純白のレゾン

騒がしいなれそめ

04

「酒ばっかり強い！　なんでお前酔わないんだよ砂和ァ」
「知りませんよ、体質です」
「もっと飲め！　俺はお前を……」
「飲んでも私は泣きません」

　週末、予定通り青海が酒を持って遊びに来た。私は夕飯兼おつまみを振舞って、その隣には呆れた顔をする無垢をも気にせず泥酔する青海。

「……酒くせえ」
「なんだと無垢、まだ酒すら飲めないくせに」
「あーうるさーい」
「うるさいとはなんだ、来い説教してやる！」

　そう言って勢いよく立ち上がった青海はその反動にコップの中の酒を床にこぼした。慌てて私はテーブルの布巾を持ってこぼれた酒を拭いて行く。せっかく無垢の荷物を片づけ掃除したと言うのにまた汚されてはかなわない。
　酒には弱いんだ、少し飲めば愚痴っぽくなり最後に泣くのは私ではないいつも青海の方だった。

「はい砂和さんパス、青海めんどい」
「待てぇ！　無垢」
「ちょっと、青海先生またコップを振り回さないでくださいよ、ああ……」

　近所の部屋から苦情が来たらどうするんだ。しかし心の隅でその賑やかな時間も悪くはないと思っている私は、どこかしら多少変わってしまったのか。自分のことがいつだってよくわからない。でも、きちんと皿に乗った料理をすっかり食べてくれる人がいると言うこと。そんな風景は、嫌いじゃない。