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第六章 解決への最短経路
第208話 帰って早々
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少しの雑談をしている間に、エニスへベスに帰還した。強襲の際に破壊された建物の応急処置として原型を組んでおいたお陰で、大体の補修工事は終わっていた。
王都に帰った後最初に赴いたのは冒険者ギルド。特に理由は無いが、無意識と言って良いほどここに自然に足が動いた。色々…そう色々あって、俺たちはこの王都においてかなりの有名人になっていた。行く先々の人に視線を寄越されるのでどうにもむず痒い。
「あはは、注目されちゃってるね…」
若干困ったようにセドリックが笑う。無理も無い。俺達の出現と同時に、モーゼが海を割ったみたいに道を行き交う人が左右に逸れるのだから。耳を少し澄ませば、
「あのお方って、竜の襲撃事件の時に最前線で竜達を殲滅した方々だよな?」
「多分そうだ。しかし…羨ましくなる程の美男美女の方々だなぁ」
ある者は恍惚とした表情でそう言い、
「嘘、あの人って前に年末大祭りで優勝した人達よね?」
「きゃーっ、すごいイケメン!」
何て、黄色い声を上げたりする人も。
特に冒険者ギルドは凄かった。併設の酒場で呑んでいた人達も一様に手を止め、俺達の一挙手一投足を見逃さまいと視線を釘付けにしてくる。あの声の通りの悪いギルドで声が良く響くようになる始末だ。
「やべえ…神々の意志のメンバー揃い踏みじゃねえか…」
「足の運びですら流麗だ…」
「カーッ、ありゃ天性の才覚って奴だな。けど聞いたか?あのブレア様ってギルド入りたての頃は人並の強さだったらしいぜ」
「そりゃ嘘だろう。あの格の違いを見てみろ、議論するまでも無いだろ」
「確かになー」
何か…色々言われとる。気にしないどこ。俺はさっさと受付嬢のアリシアさんの所へ向かう。カウンター下で書類を漁っていた彼女は、俺たちの接近で顔を上げ、少し驚いた表情を見せた。
「あら、あなた方は…」
「お久しぶりです、アリシアさん。少しギルマスと話がしたいのですが」
「ギルマスと?別に良いですが…」
「何か、問題でも?」
言い淀むアリシアさんに、俺は疑問を返す。何かしでかしたかと心配になったが、色々しでかし過ぎてて特定が難しい。
「いえ、ギルマスがあなた方のせいで仕事が倍になったと嘆いていたのをふと思い出しただけです」
「ああ…そう言うことか」
色々しでかしたお陰で、ギルマスことストレさんの元には軽い確認で向かうことが出来これまた色々重要な案件が平然とした顔で飛び交うのもいつも通りになりつつある。直ぐにギルド長室に通され、ストレさんが出迎えてくれた。
「アラン君達か。まあ、座ってくれて良いよ。色々積もる話もあるからね」
『積もる話』を強調され俺は頬が引き攣る感覚を覚える。ううん…随分鬱憤が溜まっているようだ。
「さて、俺に話があると言ったな。何だ?」
「いえ、特に重要なことでもありません。先日の竜たちの侵攻について、根本から解決してきたのでその報告をと。あと、感覚的にここに来なければ命を危機を感じたので…」
するとストレさんは浮かべた笑みをピクピクと引き攣らせ、供されたティオを一気に飲んだ。
「うん、それについてか。俺からも言いたい事がある。まず…何も言わずにフラッと居なくなるのマジで辞めてくれ!王城から『お前達は居ないか』と言う旨の手紙やら兵士やらが来て対応に困る!自分達が王家と繋がっていると言う事を忘れないでくれ!」
「その、すいませ…」
「肝が冷えるから!ただでさえ最近仕事が山積みなのに…これ以上増えたら過労死する!」
必死なまでの懇願を受け、俺達は自分達の爪の甘さからストレさんに大いなる負荷を掛けてしまった事を今更ながらに再認識し、今後の対応を少し考えようとアイコンタクトを交わすのだった。
王都に帰った後最初に赴いたのは冒険者ギルド。特に理由は無いが、無意識と言って良いほどここに自然に足が動いた。色々…そう色々あって、俺たちはこの王都においてかなりの有名人になっていた。行く先々の人に視線を寄越されるのでどうにもむず痒い。
「あはは、注目されちゃってるね…」
若干困ったようにセドリックが笑う。無理も無い。俺達の出現と同時に、モーゼが海を割ったみたいに道を行き交う人が左右に逸れるのだから。耳を少し澄ませば、
「あのお方って、竜の襲撃事件の時に最前線で竜達を殲滅した方々だよな?」
「多分そうだ。しかし…羨ましくなる程の美男美女の方々だなぁ」
ある者は恍惚とした表情でそう言い、
「嘘、あの人って前に年末大祭りで優勝した人達よね?」
「きゃーっ、すごいイケメン!」
何て、黄色い声を上げたりする人も。
特に冒険者ギルドは凄かった。併設の酒場で呑んでいた人達も一様に手を止め、俺達の一挙手一投足を見逃さまいと視線を釘付けにしてくる。あの声の通りの悪いギルドで声が良く響くようになる始末だ。
「やべえ…神々の意志のメンバー揃い踏みじゃねえか…」
「足の運びですら流麗だ…」
「カーッ、ありゃ天性の才覚って奴だな。けど聞いたか?あのブレア様ってギルド入りたての頃は人並の強さだったらしいぜ」
「そりゃ嘘だろう。あの格の違いを見てみろ、議論するまでも無いだろ」
「確かになー」
何か…色々言われとる。気にしないどこ。俺はさっさと受付嬢のアリシアさんの所へ向かう。カウンター下で書類を漁っていた彼女は、俺たちの接近で顔を上げ、少し驚いた表情を見せた。
「あら、あなた方は…」
「お久しぶりです、アリシアさん。少しギルマスと話がしたいのですが」
「ギルマスと?別に良いですが…」
「何か、問題でも?」
言い淀むアリシアさんに、俺は疑問を返す。何かしでかしたかと心配になったが、色々しでかし過ぎてて特定が難しい。
「いえ、ギルマスがあなた方のせいで仕事が倍になったと嘆いていたのをふと思い出しただけです」
「ああ…そう言うことか」
色々しでかしたお陰で、ギルマスことストレさんの元には軽い確認で向かうことが出来これまた色々重要な案件が平然とした顔で飛び交うのもいつも通りになりつつある。直ぐにギルド長室に通され、ストレさんが出迎えてくれた。
「アラン君達か。まあ、座ってくれて良いよ。色々積もる話もあるからね」
『積もる話』を強調され俺は頬が引き攣る感覚を覚える。ううん…随分鬱憤が溜まっているようだ。
「さて、俺に話があると言ったな。何だ?」
「いえ、特に重要なことでもありません。先日の竜たちの侵攻について、根本から解決してきたのでその報告をと。あと、感覚的にここに来なければ命を危機を感じたので…」
するとストレさんは浮かべた笑みをピクピクと引き攣らせ、供されたティオを一気に飲んだ。
「うん、それについてか。俺からも言いたい事がある。まず…何も言わずにフラッと居なくなるのマジで辞めてくれ!王城から『お前達は居ないか』と言う旨の手紙やら兵士やらが来て対応に困る!自分達が王家と繋がっていると言う事を忘れないでくれ!」
「その、すいませ…」
「肝が冷えるから!ただでさえ最近仕事が山積みなのに…これ以上増えたら過労死する!」
必死なまでの懇願を受け、俺達は自分達の爪の甘さからストレさんに大いなる負荷を掛けてしまった事を今更ながらに再認識し、今後の対応を少し考えようとアイコンタクトを交わすのだった。
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