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孤独のグルメ
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私は覚悟を決めた。
食べたらこの謎空間から出られる。もちろん確証はない。確証はないが、きっと出られる筈だと私の勘がささやいていた。それを今は全力で信じるしかない。
ましてやこれは私に対する挑戦状でもあるわけで、今時点では受けて立つ以外の選択肢もなさそうだった。
私は大きく息を吸い込んだ。
「雑巾うどん 一つください。トッピングなし。麺の増量もなし。つまり何もふやさんといてください。レギュラーとかトールといった小さいサイズでお願いします。ラージとかベンティとかトレンタとかは無しで」と一気に捲し立てた。
店長は無言で頷いた。
そして踵を返すと、ノロノロと店の奥へ戻っていった。おそらく厨房で雑巾うどんを作る準備に取り掛かるのだろう。
私は精神統一を続ける。このままでは何かが壊れそうだった。
そして30分ほど時間が経った。
「雑巾うどん、お待たせしました」器が私の前に置かれた。
でかい。器のデカさが半端じゃない。つるとんた○の器かよ。と内心私は突っ込んだ。
中を覗くと座布団のような大きさの雑巾が、これまた山のようなうどんの上に、どんと乗っかっていた。一般的なうどんの4~5倍の量はあると私は目測で判断した。見た目の絵面は想像以上にやばかった。
その上、古い牛乳臭のような匂いが私の鼻を襲う。マジかよ~これって新品の雑巾じゃないのかよ。
流石に、これは食い物じゃないよ。むろん残飯でもないよと 私の脳が必死に抵抗ともいうべき警告を発し続けている。
「あぁ……やばいなこれ。想像以上にやばいで」
けれども私にも味方はいる。
味覚音痴とバカ舌。さらに腐ったものを食べてもへっちゃらな鉄の胃袋。
目をつぶればいける。 たぶん。きっと。だといいな。
私は箸で雑巾をつまみ上げると、おもむろに齧りついた。
「うへっ まっずーーーー」 私のバカ舌と味覚音痴をもってすら、不味いという判断がくだされた。胃が痙攣しはじめる。鉄の胃袋さえ悲鳴をあげた。
明海、本日における最大のピンチ到来や。
あかん。駄目や。限界や。
その時だ。急に脳が、妙な反応をし始めた。その脳が出した答えはこうだった。
「これなら食えない事もないゾ」
あぁ。やばいよやばいよ。私のかわいい脳も本格的に壊れてしもうた。まぁ前からガバガバやったけどな。
食べたらこの謎空間から出られる。もちろん確証はない。確証はないが、きっと出られる筈だと私の勘がささやいていた。それを今は全力で信じるしかない。
ましてやこれは私に対する挑戦状でもあるわけで、今時点では受けて立つ以外の選択肢もなさそうだった。
私は大きく息を吸い込んだ。
「雑巾うどん 一つください。トッピングなし。麺の増量もなし。つまり何もふやさんといてください。レギュラーとかトールといった小さいサイズでお願いします。ラージとかベンティとかトレンタとかは無しで」と一気に捲し立てた。
店長は無言で頷いた。
そして踵を返すと、ノロノロと店の奥へ戻っていった。おそらく厨房で雑巾うどんを作る準備に取り掛かるのだろう。
私は精神統一を続ける。このままでは何かが壊れそうだった。
そして30分ほど時間が経った。
「雑巾うどん、お待たせしました」器が私の前に置かれた。
でかい。器のデカさが半端じゃない。つるとんた○の器かよ。と内心私は突っ込んだ。
中を覗くと座布団のような大きさの雑巾が、これまた山のようなうどんの上に、どんと乗っかっていた。一般的なうどんの4~5倍の量はあると私は目測で判断した。見た目の絵面は想像以上にやばかった。
その上、古い牛乳臭のような匂いが私の鼻を襲う。マジかよ~これって新品の雑巾じゃないのかよ。
流石に、これは食い物じゃないよ。むろん残飯でもないよと 私の脳が必死に抵抗ともいうべき警告を発し続けている。
「あぁ……やばいなこれ。想像以上にやばいで」
けれども私にも味方はいる。
味覚音痴とバカ舌。さらに腐ったものを食べてもへっちゃらな鉄の胃袋。
目をつぶればいける。 たぶん。きっと。だといいな。
私は箸で雑巾をつまみ上げると、おもむろに齧りついた。
「うへっ まっずーーーー」 私のバカ舌と味覚音痴をもってすら、不味いという判断がくだされた。胃が痙攣しはじめる。鉄の胃袋さえ悲鳴をあげた。
明海、本日における最大のピンチ到来や。
あかん。駄目や。限界や。
その時だ。急に脳が、妙な反応をし始めた。その脳が出した答えはこうだった。
「これなら食えない事もないゾ」
あぁ。やばいよやばいよ。私のかわいい脳も本格的に壊れてしもうた。まぁ前からガバガバやったけどな。
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