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「お願い。森にいる獣の耳を持った男の人に届けて。」
そう言って文鳥の足に手紙を括り外に放す。
文鳥は森に向かって飛んでゆく。どうか助けてと願いながら眠りについた。

翌日、新品の着たことが無いドレスに身を包んだ私は男爵の前に座っていた。
「やはり、いい娘だ。私の妻となるのに相応しい。」
男爵は私を上から下まで眺めて言う。その視線がいやらしいものを含んでいるから寒気がする。嫌だ、こんな人と結婚したくない。
「この子は本当にいい子で言うこともちゃんと聞きますし器量も良いんですよ。」
お父さんが男爵に媚を売っている。それすらも嫌だ。自分は両親に売られたんだ。そう言われた訳では無いのにそう感じてしまう。
私は辛うじて引きつった笑みを浮かべていた。顔合わせの時間は1時間だけのはずなのにまるで1日経っているのではないかと思うほど長く感じた。
やっと終わった頃にはもうくたくたで倒れそうだった。
「お疲れ様エレナ。どうだった?いい人だろう男爵様は。支度金に5億マルクも頂いたんだぞ!」
お父さんが興奮気味に話す。5億マルクというと、一生遊んで暮らせる程の大金だ。
私はお父さんたちが遊んで暮らすために売られたのだろうか。そう思うと泣けてきてしまう。蝶よ花よと大切に育てられても結局お金の前では何の意味もなさない。とても惨めだ。人をお金で買おうとするあの人とは結婚したくない。やはりそうなると逃げるしか無いのだろう。
自分の現状を改めて確認したエレナは今度こそ覚悟を決める。ここから逃げよう、と。



ー後書きー
どうも祐翔です。今回の話短いですね、ごめんなさい!エレナの顔合わせのお話でしたが、なんか暗くなる話ですね。次回はもうちょっと暗くないように書かなければ!ちなみに五億マルクは日本でいう五億円です。大金だあ!!
あと、お知らせです。祐翔は、一身上の都合で2日ほど小説の更新をお休みさせて頂きます。宜しくお願いします。
次回、エレナ逃亡です。お楽しみに。

エレナの書いた手紙を載せておきますね。ちょっとうまく行きませんでしたが・・・一枚目がカザム宛で、2枚目が両親宛です。
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