婚約破棄で幸せは得られるのか

本編

４

お父様とお母様の許可を得たので、さっそく情報集めですわ。調べるのには、密偵をマデリン様の所におくりこんである。また、マデリン様の通っていた学園で聞きこみ調査をさせている。今の時点で出ている結果は、マデリン様はとても学園の生徒さん方に嫌われているようですわ。そのうちに、密偵の方からも報告があるでしょう。

「ミリアリア様。ご報告が、」
と、声が聞こえた。周りを見渡すと、窓の外のバルコニーに密偵が居た。彼の名前はレンだ。レンはとても美形だから、なぜ密偵をやっているのか分からない。そんなに器量が良いならもっといい所で働けるでしょうに。急いで窓の鍵を開けてレンを中に入れる。
「それで、どうだったのかしら？」
すると彼は、話し出した。
「はっ。屋敷でのあの女は、とても傲慢でした。何か気に入らないことがあるとすぐに癇癪を起こし暴れ回ります。それに、平気で人を痛めつけるようなことをする女でした。」
「そう。それで貴方は大丈夫だったかしら？潜入調査していたのでしょう。何もされなかったかしら？」
「はい。自分には何もなかったです。ご心配痛み入ります。報告は以上になります。」
話し終わった彼の顔は、険しかった。マデリン様は、それほど酷いことをしていたのであろう。せめて証人がいれば。
「ねぇ、貴方がマデリン様の屋敷で仲のよかった人物を数名ここに連れて来れるかしら？」
「恐らくは出来るでしょうが･･･」
言い淀んでいる。
「その方々に証人になって頂きたいのですわ。」
彼は悩んでいる。だが暫くして頷いた。
これでこちらの準備は整った。


ー後書きー
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