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第二章 駆け出し
第22話 新たな仲間
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トロッコは1両編成の1度に20人位運べる大型のデザインで、振り落とされないよう壁付きの物にした。カートを作って、車軸を通してタイヤを付ける。これだけで動力はないがトロッコの原型は完成だ。そして今からはこいつに動力を持たせるのだが、これは風属性の魔法石を使えば問題ない。
魔法石とは、その名の通り対応する属性の魔法を放出できる石で、中に溜める魔力を調整すれば出力も変えられると言う物だ。これで風を起こして、その力で進むと言うことだ。
「よし、じゃあこれスラムに持ってくか」
「だね、ブレアも一緒にコレ押して」
「分かりました」
再び来た道をトロッコを押しながら戻る。
「あ、そういえばセドリック、さっきなんて言われた?かなり絞られとったけど」
「何をしているのかとか安全なのかとか色々聞かれたよ。事情説明したら神みたいに崇められるし…」
「た、大変でしたね…」
神なのに崇められる事に好感を持っていないのか?思わずツッコみたくなってしまう。
約8分程押して、トンネルの入り口に帰ってきた。
「おう、帰ってきたか!畑と井戸でもう十分なのに、
こんな事までしてくれるとは!」
この人は井戸や畑の件でスラムの住人に俺たちの事を話さないよう念を押してくれた人だ。
「はい、セドリックから話は聞いてるかもしれませんが、これはトロッコと言って、人を乗せて走る自走式の乗り物です。一度に20人位までなら乗れます」
「うん、話は聞いている。しかし本当に走るのか?」
「勿論です。俺たちはこれで王都に戻るので、よかったら一緒に乗っていきませんか?」
俺は出来たばかりのトロッコを手で軽く叩きながら誘ってみる。
「本当か!よし、誰か乗りたい奴はいるか!」
男性の一声で乗りたいと言う人が6人出てきた。その中にブレアもいる。
「集まったなら、乗りましょう」
ハシゴ伝いにトロッコに乗り込み、スイッチを押してトロッコを動かす。ゴトン、と言う音と共にトロッコが走り出した。
「おお、速い!」
「これならすぐに王都まで着きそう!」
よしよし、各々好感を持ってくれているようだ。俺はトロッコの使い方を説明する。
「この真ん中のボタンでトロッコを動かせます。さらに、トロッコを使いたい時トロッコがトンネルの反対側にある時もあるでしょう。その時は、トンネル入口の青いボタンでトロッコを呼び出せます。」
「ほう、そりゃ便利だ!歩きより何十倍と早いな!」
話しているうちに、トロッコがトンネルを出てゆっくりと停車した。
「じゃあ、俺たちはこれで。機会があったらまた寄らせて頂きます」
「うん、本当にありがとう!君たちが来なかったらこのスラムは終わっていたかも知れないから、感謝してもしきれない!」
「はは、ありがとうございます。そう言ってもらえて嬉しいです」
「あ、名前だけでも教えてくれないか?俺はラバンだ!」
「ああ、そういえば。俺はアランです。こっちはセドリックです」
「アランさんにセドリックさん、今度来た時はおもてなしさせて頂きます!」
俺は微笑んでラバンさんにお別れを告げる。
「では、ありがとうございました!お元気で~!」
「さようなら~!」
俺たちは手を振って、王都へ向かって歩き出した。その時。
「あ、あの!」
振り返ると、誰かがコチラに走ってくる。あれは…ブレアだ。
「ブレア、どうしたの急に」
「あの、あなたたちの冒険に俺も連れてってくれませんか?」
っえ?なんだって!?
「ど、どうして急にそんな事?」
ブレアは一呼吸して事情を話し始める。
「その、1日共に過ごして思いました。あなた達の強く、優しい人柄は、俺の理想のなりたい人に当てはまっています。だから!…その、俺もあなた達みたいに強くなりたいと言うか何というか…」
恥ずかしいのか顔を真っ赤にして早口で喋るブレアを見て、彼なりに必死であることを感じ取る。俺はセドリックと顔を見合わせてお互いの反応を確認する。アイツが頷いたので、これはイエスだ。俺もブレアを手放すのは何か惜しいと思っていたので当然イエス。そっと手を差し伸べ、俺たちの答えを言う。
「「来なよ。俺(僕)と同じ位強くなろう。一緒に世界を見よう(旅しよう)」」
「!!ありがとうございます!」
ラバンさんの方を見ると、ラバンさんは頷きそして大きく手を振った。ブレアも大きく手を振って別れを伝える。
「行ってきます!!!」
「旅をしてこい、ブレア!!」
俺たちは再び、ブレアという新たな仲間を加えて歩み始めた。
魔法石とは、その名の通り対応する属性の魔法を放出できる石で、中に溜める魔力を調整すれば出力も変えられると言う物だ。これで風を起こして、その力で進むと言うことだ。
「よし、じゃあこれスラムに持ってくか」
「だね、ブレアも一緒にコレ押して」
「分かりました」
再び来た道をトロッコを押しながら戻る。
「あ、そういえばセドリック、さっきなんて言われた?かなり絞られとったけど」
「何をしているのかとか安全なのかとか色々聞かれたよ。事情説明したら神みたいに崇められるし…」
「た、大変でしたね…」
神なのに崇められる事に好感を持っていないのか?思わずツッコみたくなってしまう。
約8分程押して、トンネルの入り口に帰ってきた。
「おう、帰ってきたか!畑と井戸でもう十分なのに、
こんな事までしてくれるとは!」
この人は井戸や畑の件でスラムの住人に俺たちの事を話さないよう念を押してくれた人だ。
「はい、セドリックから話は聞いてるかもしれませんが、これはトロッコと言って、人を乗せて走る自走式の乗り物です。一度に20人位までなら乗れます」
「うん、話は聞いている。しかし本当に走るのか?」
「勿論です。俺たちはこれで王都に戻るので、よかったら一緒に乗っていきませんか?」
俺は出来たばかりのトロッコを手で軽く叩きながら誘ってみる。
「本当か!よし、誰か乗りたい奴はいるか!」
男性の一声で乗りたいと言う人が6人出てきた。その中にブレアもいる。
「集まったなら、乗りましょう」
ハシゴ伝いにトロッコに乗り込み、スイッチを押してトロッコを動かす。ゴトン、と言う音と共にトロッコが走り出した。
「おお、速い!」
「これならすぐに王都まで着きそう!」
よしよし、各々好感を持ってくれているようだ。俺はトロッコの使い方を説明する。
「この真ん中のボタンでトロッコを動かせます。さらに、トロッコを使いたい時トロッコがトンネルの反対側にある時もあるでしょう。その時は、トンネル入口の青いボタンでトロッコを呼び出せます。」
「ほう、そりゃ便利だ!歩きより何十倍と早いな!」
話しているうちに、トロッコがトンネルを出てゆっくりと停車した。
「じゃあ、俺たちはこれで。機会があったらまた寄らせて頂きます」
「うん、本当にありがとう!君たちが来なかったらこのスラムは終わっていたかも知れないから、感謝してもしきれない!」
「はは、ありがとうございます。そう言ってもらえて嬉しいです」
「あ、名前だけでも教えてくれないか?俺はラバンだ!」
「ああ、そういえば。俺はアランです。こっちはセドリックです」
「アランさんにセドリックさん、今度来た時はおもてなしさせて頂きます!」
俺は微笑んでラバンさんにお別れを告げる。
「では、ありがとうございました!お元気で~!」
「さようなら~!」
俺たちは手を振って、王都へ向かって歩き出した。その時。
「あ、あの!」
振り返ると、誰かがコチラに走ってくる。あれは…ブレアだ。
「ブレア、どうしたの急に」
「あの、あなたたちの冒険に俺も連れてってくれませんか?」
っえ?なんだって!?
「ど、どうして急にそんな事?」
ブレアは一呼吸して事情を話し始める。
「その、1日共に過ごして思いました。あなた達の強く、優しい人柄は、俺の理想のなりたい人に当てはまっています。だから!…その、俺もあなた達みたいに強くなりたいと言うか何というか…」
恥ずかしいのか顔を真っ赤にして早口で喋るブレアを見て、彼なりに必死であることを感じ取る。俺はセドリックと顔を見合わせてお互いの反応を確認する。アイツが頷いたので、これはイエスだ。俺もブレアを手放すのは何か惜しいと思っていたので当然イエス。そっと手を差し伸べ、俺たちの答えを言う。
「「来なよ。俺(僕)と同じ位強くなろう。一緒に世界を見よう(旅しよう)」」
「!!ありがとうございます!」
ラバンさんの方を見ると、ラバンさんは頷きそして大きく手を振った。ブレアも大きく手を振って別れを伝える。
「行ってきます!!!」
「旅をしてこい、ブレア!!」
俺たちは再び、ブレアという新たな仲間を加えて歩み始めた。
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