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第四章 脚光を浴びる

第149話 破壊力抜群

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一度俺とテレッド君以外の人には出て貰い、外で待機させた上で俺は作業を開始する。

俺はセドリックから教えて貰った通りのカルフェラ様の姿を思い浮かべつつ、常識の範囲内でテレッド君に適用する。

「ふおぉぉ……」

まず髪がクリーム色から艶のある漆黒に染まり、次に目がインクが垂れてきた様にジワリと金色に染まる。更に光に当たり虹彩は白色の筋が入る。そして顔のパーツの配置が僅かに変わり、大人びた、しかし幼さを残す顔になる。

更に首から下がカモフラージュ用の光と闇の共存する膜に包まれ、少し経った後身長が一気に20デリ程伸び145デリ程になった。身長伸ばしの前に服を膜の下で俺がそっと脱がしたので服がやられる心配は無い。公然わいせつ罪とかそっち系は知らない。見てないから多分セーフ。
未だ膜を展開した状態で変化を終え、着ていた服が畳まれた状態で排出される。

「一応、出来ました、ね。希望通りにはなったはずです。…服を着て下さい。一度出るので、着終わったら呼ぶなり出て来るなりとお願いします」
「はい!」

本人の要求とは言え膜の下では全裸のテレッド君に未だ困惑中の俺、そして希望通りになって喜ぶテレッド君。この温度差よ。俺は肩を軽く竦めつつ部屋から出た。

「中でお着替え中ですのでもう少々お待ちください」

数分後、お着替えを終えたテレッド君が出てきた。その瞬間の全員の総意はこうである。

「「「「「誰!?」」」」」
「テレッド君です」
「はい!!」

11歳程の少年に見える黒髪金眼の男の子。この世の言葉をどれだけ集めても表せない程の容姿には近くの騎士たちがしばし茫然とした。声の高さもワントーン下がり、これで正体を見抜く人がいるのかって言う変わり様だった。

…ちなみに同時刻、神界にてガンドゥと一緒にアラン達一行を観察
 していたカルフェラが突如身悶えし始めたのは彼等には知る由も
 無かった。偶然にもアランが仕立て上げた服がカルフェラが今
 着ている服に酷似しているのも責任の一端を担っているだろう。

30秒ほどの放心状態から復帰した王族一家がまじまじとテレッド君を見る。そして、アドナン王が結構なガチトーンで俺にこう言った。

「なあ、アラン君。君たちが王城にいる間だけでも私たちにもこの術をかけてくれないかい?」
「え、ええ?」


王都に繰り出した俺たちは当然の如く視線を集めた。名目上は護衛なので近くに一般人に扮した騎士も数名距離を置いて着いてきて、俺たちはテレッド君を真ん中に左右と後ろを護る様に歩いている。

この場に置いてテレッド君は“テレッド・ログワート”は“カルフ・ヘイラ”と言う偽名を使っている。そろそろセドリック経由でカルフェラ様が怒鳴りに来るとかありそうで怖い。会った事ないけど。

道行く人は交流戦の1位2位3位の男たちが歩いているのと、守られている様に見えるカルフ君で話が持ちきりだった。

「あの人達って交流戦優勝者の方々だよな?」
「側にいるあのべらぼうなイケメンは誰かしら」
「あの人、神典の中のカルフェラ様に似て無い?漆黒の髪に白と金の眼!」
「もしや神の使いか?な訳無いか」

俺は心の中で『趣向は違うけどガチ神なら目の前に居るぞ』とツッコむのだった。そんな事を露ほども知らないカルフ君は俺に問う。

「アラン君、申し訳ないんだけど文房具屋に行っても良いかな?」
「勿論、好きな所に行っていいよ。カルフ君が楽しんでくれるならどこでも」
「ありがとう!!」

「「「「「「グホアァ!!!」」」」」」

カルフ君が微笑んだ瞬間に、周りの人が未知のパワーで撃墜された。コントかよ。勿論、当の本人は周りの人が倒れた理由が自分にあるなんて知らない。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

2の時半の時間から6の時まで俺たちは護衛をした。途中でメレットも合流し、王城に送り届ける前にセドリックとブレアと一緒に先に創作空間に帰って行った。

王都巡りの時はまぁ死者が大量に出た。笑顔を取っても、悩む顔を取っても、困り顔を取っても全てに置いて破壊力が凄すぎる。どこから噂が広まったのか一目見ようと物見に来た人たちが笑顔攻撃を食らって撃墜される様は俺たちの頭を困惑一色で染めた。

「ありがとうございました~!」
「うむ、すまないな。こんなに遅くまで時間を取らせてしまって。他の者達にも感謝を伝えておいてくれ」
「アラン君、ありがとうございました!」

ニッコニコの笑顔のテレッド君を見た後俺は王城を後にした。王都に戻り、さて帰ろうかと思った時俺はある一つのイタズラを思い付く。それに関してニヤ~っと『自分でも悪い顔をしてるな、俺』と感じる笑みを浮かべた後、俺はそれを実行に移した。
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