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第四章 脚光を浴びる

第150話 イタズラ大魔王

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俺の思い付いたイタズラは名付けて!

『他人と入れ替わって家に帰ったらそのまま他人だと信じられる説!』

テレッド君以外に魔力上の関係を持つコメット君にこのイタズラを提案してみる。昨日の早朝に聞いた話だが、黒騎士と言うのは『騎士』と付くから忙しいのかと思うが案外そうでは無く、毎日働いたとしても7人いれば仕事を回せるらしい。理由は簡単、この国が戦争とかをせず平和を100年以上維持し続けているから。その為黒騎士の主な仕事が輝く機会が少なく、回って来る仕事も必然的に減るのだそう。だから週休3日制と言うメチャホワイト職場なんだって。その分求められる能力も普通の騎士団とは段違いだけど。

話を戻すが、この話をコメット君にしてみた所…

「え、待って凄くイタズラ心をくすぐられるんだけど。今週まだ休み使ってないから全然行けるし。何なら使ってない分の休み使えば実質ノーカンだし。やろう!」

…とニマニマしながら語っていた。かなり乗り気である。その後大急ぎで王城に帰り、明日終日休みの申請をしたコメット君は超速で俺の所まで戻って来た。

帰って来たコメット君と俺は作戦を練る。メレットは多分バレないだろうし、レシアルドはマッタリ見てくれそうな雰囲気があるけど、問題はセドリックとブレアだ。アイツからカモフラージュするのは並の努力じゃ務まらない気がする。ブレアに至っては心眼を持ち出されたら隠すなんて不可能の一言だ。

「姿を入れ替えるのはすぐ出来るから良いとして…口調とかで一発でバレる可能性があるなぁ。となると…」
「口調?それ位なら問題じゃ無いよ?」

コメット君はキョトンと首を傾げる。俺はその動作で何となく理由を察したが念の為聞いておく。

「どう言う事?」
「黒騎士入団試験で口調・癖の模倣の実技があるんだよ。それ以外にも練習でそう言うことはやっているからね、黒騎士で出来ない人はいないよ。一昨日昨日と過ごして大体アラン君の癖とか口調は分かってるし」

恐ろしや、この少年、そして黒騎士。このイタズラに最高の人材じゃねえか。俺はコメット君と同じ様にニマニマ笑い、そして一度路地裏に入り専用の空間を展開した。コメット君は突如変わった景色に疑問を呈する。

「ここは?」
「俺が作った仮の空間。ここで入れ替わって、その後帰る。理由付けは…そうだね、『休みだし王都をブラブラ歩いていたら、あれよこれよと言う間にお泊まりの話が出来てた』とかで良いんじゃない?そうやって念話を俺が送って置けば怪しまれないでしょ」
「アラン君、そんな事まで出来ちゃうんだ…ねぇねぇ、黒騎士団に来ない?給料は多分弾むよ?」

うっ!その上目遣いは強すぎる。だが…俺は世界を旅するって言う目標があるからなぁ。

「ごめんね、コメット君。申し訳無いけど、無理かなぁ」
「そっかぁ。けど、アラン君にも生活があるからね!しょうがないや」
「うん、けど俺の気が起きたら入団試験受けに行くかもしれないから、その時はお願いね?」
「!勿論!みんなも歓迎すると思うよ。『団長の恩人は凄い方ですね』って言ってたもの」

うーむ、一体彼は何を言ったのか。まぁ、いいか。俺は念話でセドリックに許可を貰う。

(セドリック、セドリック、ちょっとお願いがあるんだけど)
(ん~?どうしたの、アラン?)
(実は王都でコメット君と会ったんだけど、うちに泊まりたいって言っているんだよね。家に帰っても1人って言ってたから、今日くらいは無理そう?)
(んー、空き部屋が無いからアランの部屋で寝泊まりするなら良いよ。あと夕食がアランの分も含め作ってないから外で食べて来てねって話だけど)
(それ位なら大丈夫だよ。ありがとう、じゃあね!)
(は~い!)

準備完了。俺はコメット君の方に振り返り、グットサインを作る。コメット君は片目でウィンクして喜びを示す。

「じゃあ、入れ替わりイタズラ始める?」
「うん、やろう!」

俺達は自信を光の膜で包み胴体を見えなくし、その状態で服を脱いだ。念の為新品還元バック・ニューと言う洗浄魔法で新品同様に匂いとかも消して置く。その状態で服を交換し、俺たちはお互いの顔を見た。

この瞬間から俺たちは共犯者になる。2人のイタズラ大魔王は相変わらずのニマニマ笑顔を見せ合った後、俺は魔法を発動した。

目の前に設置されている鏡が映す俺たちの髪と眼の色があっという間に変わる。俺は空色空眼に、コメット君は緑髪空眼に。

同時に俺とコメット君の視線が見る見るうちに変わって行った。目測50デリは低くなったと思われる頃にようやく身長の低下が止まる。江戸川コ○ンもこんな感じだったのかな。
俺は鏡を見た。そこには昨日一昨日で知り合った少年がいた。

「…変装に関してこれ以上強い魔法は無いんじゃないかなぁ?」
「黒騎士団からしたら喉から手が出る程欲しい物だね、これ」

俺の声でコメット君は静かに言うのだった。

**********

次回、少々ネタに走ります。肌物とかが苦手な方は151、152話だけ読み飛ばすのを推奨します。

作者より
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