺は、さてどうしようと首を捻る。無理矢理引き剥がすのなら全然出来るが、なんか背徳感がある。何せ…
「アラン君…待ってぇ…」
何て寝言で呟かれては、どうしろと言うのだ。俺は拮抗していた『行動の妨げになる』と『少年の幸せを守る』が一気に後者側に傾くのを感じ、最終的に起きるまで抱っこし続ける判断を下したのだった。…はあ。疲れた…
この後、起きた瞬間にコメット君が恥ずか死してしまうまでにそこまで時間は掛からなかった。この人はもう…何で親戚でも幼馴染でも無い俺にここまで心を開いてしまっているのだろうか。めちゃくちゃ嬉しいけども。
「うう、恥ずかしさで死にそう…」
「ダメだよ」
子を見る親の気持ちとは、恐らくこれのことを指すのだろう。俺はコメット君が落ち着くまでずっとニコニコ見守ったのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
あれから6日間経った。俺は商会の仕事を2徹して終わらせ、ついでに依頼の来ていた作者限定モデルのトランプを追加で50個作り、商会の方に提出し仕事を終わらせた。
そして今日は1週5つの日。予め手紙を出して宣言した日で、実家に帰省する日である!
俺たちは創作空間を出て、一路実家へ向かう。別に瞬間移動で全然行けるのだが、家族から『是非仲間のみんなと来なさい』と快い返事を貰い、全員で最初通った道で戻ろうと言う話になったのだ。途中、ブレアの生まれ故郷であるスラム(今はそんな呼び方とても出来ないが)にも寄り、そこの人にも挨拶する予定になっている。
あの時の野営地から1時間半かかったあの山道も、トロッコの開通によりほんの10分で往復出来る様になった。自分で敷設して置いて何だが、もの凄い疾走感があって良い感じ。貸し切りで乗ったトロッコがガガン、ゴトンと音を鳴らして、トンネル内を進んで行く。
トンネルを抜けた先に待っていたのは、あの潰れかけの小屋が立ち並ぶスラムでは無かった。建てられたばかりの石造りの家が立ち並んでいる。驚くべきは、これらが全て天然の岩を地道に削って作った一枚岩の家であると言う事だ。この町は形上は正式な町として認められていないので都市名は無いが、住民達からは『シッタ・ディロシア』『岩の町』などと呼ばれている。街の面積が広がっている所から見ても、住民達が周囲の山々から岩を切り出して建物にしているらしい。
「…まるで古代遺跡だな。現代に蘇らせた」
「だね。ガンドゥさんの加護が感じられるけど、加護持ちの人が建築でもしたのかな…?」
ビッチリ隙間無く埋められた石造りの通りを歩いていると、ふと声が聞こえた。
「ブレア、ブレアか?おーい!!」
「!ラバンさん!久し振り!」
声に反応し振り返ったブレアが顔に最高の笑顔を浮かべてラバンさんに駆け寄った。ラバンさんは最初に俺が作った手押しポンプを使った人で、ブレア曰く自分をよく気に掛けてくれてた人である。そんなラバンさんは最後に会った時より幾分か身体つきががっしりとして、服も綺麗になっていた。
腰に巻いたベルトには石を加工する用のタガネにハンマー、更に右手に持ったトタンバケツには水と大量の研ぎ石、左手には岩を大きく抉る用の爆竹の様な物を持っていた。
「ラバンさん、その格好は…?」
「ああ、これは俺がこの町の大工の棟梁をしているからだ!」
「「「棟梁!?」」」
この状況を見つけたセドリックの開口一番はこうであった。
「えっと、どう言う状況?」
「しーっ…起こしちゃうから」
メレットの野生化が起こらない様に瞬間移動で部屋まで戻った俺は、さてどうしようと首を捻る。無理矢理引き剥がすのなら全然出来るが、なんか背徳感がある。何せ…
「アラン君…待ってぇ…」
何て寝言で呟かれては、どうしろと言うのだ。俺は拮抗していた『行動の妨げになる』と『少年の幸せを守る』が一気に後者側に傾くのを感じ、最終的に起きるまで抱っこし続ける判断を下したのだった。…はあ。疲れた…
この後、起きた瞬間にコメット君が恥ずか死してしまうまでにそこまで時間は掛からなかった。この人はもう…何で親戚でも幼馴染でも無い俺にここまで心を開いてしまっているのだろうか。めちゃくちゃ嬉しいけども。
「うう、恥ずかしさで死にそう…」
「ダメだよ」
子を見る親の気持ちとは、恐らくこれのことを指すのだろう。俺はコメット君が落ち着くまでずっとニコニコ見守ったのだった。
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あれから6日間経った。俺は商会の仕事を2徹して終わらせ、ついでに依頼の来ていた作者限定モデルのトランプを追加で50個作り、商会の方に提出し仕事を終わらせた。
そして今日は1週5つの日。予め手紙を出して宣言した日で、実家に帰省する日である!
俺たちは創作空間を出て、一路実家へ向かう。別に瞬間移動で全然行けるのだが、家族から『是非仲間のみんなと来なさい』と快い返事を貰い、全員で最初通った道で戻ろうと言う話になったのだ。途中、ブレアの生まれ故郷であるスラム(今はそんな呼び方とても出来ないが)にも寄り、そこの人にも挨拶する予定になっている。
あの時の野営地から1時間半かかったあの山道も、トロッコの開通によりほんの10分で往復出来る様になった。自分で敷設して置いて何だが、もの凄い疾走感があって良い感じ。貸し切りで乗ったトロッコがガガン、ゴトンと音を鳴らして、トンネル内を進んで行く。
トンネルを抜けた先に待っていたのは、あの潰れかけの小屋が立ち並ぶスラムでは無かった。建てられたばかりの石造りの家が立ち並んでいる。驚くべきは、これらが全て天然の岩を地道に削って作った一枚岩の家であると言う事だ。この町は形上は正式な町として認められていないので都市名は無いが、住民達からは『シッタ・ディロシア』『岩の町』などと呼ばれている。街の面積が広がっている所から見ても、住民達が周囲の山々から岩を切り出して建物にしているらしい。
「…まるで古代遺跡だな。現代に蘇らせた」
「だね。ガンドゥさんの加護が感じられるけど、加護持ちの人が建築でもしたのかな…?」
ビッチリ隙間無く埋められた石造りの通りを歩いていると、ふと声が聞こえた。
「ブレア、ブレアか?おーい!!」
「!ラバンさん!久し振り!」
声に反応し振り返ったブレアが顔に最高の笑顔を浮かべてラバンさんに駆け寄った。ラバンさんは最初に俺が作った手押しポンプを使った人で、ブレア曰く自分をよく気に掛けてくれてた人である。そんなラバンさんは最後に会った時より幾分か身体つきががっしりとして、服も綺麗になっていた。
腰に巻いたベルトには石を加工する用のタガネにハンマー、更に右手に持ったトタンバケツには水と大量の研ぎ石、左手には岩を大きく抉る用の爆竹の様な物を持っていた。
「ラバンさん、その格好は…?」
「ああ、これは俺がこの町の大工の棟梁をしているからだ!」
「「「棟梁!?」」」
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