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第四章 脚光を浴びる
第139話 神々の集結 三人称視点
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そこには一つのテーブルに、そこをグルリと取り囲む六脚程の椅子、更にその少し離れた場所に一軒の家が建っていた。家は一人住まいが丁度いいと思われる簡素な作りで、煙突からは白い煙が上がっている。
彼等はテーブルの近くの草原に腰を下ろした。テーブルには現在誰も居ない。程なくして、家から1人の老人が出て来た。銀髪に薄灰色の眼を持つ齢60から70に見えるその老爺は至って健康そうに見える。腰が曲がっている訳でも無く、禿げ上がっていると言う訳でも無い。その老爺は少し歩きテーブルの椅子の内の一つに腰掛ける。
そして麦茶と思われるティオを光の粒子から作り出し、それを数口啜った老爺はゆったりとした口調で話し始めた。
「懐かしいのぉ…神王竜に古天鳥。否、今はレシアルドとウィナと言う名を得ておったな」
《久しいな、ゼロフェラ。原初から存在せし最初の神よ》
「久し振り…ゼロフェラさん。元気だった…?」
「フォッフォ。なぁに、ワシに衰えが来ると思おておるのか、レシアルドよ?出自を同じくする者なら答えなど分かり切っておるだろうに」
《確かに、それは正鵠を得ているな》
「少し待って置いてくれるか、もう間も無く来るはずじゃ」
レシアルドとウィナは周りに並ぶ椅子を見る。初めに変化が生じたのはゼロフェラの右隣の席。光の輝きと闇の暗さを同時に持つ粒子が舞い始める。その神性は、神の中でも唯一無二だ。
《カルフェラか。やはりと言うべきか、反応が早いな》
数秒後、その粒子が集合し実体を持つ。
創世の主神であるゼロフェラに対し、この無茶苦茶にイケメンな黒髪に金の眼を持つ20の年頃に見えるこの若者は、ゼロフェラの弟にして収束の主神、カルフェラである。実の所、この兄弟は歳が離れている様に見えて結構仲が良い。定期的に会って雑談を交わしている様だ。
「久しぶりだな、レシアルドにウィナよ。ここに来た理由は敢えて問わないでおくが、少々縁を感じずにはいられないな」
彼等はもう既に何故レシアルドとウィナが突如訪問したのか知っている。勿論、これから現れる他の神々もだ。更に数秒後、カルフェラの更に右隣2つと3つ目の席に光が生じ、実態を持つ。
片方は2アブデリに届く巨体を持ち、茶色の髪に黒の眼の男である。更に頭の上にはその巨体に似合わない丸い小さい耳を乗せ、上腕の半分の辺りからフサフサとした茶色の剛毛を生やしている。彼は虎の獣人にして、戦いと武芸を司る戦神イナガである。
もう片方は適度に肉付きの良い女性であった。しかし、人間と異なりその耳は尖って横に伸びている。銀髪に紫の眼のその女性はエルフであった。彼女は魔法と精神を司る大神イレネステである。
「久しいなぁ、久しぶりだなぁ!神王竜に古天鳥よ!まさか貴殿らが契約獣になるとは!コレは珍事、大珍事!しかもそこに何のか運命が絡んでおる!それこそセルストリーゼですら介入し得ない運命が!実に、実に興味深い!」
グハハハハ!と笑うストレスを知らなそうな男がイナガである。彼は基本どんな侮辱も笑って流す強い心の持ち主だが、唯一耳について似合わないと言うとブチ切れてしまう。
「初めまして、レシアルドにウィナ。初めて会う私が言うのも何ですが、特に最近まで封印されていたレシアルドは元気そうで何より。まさかこの様な事態になるとは、私達の主の再来か、それとも凄まじい運の賜物か…いずれにせよ、セルストリーゼ様に助言をして頂かない限りにはどうにも出来ませんね」
丁寧な口調のこの女性がイレネステである。実はこの女性、元々は現世にいた著名な魔法使いだったのだ。ハイエルフとしても長い部類に入る4500年魔法の腕を磨き続け、ゼロフェラに努力を認められ神に至った経緯を持つ。
二柱の神に対し、レシアルドとウィナは友達に話しかける様に気楽に話す。
《成程、君がゼロフェラが言っていたイレネスト君か。必要ないだろうがレシアルドだ、よろしく。イナガは聞くまでも無いか。頼むからここで武具を振るうなよ》
「俺とてそこまで阿呆では無いわ!いい加減レシアルドは俺の判断を改めよ、改めろ!」
「だけどイナガ君…申し訳無いけど…あんまり成長して無い…」
ウィナにすらこう言われる始末である。しかしイナガはあっけからんと大笑い。この男はいつもこんな調子だ。
イナガが大笑いしている途中、ゼロフェラの左隣に水色のガラスの板の様な物が発生する。それらはどんどん集まり、人の形を取り、色が付いた。見た目は鋭い眼光の女性。紫髪緑眼のその女性は、時空と運命を司る生死神セルストリーゼである。
更に、セルストリーゼが口を開くより早くセルストリーゼの左隣にも靄がかかった様に実体が出現する。その男は茶色がかった金髪に薄赤色の眼を持つドワーフであった。酒入りの瓢箪片手に現れたその男は娯楽と文明を司る発展神ガンドゥである。
それぞれ挨拶を交わしたのを確認し、議長の役割を務めるゼロフェラは口を開いた。
「さて、ではここに集まって貰った目的を果たすとしようではないか。良いだろう、レシアルドにウィナや?」
《勿論だ》
彼等はテーブルの近くの草原に腰を下ろした。テーブルには現在誰も居ない。程なくして、家から1人の老人が出て来た。銀髪に薄灰色の眼を持つ齢60から70に見えるその老爺は至って健康そうに見える。腰が曲がっている訳でも無く、禿げ上がっていると言う訳でも無い。その老爺は少し歩きテーブルの椅子の内の一つに腰掛ける。
そして麦茶と思われるティオを光の粒子から作り出し、それを数口啜った老爺はゆったりとした口調で話し始めた。
「懐かしいのぉ…神王竜に古天鳥。否、今はレシアルドとウィナと言う名を得ておったな」
《久しいな、ゼロフェラ。原初から存在せし最初の神よ》
「久し振り…ゼロフェラさん。元気だった…?」
「フォッフォ。なぁに、ワシに衰えが来ると思おておるのか、レシアルドよ?出自を同じくする者なら答えなど分かり切っておるだろうに」
《確かに、それは正鵠を得ているな》
「少し待って置いてくれるか、もう間も無く来るはずじゃ」
レシアルドとウィナは周りに並ぶ椅子を見る。初めに変化が生じたのはゼロフェラの右隣の席。光の輝きと闇の暗さを同時に持つ粒子が舞い始める。その神性は、神の中でも唯一無二だ。
《カルフェラか。やはりと言うべきか、反応が早いな》
数秒後、その粒子が集合し実体を持つ。
創世の主神であるゼロフェラに対し、この無茶苦茶にイケメンな黒髪に金の眼を持つ20の年頃に見えるこの若者は、ゼロフェラの弟にして収束の主神、カルフェラである。実の所、この兄弟は歳が離れている様に見えて結構仲が良い。定期的に会って雑談を交わしている様だ。
「久しぶりだな、レシアルドにウィナよ。ここに来た理由は敢えて問わないでおくが、少々縁を感じずにはいられないな」
彼等はもう既に何故レシアルドとウィナが突如訪問したのか知っている。勿論、これから現れる他の神々もだ。更に数秒後、カルフェラの更に右隣2つと3つ目の席に光が生じ、実態を持つ。
片方は2アブデリに届く巨体を持ち、茶色の髪に黒の眼の男である。更に頭の上にはその巨体に似合わない丸い小さい耳を乗せ、上腕の半分の辺りからフサフサとした茶色の剛毛を生やしている。彼は虎の獣人にして、戦いと武芸を司る戦神イナガである。
もう片方は適度に肉付きの良い女性であった。しかし、人間と異なりその耳は尖って横に伸びている。銀髪に紫の眼のその女性はエルフであった。彼女は魔法と精神を司る大神イレネステである。
「久しいなぁ、久しぶりだなぁ!神王竜に古天鳥よ!まさか貴殿らが契約獣になるとは!コレは珍事、大珍事!しかもそこに何のか運命が絡んでおる!それこそセルストリーゼですら介入し得ない運命が!実に、実に興味深い!」
グハハハハ!と笑うストレスを知らなそうな男がイナガである。彼は基本どんな侮辱も笑って流す強い心の持ち主だが、唯一耳について似合わないと言うとブチ切れてしまう。
「初めまして、レシアルドにウィナ。初めて会う私が言うのも何ですが、特に最近まで封印されていたレシアルドは元気そうで何より。まさかこの様な事態になるとは、私達の主の再来か、それとも凄まじい運の賜物か…いずれにせよ、セルストリーゼ様に助言をして頂かない限りにはどうにも出来ませんね」
丁寧な口調のこの女性がイレネステである。実はこの女性、元々は現世にいた著名な魔法使いだったのだ。ハイエルフとしても長い部類に入る4500年魔法の腕を磨き続け、ゼロフェラに努力を認められ神に至った経緯を持つ。
二柱の神に対し、レシアルドとウィナは友達に話しかける様に気楽に話す。
《成程、君がゼロフェラが言っていたイレネスト君か。必要ないだろうがレシアルドだ、よろしく。イナガは聞くまでも無いか。頼むからここで武具を振るうなよ》
「俺とてそこまで阿呆では無いわ!いい加減レシアルドは俺の判断を改めよ、改めろ!」
「だけどイナガ君…申し訳無いけど…あんまり成長して無い…」
ウィナにすらこう言われる始末である。しかしイナガはあっけからんと大笑い。この男はいつもこんな調子だ。
イナガが大笑いしている途中、ゼロフェラの左隣に水色のガラスの板の様な物が発生する。それらはどんどん集まり、人の形を取り、色が付いた。見た目は鋭い眼光の女性。紫髪緑眼のその女性は、時空と運命を司る生死神セルストリーゼである。
更に、セルストリーゼが口を開くより早くセルストリーゼの左隣にも靄がかかった様に実体が出現する。その男は茶色がかった金髪に薄赤色の眼を持つドワーフであった。酒入りの瓢箪片手に現れたその男は娯楽と文明を司る発展神ガンドゥである。
それぞれ挨拶を交わしたのを確認し、議長の役割を務めるゼロフェラは口を開いた。
「さて、ではここに集まって貰った目的を果たすとしようではないか。良いだろう、レシアルドにウィナや?」
《勿論だ》
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